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悪魔の微笑みの男

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 ということである。
 もし断ったとすれば、
「借金は、一括返済」
 ということであり、そうなると、
「サラ金で借りた分を、法外な利息を入れながら返していく」
 ということを考えれば、
「このまま、いうことを聞く方が絶対にいい」
 ということになる。
 ただ、
「一番難しい」
 というのは、
「口外しない」
 ということになるであろう。
 口外してしまうということになれば、
「いずれ、うちの孫の耳にも入らないとは限らない」
 ということである。
 というのも、
「姉の方から、妹を訪ねてくる」
 ということになれば、それは、問題である。
「双子を生んで、姉を里子に出した」
 ということと、その相手が、それまでいくら借金を助けるという名目があったとはいえ、
「人道的にまずい」
 と思われることを、やってきたということで、
「この秘密は、墓場まで持っていく」
 と考えていただけに、
「口外だけは、少なくとも、自分たちが生きている間はされたくない」
 ということであった。
 もちろん、
「死んでしまった後であれば、もう、その影響力はない」
 ということなので、仕方のないことであろう。
 だから、
「自分たちの目の黒いうちは」
 ということであったのだ。
 そういう意味では、
「守られるべきこと」
 というのは、
「守られた」
 と言えるだろう。
 祖父母の死というのは、道子が高校生の時に、最初に、祖父が亡くなってから、その後を追うように、祖母も亡くなっていったのであった。
 すでに、
「両親がいない」
 という道子であったが、
「私たちが死んだあと」
 ということはしっかりと決まっていたようで、
「許嫁」
 というには、時代錯誤ということであるが、当時グループ会社の専務をしていて、
「会社のナンバーツー」
 と言われていた家において、その息子に当たる男性が、
「先代が亡くなった時」
 というのは、年齢としては、32歳だった。
 正直、一回り以上も上ということであるが、
「いずれは社長候補」
 ということである。
 実際に、祖父母の死後の社長というのは、
「父親である専務」
 が賄うことになった。
 だから、いずれは、
「会長に今の社長が、そして、社長に今の専務がなる」
 ということになるのだ。
 専務は、まだ32歳ということだったので、祖父母の遺言として、
「娘が24歳。つまりは、専務が40歳になった時に、結婚する」
 ということになっていた。
 その時に、遺産の半分以上と、会社の実権というものを、二人に託すということが決定していたのだ。
 もちろん、
「道子であったり、専務の息子がそれを拒否する場合は、二人には一切の権利も相続も放棄したということで、その時には、もう一つの遺言書というものが公開される」
 ということになったのだ。
 つまりは、
「遺言書は二つ存在する」
 ということで、しかも、
「最初の遺言書が執行すれば、その時初めて公開される」
 という不可思議なもので
「まるで、マトリョシカ人形のようではないか」
 と言われていたのであった。
 中には。
「もう一つの遺言書が気になる」
 ということを考えている人もいたが、
「その遺言書には、まるでミステリーにあるような、血で血を洗うという恐ろしいものがあるかも知れない」
 ということから、
「遺産相続をめぐる、連続殺人」
 というものを想像する人もいたのであった。
 実際に、この話は、報道もされ、全国的に、ウワサにもなった。
 そういう意味で、
「忌みのある遺言書」
 ということで、実際には、
「まだ八年後」
 ということではあるが、いくら、
「人のうわさは七十五日」
 ということであっても、なかなか忘れる人は少なかった。
 だが、
「八年という期間はうまくできている」
 ということで、
「五年が過ぎたころから、急にこのことを気にするという人は減ってきた」
 つまりは、
「そんな話あったよな」
 と思い出したとしても、
「すでに興味は消えている」
 ということだったのだ。
「世の中なんてそんなもの」
 というのを一番感じているのは、
「当事者である、二人」
 ということだったのだ。
 もっとも、本人たちは、自分たちのことなので、八年目が近づいてくると、それまでのように、
「無視しておこう」
 というわけにはいかなくなったということだ。
 これも、
「祖父母の狙いだった」
 ということであれば、
「なんと恐ろしい遺言状だ」
 ということになるだろう。
 そんな遺言書が存在しているということは、一時期噂になったが、次第に忘れられていったことから、道子というのが、
「普通に幸せそうな女の子」
 とまわりからは、嫉妬や羨ましく見られていた。
 道子の方も、あの
「変な遺言書」
 というもののせいで、どうもまわりの自分を見る目が気持ち悪く感じられるようになり、そのせいか、うちに籠ったような性格になったのだ。
 実際には、
「人見知り」
 ということで、一言で片づけられていた。
 しかし、道子にとっては、その方がよかった。変にまわりから詮索されるというのは嫌で、どうせなら、放っておいてもらう方が気が楽というものだった。
 人から詮索されるのを嫌うのは、
「男だから、女だから」
 というわけではないのだろうが、それぞれの性のホルモンというものが影響しないわけはないと思えるのであった。
 逆に、女性であれば、
「女性だから」
 あるいは、男性であれば、
「男性だから」
 と感じることで、ある意味、言い訳のように自分の中で唱えることができ、それが、そのまま、免罪符の役割を果たすのかも知れない。
 そんな免罪符を持っていると自分で感じたことから、高校生になってから、この遺言書の内容を知ってからというもの、特にその頃から、
「自分が女性である」
 という意識が強くなってきたといってもいいだろう。
「思春期というのが、中学生くらいの頃にやってくる」
 ということは分かっていて、自分が考えていた頃くらいに、実際にやってきた。
 その内容は、自分が想像していたものとは少し違ったが、やってきた時期が、思っていた時期だったことで、
「これが思春期なんだ」
 と感じることができたのだ。
 実際に、戸惑いはあったが、ただでさえ、それまでも、
「数奇な運命なんだ」
 と自分のことを感じていたことと、うちに籠ってしまった性格が、変化を求めないという性格になったことで、思春期による、
「他力本願」
 ということであるが、少し変わってくるその環境に、戸惑いを感じながら、さらには、
「希望」
 というものを持っていたといってもいいだろう。
「希望と不安のどっちの方が強いのか?」
 と聞かれれば、
「不安の方が若干」
 と答えるに違いない。
 それは、リアルに、
「まだまだ人生先が長い」
 と感じるからで、しかも、その途中における、
「大人への階段」
 ということでの、思春期というものが存在しているということを考えると、見えない先には、
「無限」
 というものしかないと感じるのだった。
 その場面にて、
「歩んできた道」
作品名:悪魔の微笑みの男 作家名:森本晃次