完全犯罪研究の「路傍の石」
ということで、まったく先に進まないことと同じではないだろうか。
それこそ、
「タイムマシン」
であったり、
「ロボット開発」
というものの中に、
「三すくみ」
のような関係が潜んでいて、それが、
「堂々巡り」
というものを繰り返すことによって、先に進まないといえるのではないだろうか?
それを考えると、
「三すくみ」
というものが、
「抑止力」
ということで、お互いに、相手を戒めるだけの力というものを持っていることで、
「完全犯罪」
というものを、成功なら占めると考えたのが、市場博士の考えであった。
ただ、やはり、
「実際の犯罪に結びつけるのは難しい」
といえるだろう。
何といっても、
「1:1の交換殺人」
ということでも、
「偶然が重ならないと、なかなか計画を立てるまでいかない」
ということである。
つまりは、
「人を殺したい」
というだけの動機を持っている人というのは、星の数ほどいるだろう。
へたをすれば、
「人はそれぞれに、大なり小なり、一人くらいは、殺してやりたい」
と思っている人がいて、不思議はない。
確かに、
「毎日のように、どこかで殺人事件が起こっている」
ということであるが、それでも、
「誰かを殺したい」
と思っている人が、すべてその目的を達するというわけではない。
「考えはしたが、その行動に対して度胸がない」
と考える人、あるいは、
「いくら相手が、殺されても仕方がない」
という人であっても、自分が人を殺すということまではできない。
と、時間が経つにつれて、その発想がなくなっていくという人もいるだろう。
それを、
「度胸がないから」
と考えるのか、
「正義感や、勧善懲悪の気持ちから」
と考えるのか、それとも、
「相手を殺せば、自分が地獄に行く」
という、宗教的な考えなのか、はたまた、
「相手を殺せば、相手にも家族がいて、今度は自分や、自分の家族が復讐されるということになり、結局、泥沼のスパイラルに入り込んでしまう」
という考えなのか、それぞれだといえるだろう。
しかし、
「殺人をあきらめるとしても、これだけの発想があるのだから、実際に、復讐であったり、殺人というものが、そう簡単に行われないということが、精神的な理由では、十分にありえる」
ということになる。
もちろん、精神的なものとして、
「犯罪者の心理」
というのもあるだろう。
特に、交換殺人などにおいて。
「共犯といってもいい相手と、連絡を取ることが許されない」
ということで、そのすべてが、
「自分の意思や考えかたによる」
ということになる。
自分のことだけでも大変なのに、それが、相手が考えることも含めると思えば、連絡が取れないだけに、相手が何を考えているのか分からず、
「相手も自分と同じ苦しみを味わっているはずだが、自分よりも先に、相手がくじけてしまっては、本末転倒だ」
ということになるのではないだろうか?
それを考えると、
「完全犯罪」
というものの研究というのは、
「精神的に、どこまで耐えられるか?」
ということではないだろうか?
そのためには、
「ロボットのような、精神力を持っていることであり、そのためには、洗脳に近いような、絶対的な命令には従う」
という人間が不可欠であるということ。
それが、
「ロボット開発と同じ発想になる」
ということあろう。
さらに、タイムマシンの発想としては、
「ロボット開発」
というものとの接点として、
「次の瞬間に、無限に広がる可能性を打破する」
という、ロボット開発と同じ発想と、
「次の瞬間」
としても、未来が、
「いずれは現実となる」
と考えることで、
「完全犯罪というものが、完成する」
ということになるのだろう。
だから、悪の秘密結社の研究員である市場博士は、
「今の時代において、なかなか開発が進まない」
と言われるこの二つを、あえて、
「完全犯罪」
という観点から、考えていくというのであった。
そして、
「警察側」
ということでの開発研究者として、二宮博士は、
「三すくみ」
と、
「カプグラ症候群」
というものを中心に考えている。
実は、彼の中にも、
「ロボット開発」
と、
「タイムマシンの問題」
というもの、浮かんできている。
その中で、さらに進んだ発想として生まれてきたのが、
「三すくみ」
と、
「カプグラ症候群」
であった。
これは、
「完全犯罪」
というものを考えた時、漠然と考えるよりも、何か一つをサンプルとしてと考えた時、浮かんできたのが、
「交換殺人」
というものであった。
彼は、
「警察という立場ではなく、この世には、完全犯罪などありえない」
と言われる発想からあえて、
「できない完全犯罪の完成を考えよう」
という、
「犯罪者側の立場」
というものから発想を温めたのである。
だから、
「三すくみ」
という発想での、
「抑止力」
というものが浮かんできて、市場博士が、やっと完全犯罪に、洗脳などの、
「精神的な発想が不可欠だ」
ということに至った経緯を通り越し、さらに、先に見える、
「洗脳」
という発想から、
「カプグラ症候群」
というものを思い浮かべたのだ。
「カプグラ症候群」
というのは、比較的最近の考えかたということで、洗脳というものを、犯罪だけでなく、他の世界にも活用するということから生まれた発想であるから、いずれは、悪の秘密結社も、この、
「カプグラ症候群」
というものを、いかに、犯罪に限らず、自分たち組織が暗躍するための洗脳としての発想のバイブルでもあるということで、考えるようになると、二宮博士は考えるのであった。
実際に二宮博士は、市場博士の、
「何歩も先を歩いている」
と自覚している。
実際に、警察組織とすれば、
「この世に、悪の秘密結社が存在していて、相手にも自分たちと同じような、頭脳集団がいて、犯罪に対して研究している」
ということは分かっていた。
もちろん、
「悪の秘密結社」
といわれる連中も、
「警察組織の動向はある程度把握しているので、もちろん、警察が、悪の組織に対して特化した研究チームを形成している」
ということくらいは把握している。
お互いに把握しながら、相手には秘密が漏れないように、そして、自分たちの発想が相手よりも上回っているということの証明として、相手が何を考えているのかという研究も、しっかりとそれぞれで行っているといってもいいだろう。
そんな組織において、それぞれが、気にかけているということがあった。
それが、
「先に動いてはいけない」
という発想で、
「三すくみ」
と、
「交換殺人」
というものの発想であった。
「これが抑止力ということになるので、それぞれに、
「ほとんど同じ発想のもとに、お互いをけん制している」
ということから、
「相手よりも先に動かない」
という、精神的に苦しい立場であっても、意外と、そこには耐えられると考えているのであった。
自分から先に動かないということは、
「動いてはいけない」
という発想ではなく。
作品名:完全犯罪研究の「路傍の石」 作家名:森本晃次



