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わたなべめぐみ
わたなべめぐみ
novelistID. 54639
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ひだまりのねこ

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ルビーの指輪



小さい頃、母の手にはいつもルビーの指輪がはまっていた
金色のリングにハート型のルビー

炊事の時も、お風呂の時も、寝るときも
それはいつも薬指に収まっていて
幼い私はそれを見つめては
いつか大人になったら私もはめるのかな

なんて考えていた

ルビーの指輪は今私の手元にあって
母はもうこの世にはいない

金色のリングを見つめるたびに
パーマをあてた若い母が
ピンクのおんぶひもで弟を背負って
小さな私の手を握って
生鮮食品をを選んでいた姿が思い浮かぶ

いつの間にかその指輪は母の手から消えていたけど
遺品整理のさなかに見つけたそのきらめきは
優しい記憶とともによみがえる

時折、自分の指にはめてみるけれど
期待していたほどには似合わなくて
やっぱりあのパーマの、花柄の服を着ていた母の方がよく似合っていた

遺品にしたくないから
私の婚礼指輪と一緒に収めてあるルビーの指輪
あのころ思い描いてた大人に
いつかなれる日はくるのだろうか


作品名:ひだまりのねこ 作家名:わたなべめぐみ