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女子外人寮

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またもやストライキ


朝の一年生の迎えが終わって通常通り会社に着くと、先輩の2年3年生が出社しない。
1年生と日本人スタッフは手持無沙汰だ。またもやストライキだ。

今度は深刻だった。それは労働基準監督署に中国人が駆け込んだらしいのだ。
正規の残業手当が貰えないとの訴えだった。
何れこんな残業手当不払い不正は露呈し大変なことになると思っていた。
過去2年間の残業手当の調査をする為、労働基準監督署が調査に入ったのだ。

聞き取り調査と書類調査が行われたようだが、1階の事務所での調査で2階の工場に居た俺達にはどんな様子かさっぱり解らなかった。
けれどその結果会社は残業手当の支給漏れ分を再計算し2年で500万円程の差額を中国人に支払うことになったらしい。

会社はもうすでに借り過ぎるほど銀行に借金が有ったから、新規銀行借り入れはできなかった。
独身の工場長、治郎さんは自分が貯め込んだ貯金の中から会社に貸付をした。
会社はそれを中国人達に支払ったようだった。
治郎さんがどんな思い出その貸し付けをしたかは俺には聴く勇気は無かった。

妙なもので支払いさえすれば、会社が罰則を受けて営業停止とか罰金を支払うとか有るかと思ったが、それは一切なかった。
もし、罰則が適用されるのなら会社は倒産するしか方法は無いだろう。
それでは社員が困るのだ。国はそこまで会社を追い詰めることはしないのだとこの時思った。
現に、世の中の半端者や老人、仕事だけマトモナ人々が多く働いていた。彼らとってはこの様な会社でも働ける場所を得ているのであった。
そして、その中に居た俺もやっぱり半端者のであった。

社長は善人には見えなかったけれど、落ち零れを集め仕事を与えていることは確かだった。
優良会社は能力の劣るものや家庭環境の悪い社員など雇わないだろう。それでもこのちっぽけな会社は十数人の日本人と出稼ぎの中国人40人程にまともとは言えないけれど、仕事を与え生活の糧を得させていることは紛れもない事実だった。
作品名:女子外人寮 作家名:桜田桂馬