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迷い人



 ダンジョンは勿論のこと、奥深い森や山岳、廃下水道の冒険に出向く際には、パーティーに最も必要な補助役の職業はシーフである。
 例えば強力なモンスターが出現しないであろう冒険であるなら、僧侶を連れなくとも回復薬や解毒薬などの薬量を多めに持てば事足りる。
 魔術師の攻撃魔法に至っては、前衛の戦士達がその役目を補えばいい。
 だが、シーフという職業の備える能力はどんな冒険においても欠かす事のできないものだとされている。

 シーフは初めて踏み入れた場所であっても、独自の能力でその場所の「匂い」を嗅ぎ分け、おおまかな位置や方角を野生本能に近い力で感知してパーティの道標になる。その力が長年研ぎ澄まされた熟練のシーフともなれば、災いの匂いすら嗅ぎ分けて仲間を安全な進路へと導いてゆく。
 シーフの技術を習得することは可能ではあるが、他の職業よりも生まれもった先天的素質に大きく左右されてしまう傾向が強い。能力の本質部分で高いレベルに達する事が難しいエリートの能力。シーフという職業が最も少数な理由でもある。
 パーティーのリーダーを担う者の多くは、前衛の戦士系あるいは能力の高いシーフなのである。ハイレベルのシーフの中には最前列の戦士以上に高額な報奨金を受け取る者もいる。
 それ故に、冒険の途中でシーフを失ってしまえば、パーティーに何かしらのトラブルをもたらす確率は高まってしまう。バトルを重ね、魔法や薬草が消耗してくる冒険の終盤にもなればその帰路に於いては決してシーフを失うわけにはいかない。
 手練のパーティが冒険の中で命を失う原因の多くは、なんらかの要因でシーフを失った際のトラブルでなのある。


 そして今、ダンジョンの地下5階でシーフを失い、彷徨い始める5人の冒険者の姿があった。