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愛憎渦巻く世界にて

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「詳しい話を聞かせてもらおう」

 ウィリアムがシャルルに言った。シャルルは頭をかいて、マリアンヌを見た。彼は、マリアンヌを自由にするということを、どう説明すればいいのか考えた。
「立ち聞きされている可能性があります」
シャルルが口を開く前に、メアリーがドアのほうを指さして言った。
「そうだな。メアリー、演歌でも歌ってくれ」
「そんな場違いな歌は歌えませんよ!」
ウィリアムとメアリーが何を歌うのかで、カラオケボックスにいるかのように揉め始めた……。すると、見かねたマリアンヌが、
「あの、地下でお話をしませんか?」
そう諭すと、シャルルといっしょに隠し扉の棚を動かした。ウィリアムとメアリーは、隠し扉の向こうにあった螺旋階段を見て、
「他国の人間に、隠し扉の場所を教えては駄目ですよ」
ウィリアムがあきれながらそう言うと、マリアンヌは、「しまった」という表情で顔を赤くした……。
「あいからわず、マリアンヌさんは天然だなあ」
ウィリアムがそう言うと、
「姫に向かって、そんな口を聞くとは、あんたは何者だ!!!」
ウィリアムの言葉づかいが気にくわないシャルルが叫んだ……。自国の姫君に対してのセリフなのだから、怒るのは自然な反応である。
「……彼にちゃんと自己紹介していなかったっけ?」
ウィリアムがメアリーのほうを向き、彼女に尋ねる。
「していません」
メアリーは即答した。

 すると、ウィリアムは、急にかしこまった表情になり、
「私は、タカミ帝国の皇子で、次期皇帝だ」
真面目な口調でそう言った。
「からかっているのか?」
ウィリアムの今の声は、真剣そのものだったわけだが、シャルルは信じていないようだ。まあ、当たり前といえば当たり前である。なにせ、現実的に考えれば、まずありえないことだからだ。
「これを見ろ」
ウィリアムは、こっそり首につけていたペンダントを、シャルルに見せた。そのペンダントには、タカミ帝国の皇室の証が刻まれていた。
「……いや、見たことないから」
平民のシャルルが、反応に困りながらそう言うと、
「シャルル様、この人は確かに、タカミ帝国の皇子様ですわ。お見合いをしたことがあるので、ちゃんと覚えています」
マリアンヌが自信を持ってそう言ったので、シャルルは納得できた様子だ。
「では、マリアンヌ様。地下へ案内してください」
ウィリアムは、先ほどの詳しい話を早く聞きたいという感じで、地下へと急かした。

 そして、4人は、地下への螺旋階段を降り始めた。シャルルは念のため、隠し扉の棚を元の位置に戻しておいた。彼には、ウィリアムとメアリーを説得できる自信があった。彼らを説得すれば、うまく姫を自由の身にできるだろう。

作品名:愛憎渦巻く世界にて 作家名:やまさん