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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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うこん桜の香り

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校舎では生徒は7時になると許可なしに残ることはできないが、校庭や体育館は例外となっていた。
堀越は波子が8時過ぎに校舎から出てきたので注意をした。
「川田先生の許可を頂いてます」
波子はそう答えたのである。翌日も堀越は波子の姿を見たが呼びとめはしなかった。
その翌日、波子が泣きながら帰るのを堀越は見ていた。
制服の乱れに気がついた。
堀越は美術室に駆け上がりドアを開けた。
裸婦の絵に川田が色を載せていた。驚いた川田はあわててイーゼルを倒したが、堀越はその絵のモデルが波子であると解ったのだ。
「先生何してたんだよ」
「絵を描いてただけです」
「モデルはさっき泣いて帰ったよ」
「ここには誰もいませんでした」
「絵を見れば解るよ」
作品名:うこん桜の香り 作家名:吉葉ひろし