小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

女子外人寮

INDEX|17ページ/18ページ|

次のページ前のページ
 

みんなと違う研修生の二人


寮からでなく、アパートから通ってくる3年生がいた。
いつもぎりぎりまで出社しない。他の中国人達と違い、髪は茶髪だった。
ミニスカートから長い白い足を見せて通勤していた。日本人と変わらないと言うよりは、もっとオシャレをしているように見えた。化粧はアイラインも濃く目を大きく少し釣り上げ書かれてあり、口紅もしっかりつけていた。

あまりにも他と服装と化粧が違うので、俺は1年生の迎えをやっていた男に聴いてみた。
「あの色白の3年生、どうなってるの?寮に居なくていいの?」
「いや、あれは東京で販売担当している営業の間宮部長のアレでね」
「東京営業所のかい?」
「もう、出来ちゃったから社長も何にも云わない。その上彼女、ここでは一番の縫製技術者。それに間宮部長が単身で東京に居るから仕事がとれている。奥さんとややこしくなっている理由もそれらしいけど・・」
どうやら彼女、日本に居着くような雰囲気だった。
確かに俺も平均的な日本人より美人だとは思った。来年の帰国予定日にはどうするのだろうって余計な心配をしてしまった。

もう一人の3年生はコウと日本人が呼んでいた。
彼女は勿論化粧はしてなかったし、ジーパンと上着姿の平均的研修生のスタイルだった。
彼女は日本語が上手だった。いつも笑顔で気さくに日本人と話をしていた。彼女だけは相次ぐストライキに参加していなかった。
職場はミシンの並ぶ2階の工場ではなく、1階の資材置場の横の裁断室だった。
そこには日本人が3人いた。一人は35歳ぐらいのキャド技術者の独身女。二人目が55歳ぐらいの裁断工の男、そして裁断布を縫製工場に入れるまでのセットをする係もする事務員25歳、2階の俺の席に傍の女だった。

ここの部署は頻繁に会話が必要だった。コウは裁断を担当して電動刃物を器用に使って布を裁断していた。キャドを使っての大量自動裁断が出来ないもの処理をしていたのだ。
日本人の中に中国人が一人だけいる図式になっていた。
コウは結婚して子供を中国に置いて両親に面倒を見て貰っているとのことだった。

彼女だけは日本人と気軽に話ができるようだった。
俺も彼女とは気楽に話ができた。何かほっとする小太りの女だった。
資材の受払でドアの開閉が頻繁のため、彼らの裁断室は寒々としていた。
けれど彼女は着ふるした寒そうなジャージにジ―ンズ姿で黙々と働いていた。

俺は出て行った元の妻が置いて行った上着を思い出した。
(あれは、派手だからと言って着ないまま忘れて行ったものだから、着られるに違いない)
俺はそれを自宅近くの洗濯屋に出した。
作品名:女子外人寮 作家名:桜田桂馬