「つかさ」と「ちひろ」
というと、K市の中心ターミナルということで、繁華街なども近くにあることで、それなりに大きな交番ということであった。
駅構内にある鉄道警察隊の分駐所もあるが、鉄道内で起こった事件で、鉄道警察隊に、
「現行犯逮捕」
された容疑者の取り調べを行い、そこから交番に連れていかれ、そのまま、
「所轄警察署」
に連行されるということもあるだろう。
中には、
「交番を通さずに、鉄道警察隊から直接、警察署に連行される」
ということもあるだろう。
「その地域によって違うのか?」
それとも、
「臨機応変の対応」
ということになるのか、そのあたりは難しいところであった。
そういう意味で、
「交番勤務というのは、結構忙しいともいえるだろう」
なんといっても、
「街は生きているわけで、いつどこで犯罪が発生するか分からない」
ということだ。
だから、基本的に、
「24時間稼働」
ということになっている。
しかし、昨今の、
「人手不足」
という問題から、警察も一時期、
「空き交番」
という問題が発生していた。
つまり、
「夜間などの一定期間、無人になる」
というもの、
「例えば駅近くの交番で、終電から始発までの、駅が閉まっている時間帯を、閉めている」
というところであったり、
「パトロールに出かけているので、その時間帯無人」
ということである。
それこそ、
「鉄道においての、無人駅」
のようなものである。
鉄道であれば、それほどの問題にはならないだろうが、
「交番が無人」
ということは問題である。
基本的に、
「24時間駐在」
と謳っているわけで、しかも、その任務が、
「市民の安全を守る」
ということなので、本来なら、
「交番に警官がいる」
というだけでも、犯罪の抑止になるということになるのだろうが、実際には、
「お巡りさんがいない」
となると、市民は、安心できないということになるだろう。
もちろん、パトロールは大切である。
前述の、
「ストーカー問題」
などで、
「重点パトロール区域」
というのも結構あったりするだろう。
実際に過去にあったこととして、
「暴行魔に追いかけられ、交番に駆け込んだが、無人だったために、結局暴行を受けた」
という事件があった。
それこそ、
「大問題」
ということだ。
今は、若干、
「空き交番」
というのは減ってきているようだが、それはあくまでも、
「数字上の問題」
ということで、本当の意味での、
「交番の存在意義」
ということでの問題解消になっているのかどうか、難しいところである。
今の時代において、
「K駅前交番」
において、あれは、一か月前くらいのことであっただろううか、ちょうど、清水巡査が勤務している時だったが、その時は、定時パトロールが終わって、交番に戻ってきた頃だった。
交番の大切な仕事として、
「報告書」
というものがあるが、その作成を行っていた時だった。
時間としては、昼過ぎくらいだっただろうか。報告書を書きながら、
「昼食にしよう」
ということで、カップ麺を作り、食べながら、報告書を書いているところだった。
他の人はどうなのか分からないが、清水巡査は、
「報告書作成」
というものが嫌いではなかった。
ただ、忙しい時は、
「面倒くさい」
と感じていたが、それは、清水巡査に限ったことではない。
そもそも、
「文書を書く」
ということが嫌いではなく、学生時代は、文芸部に所属し、小説などを書いては、
「同人誌」
に公募していた李した。
ネットにおける、
「無料投稿サイト」
というのを利用しての、作品発表というのも行われていた。
さすがに、
「小説家になりたい」
というところまではなかったが、
「自分で創作したものを、発表できるツールがたくさんある」
ということで、今でも、
「学生時代の趣味」
だけにとどまらず、空いた時間で、小説執筆を楽しんでいるということであった。
小説執筆
最初の頃は、
「純文学」
のようなものを書きたいと思っていたが、
「どうにも、ボキャブラリーに疎い」
ということで、エンターテイメント性の高い、
「大衆文学」
というものに興味を持ったのであった。
最初は、
「恋愛小説」
というものを考えていた。
だが、恋愛小説というものを勉強しようと、いろいろ見てくると、
「不倫などのドロドロした小説」
ということでジャンルとすれば、
「愛欲」
と呼ばれるものか、
「純愛」
というジャンルであれば、
「青春系」
のような、ある意味
「昭和の熱血系」
であったり、
「今の時代には合わない小説」
ということで、
「恋愛小説」
というものへの興味は薄れてきたのだった。
要するに、
「経験がなければ書けない」
と感じたからで、他の小説もそうなのだろうが、
「恋愛小説というののが、一番いえることではないか?」
ということであった。
その次に考えたのは、
「SF系」
であった。
今の時代であれば、
「異世界ファンタジー」
などといわれるジャンルが、
「若者の間で、爆発的な人気」
ということであった。
だから、
「自分にも書けるのではないか?」
と思ったが、どうも、難しいということが分かった。
子供の頃から、
「特撮ヒーローもの」
などを読んでいれば発想も浮かんでくるというものだろうが、あいにく、
「特撮ヒーローもの」
というのは、あまり興味を持っていなかった。
実際に、
「異世界ファンタジー」
というものに飛びつく人に話を聞くと、
「ゲームの原作」
として描かれるものが多いということで、
「子供の頃からゲームばかりやってきた自分たちにとって、ファンタジー小説というのは、というのは、読むにしても、書くにしても、得意分野だ」
ということになるだろう。
実際にゲームにも興味がなかった清水巡査は、
「異世界ファンタジー」
というものとは、まったくの無煙だといってもいいだろう。
他にもSF小説というと、
「いろいろなジャンルがある」
例えば、
「タイムマシン系の話」
であったり、
「ロボット開発もの」
という、いわゆる、
「近未来系の小説」
というものである、
こういう小説は、基本的には、短編から中編というのが多いと言われている、実際に、
「掌編小説」
といわれる、
「ショートショート」
などというのは、SFが中心だったりするではないか、
その心としては、
「SF小説というのは、最後の数行で、大どんでん返し」
というものがあり、
「それが、SF小説の醍醐味といわれる」
のである。
ただ、日本におけるSF小説界というものは、
「少々弱い」
といわれている。
海外の小説が結構多く、映画化されたりしているのを見ると、
「どうしても、日本人の発想には合わない」
と考えられるものであった。
ただ、
「自分なりのSF小説を書きたい」
という思いがあることから、数としてはそんなにはなかったが、何作品か書いて、同人誌に載せたというものであった。
作品名:「つかさ」と「ちひろ」 作家名:森本晃次



