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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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孤独たちの水底 探偵奇談12

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「自分が望み、渇望し、叶えた願いだったはずなのに。法則を歪めて、いろんなひとを苦しめて叶えた願いだったはずなのに。それなのに彼は深く後悔しているんだ。きみを忘れてしまったことを。全部をなかったことにしたことを」

忘れてしまった?俺を?

「後悔は繰り返す。そして、ことごとくきみを不幸にする」

不幸。人差し指が持ち上がり、まっすぐに伊吹へと突きつけられる。声が出せない。

「それでも、探すかい。世を歪める魂ならば、存在を許されない命なら、神様にお返しするのがいいかもしれない」

問われ、伊吹はたじろぐ。これまでの不可思議な経験や颯馬の話を総合して導き出した仮説。それはもはや現実的な要素は微塵もないお伽噺のようだ。それでも、伊吹は、瑞と自分の間にある因縁の正体を見極めたいと、願っている。後悔しても、すべてを失うことになっても、幾度も生まれ変わる瑞を哀れに思うから。

瑞は、自分が名づけた伊吹を探し、繰り返し生まれ変わっている。そして伊吹は、その願いのためだけに、彼と同じ時代に幾度も生まれ変わってくる。

それを不幸だとは思わない。そうやって転生せざるを得ない事情を、深く深く刻みつけられた瑞を、ただ哀れだと思うのだ。救ってやれるなら今世で自分が。冗談ではなく、真剣にそう思っている。

「探す」

探すに決まっている。願いだの不幸だの、そんなことはどうでもいいのだ。瑞はもう他人じゃない。伊吹にとって、後輩であり、大切な友人なのだ。魂の結びつき抜きにしても。

「不幸だなんて…思ったことはないよ」

きっと、どんな時代の自分も。瑞が思う分、同じくらい伊吹も、瑞を思い出したいと願っているのだと、そう信じているから。

「では行こう」