di;vine+sin;fonia デヴァイン・シンフォニア
そんな問いかけにも、メイシアは耳を傾けない。
彼女が向かう先――。
そこに、後ろ手に縛られ、転がされているタオロンがいた。
ルイフォンは息を呑んだ。彼は彼女の意図を察したのであるが、それでも、まさかとの思いが拭い切れない。
ついに、メイシアはタオロンの元へと辿り着いた。彼女の美しい顔は汗にまみれ、肩で息をしていた。
メイシアは、足元に横たわるタオロンを見下ろし、ゆっくりと息を吐いた。そして、次に思い切り大きく息を吸うと、両手で大刀の柄を握りしめ、信じられぬことにそれを持ち上げた。
ルイフォンと《蝿(ムスカ)》が目を疑う。
メイシアが、力強く《蝿(ムスカ)》を睨みつけた。そして、叫ぶ――。
「《蝿(ムスカ)》! ルイフォンの傍から離れてください! さもなくば、斑目タオロンの命は保証しません!」
メイシアの凛とした声が、荒涼とした通りに響いた。
作品名:di;vine+sin;fonia デヴァイン・シンフォニア 作家名:NaN