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中途半端な作品

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「そうですね。普通に考えれば、自分が生まれてからの出来事や、物心ついて記憶している時代を現代と思い、それ以前を過去だとして、歴史の意識でいる人がほとんどなのかも知れないですね。だから、ちょっと年齢がずれただけでも、話が通じなかったり、発想が違ったりするんですね。それもしょうがないことなのかも知れないですよね」
 と、聡子は言った。
「聡子さんは、小説を書くとすれば、どんなジャンルを書いてみたいんですか?」
 と訊かれて、
「そうですね。本当ならライトな感じの恋愛小説なんかいいなと思うんですよ。でも、恋愛小説って結構難しい気がするんです」
 というので、
「それはそうかも知れないですね。僕の印象とすれば、まず恋愛小説というのは、幅が広いと思うんですよ。青春小説や純愛小説のようなものもあれば、逆にドロドロとした、不倫や略奪愛、さらには、犯罪が絡んでくるような猟奇的なものまであるでしょうから、そういう意味で、他のジャンルと被っているところもあると思うんですよ」
 と笠原は答えた。
「でも、そういう意味で言えば、他のジャンルと被っていると思うのは結構あると思うんですよ。ジャンル分けはしてあるけど、この二つはどう違うの? なんていうものもあるんじゃないでしょうか?」
 と、聡子は言った。
「確かにそうだね。でもね、ホラーやオカルト、ミステリーとそれぞれに違いがあるんだよ。ホラーというのは、恐怖を意味するもので、さらにその中で宗教色が絡んできたり、科学では証明できないような話が出てくるものは、オカルトになりますね。そして恐怖に謎が絡んでくると、ミステリーの要素も出てきます。つまりは、それぞれに被るところがあり、細分化するジャンルとして、ミステリーホラーや、ホラーサスペンスであったり、精神異常者が絡むと、サイコホラーなどというものも出てきますよね。大分類があって、中分類があって、小分類があるというようなそんな話もあっていいんじゃないでしょうか?」
 と笠原は言った。
「なるほどそうですね。たまに、そこに宇宙であったり、時間などのものが入ってくると、SF敵要素の出てきますよね。SFとオカルトというのは、どこか似ているような気がするんですが、どうでしょう?」
 と、聡子はいうので、
「SFというのは、どちらかというと、未来予想のような気がするんですよ。ロボット社会であったり、タイムマシンなどが開発されたりですね。でも、その二つは今のところ、まったく開発される気配がないではないですか。何かの結界のようなものがあり、開発してはならない領域があるようで、そんなタブーは、、オカルトなどに出てくるものとは違って、分かりやすいものだと思うんですよ。オカルトのタブーというのは、宗教測豊かなので、宗教そのものを知らないとそのタブーも理解できないはずですよね。でも、SFにおけるタブーは、科学的に何がまずいのかということが立証されていて、ただ、その解決法が見つからないだけなんですお。まあ、解決法が見つからないのだから。必然的に、ゴールが見えないのは同じことなので、結果は変わらないと言えるんでしょうけどね」
 と、笠原は言った。
「おっしゃりたいことは分かる気がします。でも、オカルトであっても、小説の世界では、読んでいるうちにそのタブーが分かっていくんですよ。そうでなければ、最後まで謎のままになってしまって、解決されないミステリーで終わってしまうのと同じですよね。つまり、オカルトというのは、タブーを解明することが謎解きであるという、ミステリーのようなものだと言えるんじゃないでしょか?」
 と聡子は言った。
「ここ最近、奇妙な物語なるドラマがよく放送されているけど、あれはきっとオカルトなんだと僕は思うんですよ」
 と、笠原は言った。
「オカルトというのは、ミステリーと逆のところがあるのかも知れないですね。。ミステリーというのは、謎があって、その謎を解いていくものでしょう? でもオカルトというのは、科学では証明できないことが起こっていて、それを解決するというよりも、さらに深い謎を視聴者や読者に投げかけるようなストーリー展開がオカルトなんだって思います、物語の中で、ミステリーの起承転結の結の部分が、オカルトでは、承であったり、転であったりするんでしょうね。そして実にうまいオカルトだと、転の部分になるんだと私は思いますね」
 と聡子は言った。
 話が次第に白熱していったが、当然のことながら、そんなに簡単に結論が出るわけもない。そもそも結論が出そうにもないようなことを、あれこれと話していて、それも分かっていることなのだから、話をしているということに意義があると言えるのではないだろうか。

              小説を書く意義

 そんな話をしているうちに、聡子はすっかり小説談義をするのが好きになっていた。笠原と熱弁をふるってから数日後に、約束をしていたわけではないが、笠原の思っていた通り、聡子は、文芸サークルに入部してくれたのだ。
「僕がお誘いしたんですよ」
 と、部長に話すと、
「そうかそうか、うちのサークルは文芸サークルと言いながら、ほとんど文学部の人はいない状態だったので、嬉しいと思うよ」
 と言われたので、
「どうして文学部の人は少ないんですかね?」
 と笠原に言われた。
「それは、趣味と実益を兼ねたというのが嫌だという人が多いじゃないかな? せっかくのサークル活動なんだから、少しでも勉強とは違うことをやりたいと思うのも無理のないことだと思うぞ。笠原君だって、部活で、某学研究会とかに入って、さらに勉強したいとか思うかい?」
 と訊かれて、
「そうですね、法曹界を目指すのであれば、入部することもあるでしょうが、そうでもなければやはり別を考えますね」
 と言った。
「そうだろう? そんなものさ。それにせっかく大学に入ったんだから、勉強も部活も大切だけど、他にいろいろ考えるところがあるんじゃないかな?」
 と言われて、
「例えば?」
 と聞き返すと、
「恋愛だったり、アルバイトしてお金を貯めて、旅行に行くとかいうのも、あるんっじゃないかな?」
 と言われて、
「確かにそうですね。恋愛は考えたりしますよね」
 と笠原が答えると、
「そうだろう? 文芸のような小説や詩歌、俳句などを書く人は、そこか恋愛に遠くないところの妄想を抱いている人が多いと思うんだ。恋愛に関係のない小説であっても、そこかで恋愛を絡めたいと思うんじゃないかな? でも、ジャンルによっては、自分の思っているような恋愛に結び付かないものもある。どうしてだと思う?」
 と訊かれて、
「さあ、どうしてでしょう?」
 と答えると、
「それはね、恋愛というジャンルが広いからだよ。純愛ものもあれば、愛欲ものもある。青春小説に近いものもあれば、ドロドロしたものや、官能小説に近いものもある。要は、どれだけ読者が興奮できるか、そして書いている方がどれだけの妄想を掻き立てることができるかというところに行くんじゃないかな?」
 と、部長は言った。
作品名:中途半端な作品 作家名:森本晃次