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蛇の目

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⑨最終日



その日のインタビューは、いつもの母屋ではなく、裏山で行ないたい旨を
権造の家の女中から云われたとの、ホテルの支配人である市彦氏から
メッセージを受け取った。

母屋の裏手には庭園があり、東屋に権造の車椅子が見えた。
挨拶をして近寄ると、別人かのような、つるりとした肌の権造が
振り返った。今日は、代々伝わる山本本家の歴史について語りたい、と。
驚いたのは、山本権造が、車椅子から立ち上がったことだ。

「ホントはな、歩かにゃぁいかんと思うですが、
ついつい楽なもんで、さぁ。」
また山本権造に騙された!と思ったがこの驚くべき生命力と言うものは
どこからくるのか。
「代々の者が眠る我が家の祖霊舎を案内すっから」

祖霊舎といわれる土蔵は山本本家の裏手の森の中にあった。
黒い日焼けした壁には白いペンキで同心円の円が書かれていて。
山本家の家紋、「蛇の目」である。

古い枯れ葉の匂いが立ち込める湿気を帯びた日陰の土地にひっそりと
建っていたが、近づくとかなり大きな代物で。
圧迫感を感じるものだった。

時代劇のような閂に掛けられた大きな鍵を開け、扉を開けると
山本権造は手招きし、蔵のような祖霊舎に呼び込んだ。
「ここはぁ、バブルんとき掘り当てた温泉が通っておるからぁ
真冬でも夏のように温かになってなァ」すると蔵の扉を閉めた。
作品名:蛇の目 作家名:平岩隆