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CROSS 第10話 『駆け引き』

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第2章 退却



 山口は、ロケットランチャーをかついだまま、佐世保のところにやってきた。佐世保はしげしげとロケットランチャーを見た後、
「帝国連邦軍の戦車をロケット弾一発でブッ飛ばせるとは思いませんでしたよ」
佐世保の問いかけを聞いた山口は、炎上と誘爆を続ける戦車のほうを指さした。
「戦車の装甲は、前が厚くて後ろが薄いタイプが多いんだ。あの戦車もそのタイプだ。おまけに、後ろ部分には、使用する強化ウラン弾が詰まっているんだ」
「よく知ってますね」
「前に自分の目で見たからな。 おっと、ここから離れるぞ」
有害物質検知器がさっきよりも激しくなっていた。この強い放射能は、盛大に燃え盛る戦車からだった。
「基地に戻って、放射能除去薬を飲まなくちゃな」
山口はそう言うと、佐世保を起き上がらせようとした。幸い、彼女の肩の出血はもう止まっていた。ただ、彼女の視線は、山口の後方へと向けられていた。
「?」
不審に思った山口が、佐世保が見ている方向に振り返った。

 濃い霧の中から、重くて堅そうな鎧を身につけたり、剣や弓矢を装備した敵兵がのっそのっそと現れた。敵兵は皆、何かに餓えていた……。ヤツらは、燃え盛る戦車の残骸を避けながら、山口の元へ近づいていく。
「ちょっとヤバいな……」
山口は立ち上がった佐世保を少し離れさせてから、ロケットランチャーをまた発射した。発射されたロケット弾は、山口たちが入ってきた通路を塞ぐ鉄製の門の一番下の位置に直撃した。ちょうどその直撃した位置にあった工兵の下半身が、肉片となって散らばった……。
 ロケット弾の爆発による砂ぼこりが収まると、門の下に向こう側へと続く穴ができていた。一人ぐらいは通れそうな穴だった。
 山口はロケットランチャーを放り捨てると、佐世保を連れて、その穴に向かって駆け出した。それを見た敵兵たちは足を早めた。剣を抜いたり、矢を弓にセットする敵兵もいた。
「私の大事なショットガンが……。山口のライフルもですが」
佐世保が振り返りながらぼやく。
「敵にプレゼントしてやったと思ってあきらめろ。また同じのを買えばいいだろう?」

 山口は穴に着くと、佐世保をその穴に押しやった。彼女は急いで、穴をくぐって向こう側に移動する。彼は、穴の向こうに彼女が消えたのを確認すると、自分も穴に入った。
 そのとき1本の矢が、彼の右足の下腿の後ろ部分に突き刺さる……。敵兵が放った矢だ。矢はしっかりと刺さっており、出血が始まっていた。
「痛っ!!!」
矢が刺さった瞬間、山口は悲鳴を上げた。彼は矢が突き刺さったまま、痛そうにそのまま穴の向こう側へ移動する。