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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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孤独たちの水底 探偵奇談12

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「あ、郁ちゃん!」

いつもならニコニコと女子に囲まれて余裕の颯馬が、今夜は様子がおかしかった。郁の姿を見つけると、群がる女子らにゴメンネと手刀を切りながら焦ったようにこちらへ向かってくる。

「どうしたの?」
「あのさ、瑞くん一緒じゃない?」
「うん、あたしがここ向かうときにはまだ弓道場にいたけど…」

瑞を探しているらしい。

「そっか、家に帰ったのかな?」
「わかんない。探してるの?電話してみたら?」
「繋がんないんだ」

何をそんなに焦っているのか、颯馬はウーンとかアーとか言いながら髪をかきまぜている。

「…ねえ、何かあったの?」

急激に不安になる。いつもへらへらしている颯馬が、焦って瑞を探している。郁は颯馬に詰め寄った。

「ちょっと弓道場行ってみる。まだいるかも」
「あ、あたしも…!」

でも友達は、と颯馬は美波に視線をやる。

「あたしはいいから行きな、郁。須丸になんかあったんでしょ?」
「…ごめんね」
「気にしないで」

美波は笑って手を振ってくれた。

「ごめん郁ちゃん、ちょっと走るよ」

颯馬が面をつけて人波をかき分けていく。郁は見失わなうよう、懸命にそのあとを追った。

「颯馬くん、何があったの!」

幻想的に色づく夜の中を駆け抜けながら、郁は彼の背中に問うた。



「今夜は四柱様の力がもっとも強くなる夜なんだよ」





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