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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
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あなたが残した愛の音。

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第1章 突然の電話



「うーん。次長、次長。今、なんか気になる言葉を聞いた気がするんですが」
 正方形のテーブルの角を挟んで、隣同士に座った部下の女性は、博之の顔を覗き込むようにして聞いた。
「パパって?」
「なんか怪しい関係みたいな感じだったりとか、ですか?(笑)」
「ははは。想像以上にね」
博之は、二人の正面の窓の景色を眺めながら答えた。
「もう、本当は何なんですか?」
「彼女には、月に5万円ぐらい渡してるんだ」
「え? マジですか?」
「と言っても愛人とかじゃないから。彼女にピアノを習ってるのさ。それに今年の6月に、彼女結婚するんだよ」
「おいくつ・・・?」
「29」
「あーあ、私、今日で一つ年上になっちゃった」
彼女もようやく窓の景色に目をやった。
「このレストランも最高なんだけど、本当は彼女がいるからよく来るんだ。ディナータイムには、彼女の生演奏も聴けるし」

 整った顔立ちで、スタイルもよく、博之とは親しそうに接客するウェイトレス。彼女との出会いは、一本の電話から始まった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 二年と少し前の秋のこと。

 家族が買い物に出かけ、一人で留守番をしていた日曜日の昼前、博之はその電話に出た。携帯電話とは違い、自宅の固定電話はほとんど使っていない。たまにかかってきても親族かセールスが多いので、受話器を取っても自分から苗字を名乗るようなこともない。

「はい、もしもし?」
「あの私、川島と申しますが、木田さんのお宅でしょうか?」
若い女性の声で、とてもゆっくり丁寧な話し方である。

「そうですけど。どういったご用件ですか?」
「博之さんはご在宅でしょうか?」
「私ですが」
相手は暫く黙った後、
「あのう、突然お電話して申し訳ありません。ご迷惑とは思うのですが、実は、お会いしてお話したいことがありまして」
「えっと、セールスか何かならお断りしますので・・・」
「いいえそんな。違います」
少し早口になったその言葉に、切羽詰ったものを感じた。いい加減なセールスの電話なら、こんなに引き止めようという気迫はない。