小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

CROSS 第10話 『駆け引き』

INDEX|9ページ/11ページ|

次のページ前のページ
 


 少しして、山口はまた我に返り、胸のバッジに触れた。だが、いつも使っている通信バッジではなく、あの紅魔館のバッジだった……。
『何?』
少しして、バッジから声がした。(正確にはバッジからではなく、両耳に装着している特殊イヤホンから) 紅魔館のレミリアの声だった。
「スカーレットさん。かくかくしかじかで、公聴会に出席することになっちゃいました……」
『……さて、どうしようかしら』
「……すみません」
『……そうだわ! なんとかして、帝国連邦軍をその世界から撤退させるわ!』
「ハァ?」
山口は、つい変な返事の仕方をしてしまった。しかし、レミリアは話を続ける。
『その撤退の混乱に乗じて、逃げちゃいなさい。うやむやにできるから』
「……しかし、スカーレットさん! 妖夢は明日の朝からやるっていうんですよ」
『だから明日の公聴会は朝からなのね……。私は寝るからあんたの顔は拝めそうにないけど……。 そうねぇ、どっかに隠れちゃいなさい』
「どこに隠ればいいんですか? 行動できる範囲はすごく狭いんですよ!」
『それぐらい、自分でなんとかしなさい!!!』
レミリアの怒鳴り声がした後、通信を切られてしまった……。



 指揮官室を出た妖夢は、天狗通信の犬走椛を適当にあしらうと、周りに誰一人いないコンテナ置き場に移動した。虫1匹の羽音すら聞こえない静かな夜だ。
 そこで妖夢はポケットから、スキルカードに見える薄型通信機を取り出した。そして、それを耳に当てた。
『あら、妖夢。なんとかなった?』
通信相手は陽気な口調だった。
「ええ、幽々子様。合意してもらえました」
『この一件で、評議会での私たちの力はさらに強くなるわ!
 ……でも、まだ注意が必要よ!』
「え?」
『内容はわからないけど、ついさっき、あの男が紅魔館のレミリアに、ホットラインを使って通信をしていたみたいだから』
「泣き事を言っただけでは?」
『油断してはいけないわ、妖夢』
「……わかりました。これから彼を見張ることにします」
『頑張ってね!』
「はい」
妖夢は通信を終えた。

 そして、妖夢は山口を探しに出かけた。しかし、彼はすぐに発着場で見つかった。彼は、今にも飛び立とうとしているエアリアルにコソコソと乗りこんでいた。周りには誰もおらず、エアリアルのジェット音がするだけだ。彼が乗りこむと、ハッチが閉まった。すると、ジェット音が大きくなってきた。山口が乗ったエアリアルが飛び立とうしているのだった。
 妖夢は猛スピードで、飛び立とうしているエアリアルに向かった。
 エアリアルが5メートルほど上昇したとき、彼女は大きくジャンプする。ギリギリのところで、彼女は機体につかまることができた。