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CROSS 第15話 『せめぎあい』

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第2章 幽霊の艦隊



「ここが艦橋(ブリッジ)。立派でしょう? この艦の艦長は私な
 のよ」

 妖夢は少佐をブリッジに連れてくると、少佐に自慢気に言った。
そこは旧日本海軍のような古風なデザインのブリッジだった。赤と
青のカバーがかけられていた艦長のイスとVIP向けの黄色のイス
が左右に置かれていた。霊魂が各自の持ち場で漂っていた。
「古くさいデザインだな」
少佐はそう呟いた。妖夢はムッとなる。
「それに、おまえが艦長とは、お国は人材不足のようだな?」
「……その言葉、そのまま返します」
次に妖夢は、ブリッジの窓まで少佐を連れてこさせた。

 ブリッジの窓からは、空母の滑走路を見ることができた。空母に
は二本の滑走路があり、一本は斜めを向いていた。滑走路の横には
エレベーターがついていた。そのすぐ近くでは、3機の戦闘機が駐
機してあった。その戦闘機の横には、あのプリズムリバー三姉妹の
少女たちがおり、近くにいる犬走椛に写真を撮るようにせがんでい
た。4人とも宇宙服のような『異次元空間服』に身を包んでいた。
「あの3人は、我々幻想共和国軍のエリートパイロットです」
「そりゃあ、幽霊だから死ぬことはないだろうからな。特攻しても
 大丈夫なんだろ?」
少佐はからかった。
「……我々はそんな戦法はとりません!」
妖夢が言い返した。
 そのとき、一匹の幽霊が妖夢に耳打ちした。聞き終えた妖夢は少
佐に、
「あなたのお船が、後ろからついてきているみたいよ」
どうやら、CROSSの特務艦がこの空母を追尾しているらしい。
古くさいレーダー画面に一隻の影が映っていた。
「ちょうどいいわ。あなたのお仲間にも見てもらいましょう」
妖夢は嬉しそうな表情で言った。
「……ストリップショーでもやってくれるのか?」
少佐はからかった……。その途端、妖夢の半身である霊魂が、少佐
に体当たりしてきた……。少佐は腹を痛そうに押さえていた……。
「……黙って見てて」
妖夢は刀に手をかけながら、少佐に忠告した……。

 少佐が窓の外をぼんやりと眺めていると、突然、空母の近くから、
白っぽい艦が次々に、異次元空間の海から現れた……。少佐は何事
かと、少し驚いていた。その艦には、幻想共和国のマークが印され
ており、現れた艦は見える範囲だけで5隻もいた。全てバリアのよ
うなものに包まれていた。
 異次元の海の中から現れた艦は、『幽ボート』という『潜超艦』
だった。この潜超艦は、『超空間』と呼ばれる異次元空間の海の中
を航行することができるものだった。普通の艦船では、超空間の不
思議な圧力に耐えきれない、この潜超艦はその超空間での航行がで
きるのだ。大日本帝国連邦軍も潜超艦を保有しているが、異次元史
上初めての潜超艦を完成させたのは、幻想共和国だった……。彼ら
は、魔力を使うことによって、超空間での航行を可能にしたのだ。
幻想共和国が先に超空間での航行を達成したことに、帝国連邦は驚
いたという……。