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 コボルド群の後方。バトルフィールドからは100メートル程離れた闇の中に、まだ見ぬ獣は息を潜めていた。
 その影は立ち尽くしたまま眠っている様でもあった。だからといってこの影は決して造り物の石像などではなかった。
 その巨大な影は明らかにこのフロアには似つかわしくないレベルのもの。バトルに参加してくることとなれば、間違いなく勢力バランスが一転してしまう程の存在。
 静かに眠る動かざる影は、ようやく動き出したのだ。
 5人にとっては残念なことだが、この影がこれから向かう先は魔法光に照らされたバトルフィールドなのである。
 歩みを進め、50メートル程まで接近すると、暗闇の世界は終わり、そこより先は零れる魔法光の光によって生み出された仄暗い世界。
 その影は暗闇の世界と仄暗い世界との境界で一旦は立ち止まり、5人のバトルをジックリと観察した。

 やがて仄暗い世界に足を踏み入れ、侍に向かって歩きはじめる。
 獲物のおこぼれを狙っているのだろうか、魔影の足元には何所からともなく現れた一匹の小獣が小判鮫のように寄り添い歩いていた。その奇妙なとぐろを巻いた尻尾を持つ小獣は、バトルフィールドの間近まで来ると歩みを止めるとそれ以上は進まずに、その場にとどまった。その場所はバトルの行く末を見守るには特等席ではないだろうか。いずれにせよ、それ以上前進する事は許されない。そんなことをすれば自らの命にも危険が及ぶということを、こんなにちっぽけな小獣ですら理解しているようだ。

 バトルフィールドとの距離を縮めるにつれて、こぼれてくる魔法光の光が蒼色の肌に注がれ、徐々に魔影の姿は明らかになってゆく。そして、このフロアには明らかに似つかわしくないルール破りなレベルの魔人の姿を浮かび上がらせていった。

 とぐろを巻いた小獣は、仄暗い闇の中から魔人の後姿を見送っていた。