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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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隠子の婚約+美人の退職+愛娘の受験+仕事の責任=幸せの1/2

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「ふうん。もったいないね。拓君にはどうやって払ってもらうの?」
「一括は無理なんで、3万円ずつ60回でって、話してるんですけど」
「それじゃ5年かかるわね」
「最後まで払ってくれるか心配で」
「無理じゃない? 貯金もない人なんでしょ?」
「一筆書いてもらうつもりですけど、絶対に逃げますよね。あの車だって5年も乗ると思えないし」
「お金借りてもらって、一括で返してもらったら?」
「それも考えたんですけど、利息付くと可哀想じゃないですか」
「優しいわね。5年間の利息分は値引きしてあげるとか」
「でも、年収の3分の1以内しか、キャッシング出来ないみたいで、到底足りません」
「じゃ、本当に地道に返してくれればいいんだけどね」
知子は眉間にしわを寄せて言った。
「多少損しても、最悪、下取りに出してしまおうかとも思うんですけどね」
「その方が結果的には良かったってことに、なるかもしれないわね」
「でも拓君の前の車を下取りに出して買ってるから、その30万もあいつに返さなきゃならなくなるから、腹立ちます」
「修理代はどうしたの?」
「私の保険で直しました。剥がれたガレージの柱はそのままです」
「その30万返す必要ないじゃない。話がこじれたら博之さんに任せたらいいわよ。あの人殴るかもしれないけど(笑)」
「はあ。考えると頭痛くなっちゃいます」
愛音は、黙って聞いていた秋日子を見て、
「ごめんね。ムズカシイ話して」
「ううん、大丈夫。でもお腹すいた」
「そうね。早く食べよう」
 テーブルに並べられた料理を改めて見た愛音は、
「すごーい。短時間でこんな豪華な夕食が」
「え? いつもはもっと種類あるよ」
「本当に? 私じゃ作れないよ。あきちゃんのママすごいね。私も家族になりたーい」
「そうね。今日から3日間、家族同様でお願いします」
知子が改めて愛音に頭を下げた。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「パパだけあっちの家だけど。(笑)」
3人は席に着いた。
「いただきまーす」