小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

蛇の目

INDEX|30ページ/32ページ|

次のページ前のページ
 

生臭い匂いが立ち込め、几帳面に思えるほど、小まめに扉の鍵を掛ける
権造に、不気味さを憶えた。
「ここいらでぇ山本ってのは、白ヘビさまぁ奉っている家系のことよ。
白ヘビさまぁ、長寿と繁栄の神様だっぺ。昔昔、神代の時代からぁ
この土地を支配して来たんだっ。
ここんとこ数世代、ワシらが不甲斐無いばかりに
白ヘビさまぁ、お怒りになってですよ。しっかりせねば。」

「再びぃ、この土地より、全国をウシハく為に。
白ヘビさまぁ、生き続けておられてですよ。」
次の扉が開けられたとき、すべての記憶が無くなると思われた。
いや、むしろ無くなってくれ、と願ったのかもしれない。

目の前に現れたのは、体長雄に10 数メートルはあろうかと思しき
白い大蛇が、胸をいっぱいに膨らませて、鎌首を擡げる姿だった。
いや、この白い大蛇のほかにも、数匹の大蛇が祖霊舎の中には蠢いていた。
これが、太古から生きてきた大蛇だというのか。
床には脱皮した跡なのだろうか、生臭い蛇皮が散乱していた。

よく見れば、権造の顔をした皮もあった。
この男は脱皮したのか。
つやつやした肌の110 歳の老人は甲高い声をあげた。
「あんたぁ川辺んちの話ぃ、聞きたかろ。あれんうちは生餌よ。
ヘビさまたちの供えモンとして、生かしておってですよ。
そこそこ、使い切ったらぁ、川辺んちのもんはぁ、皆ここで餌になる。」
作品名:蛇の目 作家名:平岩隆