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泉絵師 遙夏
泉絵師 遙夏
novelistID. 42743
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久遠の時空(とき)をかさねて ~Quonฯ Eterno~上

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 物語などでは随分と簡単にやってるけど、そうではないらしい。
「難しいことは置いといて」
 リーウが続ける。「水を飲むのに、わざわざ水素と酸素を結合させて作る人はいないのと同じことよ。料理だってそう。お湯を沸かしたり材料切ったり、味付けしたり煮込んだり、全部を力でやるより普通に作った方が簡単。どこかからかっぱらって来るとしても、自分好みのものとは限らないし」
「なるほどね。何となく分かる」
「私もね、昔はノンノみたいに不思議に思ったけどね、その時は先輩がこう言ってた」
「何て?」
「お話の読みすぎ。でも、ちゃんと読んでないって」
「ちゃんと読んでない? でも、魔法使いは――」
「そこ」
 リーウが人差し指を立てる。「魔法使いは鍋で変な薬とか作ってる。仕上げに魔法使ったりするけどね。それと、料理してないとか書いてない」
「うー……ん。それは、確かにそうかも。でも、魔法でご馳走を出すお話もあったような……」
 暖野はそれが何だったのか思い出そうとする。
「それは、持ってきただけよ、出来たやつを魔法で」
「なるほど」
 納得は出来るが、どうもしっくり来ない。
「おとぎ話って、大事なところを端折ってたりするからね」
「そんなものなのかなぁ」
「そんなもんよ」
 サンドイッチの最後の一切れを口に放り込み、リーウが妙に澄まして言った。
「ねえ、リーウ。さっき、マナで買い物できるって言ってたけど」
「ああ、あれね」
「私でも出来るの?」
「もちろんよ。この前、転入届出したでしょ?」
「うん。でも、通知がどうとかって……」
「ああ、ノンノはいなかったもんね。うちのクラスよ。もう登録されてる」
「そうなんだ。良かった」
 暖野は笑顔になった。
「これからも、よろしくね。ノンノ」と、リーウ。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「なに改まってるのよ」
 それもそうだ。前回も会っているし、今日も昼食をおごってもらっている。
「でも、使い過ぎには注意ね。余計なお世話だけど」
「食堂以外にも使い途とかあるの? ひょっとして服とか?」
「それもあるけど、大体は食べ物だから。使い過ぎってことは食べ過ぎになるし、マナが少なくなると体力も落ちやすくなる」
「太ると疲れやすくなるってことね。分かり易い」
「ちょっと違うけど、そう思ってもいいかも」
「じゃあ、ここではマナで何でも買えるのね。何があるのかは知らないけど」
「学内ではね。外は違うわよ。ちゃんとお金払わないといけない」
「先に聞いておいてよかった」
 一人で知らない所へ行くことはないだろうが、うっかり無銭飲食などというのは恥ずかしい。
「時々いるのよ。知らずにやっちゃう人がね。外の人も分かってるから、学校に連絡して終わり」
「終わり? 退学?」
「まさか。立て替えてくれるのよ。1回だけだけど」
「その立て替えも、マナで払うの?」
「生徒は金額分のマナを払うだけよ。多少の懲罰金は上乗せされるらしいけど」
「でも――」
 暖野は言う。「そのマナって、何に使うの? それって換金できるものなの?」
「出来なくもないけど……」
 どう説明したらよいか、リーウが考える目をする。「学院は一つの国みたいなものって思えばいいのかな。学内でほとんどのものは自給してるらしいから。ついでに言うと、集めたマナは研究とかに使われるんだって」
「なんか、色々すごいのね。ここって」
 暖野は言った。