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悪魔の微笑みの男

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「あの男がいたから、脱退できたともいえるのではないか?」
 ということで、それこそ、
「毒を持って毒を制する」
 ということになるのか、
 問題は、
「どっちが、制される方の毒なのか?」
 ということである。
 結局、
「一瞬しかいなかった」
 というのがよかったのだろう。
「ぐずぐずしていると、簡単には抜けられない」
 ということであり、あのチンピラも、
「宗教に嵌って抜けられないような女を相手にすることはない」
 ということだったに違いない。
 あの男が、母親に執着していたのは、彼女が金持ちの家の娘だということが分かったことで、
「いずれは利用できれば」
 という保険のつもりで一緒にいたわけで、逆にいえば、それこそ、
「やりすぎた」
 ということになるのかも知れない。
 この男こそ、もっと早くこの家族から逃れていれば、自殺をすることもなかったはずなのにということである。
 母親は、それでも少しとはいえ、宗教にいたことから、
「生まれた子供は、責任をもって育てる」
 と考えていた。
 だから、両親もそのことは分かっていたので、
「双子のことは知られてはいけない」
 と思っていたのだろう。
 それを知られてしまうと、
「殺されてしまう」
 ということになるか、
「引き離される」
 ということは分かっていることであった。
 まだ、
「他で育てられる」
 ということであれば、宗教的には問題ないが、なんといっても、
「子供を産む」
 ということは、母性に目覚めるということであり、それが、果たして、両親の考えているほどのことで収まるかとは、想像もできないということからではないだろうか?
 だから、両親は、必死になって、双子であることを隠し、生まれてきた姉の方を、里子に出すということを、隠滅しようと考えていたのであった。
 だが、実際には、そこまでの工作というものは、結果としては、
「取り越し苦労にしかならなかった」
 ということである。
 そのことは、もちろん、
「誰にそんなことが想像できるというのか?」
 ということで、それこそ、
「よほどの予知能力か、陰陽師でもいなければ分かるものではないだろう?」
 と言えるのではないだろうか?
 そう、その答えは、
双子が生まれてからすぐ、母親が死んでしまった」
 ということであった。

                 遺言書

 実際に公式な発表としては、
「産後の肥立ちが悪かった」
 ということであったが、実際には、
「子供は無事に生まれたが、母親が出産に耐えられなかった」
 ということでの死だったのだ。
「なぜ、それを隠すというのか?」
 というのは、
「母親が死んだとしても、里子に出すということは決定事項だ」
 ということで、
「娘が双子を生んだ」
 ということは、娘が死んだということであっても、それは、
「永遠に隠さなければいけない秘密だ」
 と思い込んでいたのである。
 というのも、
「双子は忌み嫌われる」
 ということから、
「里子に出した」
 というのは、
「家の名誉と威厳」
 ということから、隠すべきことということで、
「都市伝説と、名誉や威厳を天秤に架ける」
 ということで、結果として、
「どちらも比較できない」
 ということから、苦肉の策として、
「産後の肥立ちが悪かった」
 ということに、してしまうということになるのだった。
 実際に、このことは、
「ずっと秘密にされてきた」
 ということであった。
 それは、
「母親の死んだ時期というものの微妙な違い」
 ということと、
「双子が生まれて、里子に出した」
 ということも、どちらも、長きにわたって、秘密とされてきたのだ。
 実際に、
「人のうわさも七十五日」
 ということになるわけで、
「時間が経てば経つほど、忘れ去られる」
 というのは当たり前のことだった。
 しかし、逆にいえば、
「抑え込んでいた圧力」
 というものも、あっという間に消えていくということであり、
「ウワサが、勝手に湧き出してくる」
 というのも、都市伝説として存在するというものであった。
「抑えつけられていたものに、何かの気持ちが入っているとすれば、そこから思わぬ形で、秘密が露呈しないとも限らない」
 ということからであった。
 だから、
「死んでしまった母親」
 というのは、ある意味、
「その後の運命を知ることもなく、あの世に召された」
 ということで、
「幸せだった」
 と言えるのではないだろうか?
 祖父母というのも、しばらくして死ぬことになる。
 もっとも、
「親よりも先に死んだ娘は親不孝」
 と言われるが、この場合はどうなのだろう?
 祖父母は、自分たちの考えから覚悟を決めて、
「その責任を一手に引き受ける」
 という気持ちは、
「娘が生きていたとしても、そこに変わりはないだろう」
 ということだったに違いない。
 しかし、娘が死んだということで、
「結局、全責任は自分たちが」
 ということになる。
 時間が経てば経つほどに、
「その力がどんどん薄れていく」
 ということは分かっていたに違いない。
「私たちが死ねば、もう効力はなくなる」
 ということで、結局は、その責任は、
「孫にゆだねられることになるだろう」
 ということであった。
 しかし、
「孫にはまったく関係のないことであり、しかも、その責任を負うというその責任を今背負っているのは、姉ではないか」
 ということである。
 しかも、その姉というのは、
「自分があったこともない」
 ましてや、
「その存在すら今は知らない」
 という相手に対して、いきなり、
「責任を持て」
 といって、どうすればいいのだろうか?
 姉の方は、引き取られていったところというのは、
「元々、召使のような人たちだった」
 というところである。
 実は借金があり、
「首をくくる寸前」
 というところまで行ったのだが、その借金は、
「じぶんたちにある」
 ということから、
「帳消しにするかわりに、自分たちにずっと尽くす」
 ということで、借金を返していくという条件をつけて、
「召使扱い」
 をしたのであった。
 とはいえ、昔の奴隷のようなことはない。
 あくまでも、
「借金の分を、ゆっくりでも返してもらう」
 ということでの、
「住み込みでの家政婦」
 と言ったところであろうか。
 だが、彼らにとっても、
「渡りに船」
 ということだったのか、
「娘を引き取れば、借金を帳消しにする」
 という悪くない条件と、
「絶対に口外しない」
 ということで娘を引き取るということは、引き取った方にも大きなメリットがあったといってもいいだろう。
「娘の養育費は渡す」
 ということで、
「借金棒引き」
 の上に、
「娘の養育費」
 ということで、家政婦をやりながら、住み込みではない状態になり、そこで、
「毎月15万を支給する」
 ということであれば、
「願ったり叶ったり」
 といってもいいだろう。
 そもそも、月々の借金の返済が、
「10万円」
 ということだったのだ。
 合わせて25万、
「家政婦としてのパート代も別」
 ということであれば、
「断る理由などどこにあろう」
作品名:悪魔の微笑みの男 作家名:森本晃次