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 先陣を切って戦う突破型の侍。
 前衛3人の陣形を担う戦士。
 後衛の魔法職をまとめている熟練僧侶。
 パーティーを統括する切れ者のシーフ。
この4人がある程度は定着しているパーティーの面子である。ある程度、というのは各々が別のパーティーも掛け持ちしているからで、時には面子が入れ替わることもあるのだが、おもに主要の4人である。
 今回のダンジョン入りは、新顔の若い2人をメンバーに加えての肩慣らし程度のイージーな冒険の筈であった。先々の事を考えれば若いメンバーを育てておくべきではないか、という僧侶の提案からはじまり、3人がその趣旨に同意して至った新編成での冒険。
 2人を人選したのはリーダーのシーフと前衛を仕切っている戦士。

 シーフが連れて来た魔法使は19歳。実戦経験は2年程の新米の魔法使である。シーフはこの魔法使のあまりにも端正で美しい顔から滲み出る聡明さを気に入り、パーティに誘い入れた。

 聖騎士のほうは数日前に戦士が酒場で知り合った22歳の若者。魔法使を3年ほど経験して、少しばかりの魔法を修得した後に転職する機会が訪れ、2年前に聖騎士にクラスチェンジしたらしい。実戦経験5年の、こちらもまだまだ駆けだしの冒険者である。戦士はこの若者の血の気の多さと素直さを買った。

 パーティーにとってはシーフの事故は冒険の帰路でのまったく予想外のアクシデントであった。若い2人を成長させる為の経験値稼ぎが目的で、決して困難なものになるような冒険ではなかった。出向いたフィールドもこの4人ならば困難のないであろうダンジョンの地下5階。
 バトルの陣形を担っている戦士は、今更に若い聖騎士に後衛3人の護衛を任せた事を悔んだ。汚い言葉を吐いた理由は人選を誤った罪悪感が生み出す心の鬱積を消化できずにいたからだ。
 酒場で初めて聖騎士と話した夜。聖騎士が報償金欲しさにバトルの経歴を偽っていたのは見透かしていた。よくある事だし前衛で戦う若者はそれくらいの勇ましさがあってもいいと戦士は考えている。しかし、初めて同行する冒険の中で、ここまで軽率な行動をとるとは予想しなかった。
 死と青春が隣り合わせの冒険の中で、まず求められるものは信頼関係である。入団も間もない新顔ならば尚更のこと、新たなパーティーの規律を察して行動するものである。
 聖騎士のとった行動が若さゆえのものからなのか、それとも経歴詐称を補うための勇み足からだったのか。戦士は自らが選んだ若者の愚行に閉口した。

 そして、まず戦士がこの場を後にし、それに続いて他の4人もリーダーを見捨ててダンジョンの闇の中に消えて行った。