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わたなべめぐみ
わたなべめぐみ
novelistID. 54639
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ひだまりのねこ

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ブドウの花



まま!ブドウの花とってきたよ!
家の周りで遊んでいた次男が
そう言ってかけこんでくる

うーん……ブドウの花?
近くに葡萄畑があるわけでもないし
息子に取れるはずもない
そもそも葡萄の花がどんなものなのか知らない

そう考えながら玄関に出ると
小さな手の中に紫色の房がたくさんついた花があった

それはムスカリの花だった

息子のいうブドウは小さな花の部分で
たしかに葡萄の房のようだ

これな!おうちに飾ってな!
そう言って自慢げに渡してくるが
茎の部分が短すぎる
このまま水につけると花がダメになってしまう

もうちょっと茎を長くつもうか?
何度かそう提案するうちに
少しずつ茎が長くなって
ようやくガラスの器に落ち着く程度になった

よーしがんばるぞ!と意気込む息子に
私は「待った」をかける

球根をもつムスカリの花は
摘んでしまうと長く持たない

おうちに飾るのはこれくらいにしとこうか
すぐ枯れちゃってかわいそうやしな

すると息子はシュンとしおれた
思わずしぼんだムスカリの花と重ねてしまう

毎年、春が来るたびに
我が家に摘まれてくるブドウの花
やっぱり今年も息子に摘まれてしまったけれど
きっと土の中に球根が残っているから

来年もこりずに
少しだけ摘ませてやってね

作品名:ひだまりのねこ 作家名:わたなべめぐみ