【別説】神も仏もない
「占領軍政策」
ということにおいて、天皇制の維持が不可欠ということで、天皇制は残ることになったのであった。
ただ、それからの天皇には、権力はなく、あくまでも、
「象徴」
ということになった。
だから、戦後の日本は、生まれ変わった日本ということになるだろう。
ただ、実際に、その後も、
「天皇は神だ」
ということを信じて疑わない団体があった。
その団体が今の令和の時代にまで、その影響をもたらしている。
「宗教法人」
ということで、今の時代にも存在している。
戦後すぐに生まれた宗教団体で、基本は、
「天皇の神格化の継続」
ということであった。
かといって、
「天皇の象徴」
という考えを否定したり、信者以外に、
「天皇は神だ」
ということを押し付けるようなことはしない。
そういう意味で、
「布教活動というのは、厳かに行われている」
といってもいいだろう。
ただ、この宗教が、
「天皇を奉る」
というのは、団体名を見れば一目瞭然、
「帝の科学」
という名前における、
「帝」
というのは、昔から、天皇のことを表す言葉だからだ。
そこに、
「科学」
というのがあるのは、元々が、
「天皇の神格を科学によって考えよう」
という組織だったからだ。
もちろん、戦前までであれば、
「帝の権威を、科学などという言葉で解明しようなどという大それたことは犯罪だ」
ということであっただろう。
しかし、戦後は逆に、
「信仰の自由」
ということから、むやみに団体を迫害することはできない。
そういう意味で、
「この程度のことであれば、認めてあげるくらいの感覚でいれば、政府や自治体は、宗教にも寛容ということになるだろう」
とも考えられた。
ただ、
「天皇の神格化を科学する」
というのは、実際には簡単なことではない。
どうしても、戦前までの、
「天皇の、政治利用」
ということに触れないわけにはいかないからだ。
だが、戦後は自由となり、
「天皇は象徴」
ということになったのだから、逆に、
「過去の過ちを正す」
という意味で、
「神格化というものが間違っていたんだ」
ということであれば、それなりに、信憑性もあることになるだろう。
組織の考え方
この団体は、その組織名から、
「天皇の神格化を科学する」
ということが、その目的ということであるが、そもそもの宗教としての考え方というのは、別のところにあったといってもいいだろう。
それは、
「人の生き死にということで、輪廻転生というものがあるが、誰かが死んだから、誰かが生まれた」
という考え方である。
確かに、これだけたくさんの人がいるわけなので、
「誰かが死んだその時に、どこかで誰かが生まれている」
というのは、当たり前といってもいいだろう。
ただ、
「帝の科学」
は、それを、
「神による意図的な営み」
と考えているようだ。
だから、元々は、教団名にある、
「科学」
という言葉は、
「天皇の神格化」
ということであったが、次第に、
「人の生まれ変わりの科学の解明」
というものに変わっていった。
今では、それ以外にも、
「科学してみたい」
と思うことがあり、実際に可能であることであれば、
「教団の目的」
ということで、考えるようになるというところがあった。
そういう意味では、
「本当に宗教団体なのか?」
と考えるところもあり、
「宗教法人であるが、半分は学校法人のようなものかも知れない」
ということで、宗教団体としては、
「カルト宗教」
などの悪徳宗教団体とは、一線を画しているといってもいいだろう。
ただ、彼らの考えている、
「同じ時に死んだ人と生まれた人の間には、深いかかわりがある」
という発想を、科学的に解明はできていない。
他の宗教団体であれば、
「その仮説を当たり前のこと」
ということで、信者に対して、
「洗脳する」
ということで、半ば強引に、考えを押し付けようとすることだろう。
「信者である以上、他の考え方は許さない」
ということであり、しかも、
「だったら、脱退する」
と考えたとしても、そこで、
「教団による粛清」
というものが行われるところもあるかも知れない。
もうそうなると、
「宗教団体」
というのが、
「人を苦しみから救う」
という考え方ではなく、
「自分たちの考え方を絶対のものとして、団結を妨げるものは、死をもって償う」
とまでの考えのところがあるということであろう。
それが、結局は、
「社会問題となる宗教団体」
ということで、やつらがその団結力を保持するには、
「政治家の力」
というものを必要とするということから、
「政治家と宗教団体の癒着」
ということで、そこに金がかかわるということで、今の時代にも、
「いや、今の時代だからこそ、社会問題となる」
ということになるのだろう。
そんな、
「悪徳政治家」
と、
「悪徳宗教団体」
というものの関係もさることながら、この
「帝の科学」
に関しては、裏では正直分からないが、表に出ているところでは、戦後から今までの間で、
「悪いウワサというのは起こったことがない」
という団体だった。
逆に、
「名前ほどインパクトがある団体ではない」
ということから、他の団体とは、実際にも一線を画していたといってもいい。
「戦後から今までに、悪いウワサガ一つもないということは、それだけ、まじめな宗教なんだろうな」
ということであったが、そのわりに、信者が多いというわけではない。
それだけ、
「彼らの考えに共感できない人を、無理に入信させたり、騙すようなことはしない」
ということになるだろう。
ただ、それだけ、
「一般の人に、そう簡単には受け入れられない」
という発想になるのであって、
「少数精鋭の団体」
ということで、
「比較的静かな団体だ」
といってもいいだろう。
「一人の人が死んだタイミングで誰かが生まれる」
というのは、もちろん、
「範囲をどこまで見るか?」
ということで変わってくる。
「一つの市内」
ということであれば、なかなかあり得ることではないが、それが、
「一つの国家」
ということであれば、十分に可能性は高いといえるだろう。
しかし、範囲が広ければ広いほど、その二人の関係は薄いといってもいい。
人間の関係というと、近場から、どんどん薄れていくというのは当たり前のことであり、なんと言っても、一番の近しい関係というと、
「肉親」
ということである。
この場合は、
「血のつながり」
ということであり、それこそ、
「科学では証明できない」
というようなことが起こりえるということだってあるだろう。
たとえば、
「兄弟同士であれば、相手が考えていることが手に取るように分かる」
ということであったり、
「実際に、顔がそっくりで、見分けがつかない」
などというのは、
「兄弟であれば当たり前」
と、逆に言われることであろう。
そのことに関しては、基本的に誰も、
「不思議なことだ」
とは思わない。
作品名:【別説】神も仏もない 作家名:森本晃次



