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CROSS 第15話 『せめぎあい』

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「これでも、わが国の力を馬鹿にするんですか?」

 妖夢は自慢気に言った。この潜超艦の大群が、この空母の護衛の
ようだ。上からは戦闘機、下からは潜超艦では、確かに攻めづらい。
とても、CROSSの特務艦1隻では、手の出しようがなかった…
…。
「どうしますか? おとなしく、牢屋に戻りますか? それとも、
 私たちと一戦交えますか? 特務艦と通信をつなげてあげますか
 ら、ここから攻撃命令を出してもいいですよ?」
妖夢は嫌味にそう言うと、ニヤリと笑った。
「……おとなしく、牢屋にいておいてやるよ」
少佐はわざとらしい口調でそう言った。妖夢が黙ってうなずくと、
少佐の身体は、また幽霊によって動き出した。

 少佐は、さっきのとは違う牢屋に入れられた。看守役の幽霊の霊
魂が一つ、少佐がいる牢屋の前で、ふよふよと浮かんでいた。
 少佐は逃げるのをあきらめて、冷たい床の上に寝転がって、寝る
ことにした。少なくとも、妖夢はオレを殺すつもりではないらしい。
殺すつもりなら、いつの間にか殺しに取りかかっているだろうし、
彼女はオレを公聴会に出席させようとしているのだ。物言わぬ状態
では、どうしようもなくなるだろう。
 少佐は、公聴会でされるだろうと思われる質問についてのうまい
回答を考えながら、眠った。



「すると、我々は、幻想共和国の議事堂まで少佐を迎えに行けばい
 いだけなんですか?」
『そういうこと』
ヘーゲルとレミリアが通信で話していた。ヘーゲルにしては珍しく
焦っていたが、レミリアは余裕たっぷりの様子だった……。
「……何かいいお考えがあるのですか?」
『すぐにわかるわよ。それじゃあ、私は忙しいから。また後でね』
レミリアはそれほど忙しくはなさそうな口調でそう言うと、通信を
切った……。
 ヘーゲルは深呼吸するとウィルに、
「少尉。幻想共和国に補給目的の寄港だとして、入国許可を取れ」
そう落ち着いた口調で言った。
「……了解」
ウィルは静かに返事をした。

 CROSS中が、少佐のことを心配していた……。ただ、当の少
佐は、のんきに寝ていた……。