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ぼくらはみんな生きている

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 永い時の流れの中、穏やかな表情をしか魅せなかった森は、これまで見せなかった感情を爆発させているかのように、大気を奮わせて、燃え上がっていた。赤く滲んだ月あかりの下で、暗闇のオキテを炎の群れが犯している。既に森の広範囲に炎は飛び火していた。風に乗り飛ぶ火、鳥や動物たちに乗り飛ぶ火、その小さな火は徐々に炎となりその領地を広げ、それぞれの場所で燃え盛っていた仲間たちとやがては出会い、さらなる炎の塊となり命を襲う。森に覆いかぶさる巨大な灼熱の大気は、その怒りの熱で急激な上昇気流を生むと、森の周囲から新鮮な空気を巻き込み、一層に炎を激増させる。大気の震えは生き物たちの体に畏怖を与え、微生物・昆虫・動物・植物、それらは森のただならぬ怒りの表情に脅え、戸惑い、逃げ惑った。昆虫や小動物は炎の歩みに競り負け、身を焦がして黒く転がり灰になる。巣に雛を抱える親鳥たちは、熱風が押し寄せる最後の瞬間まで巣に留まり、巣から離れた。地中の生物たちは頭上からの灼熱地獄に飛び起きて更なる地の底に急ぐ。火の手に追い詰められ、河に飛び込む幼い愚鈍な命たち。植物は…ただ、森の怒りを受け入れる。微生物は蒸発し、礼儀正しいおじぎ草は灼熱の風にのたうち苦しみ、炎に身を包んでゆく木々たち。頼もしかった森の木々たちは、炎の熱に耐え切れなくなり、張り裂け、その破裂音で侵略の接近を仲間たちに警告する、

早く逃げろ!!! と

命を囲むようにして炎は歩み、制圧していった。