夢のあれこれ
今度のパートは、一般事務であった。
自宅を事務所にしたような会社で、そこは、
「測量の会社」
だったのだ。
実際には、
「自治体から受注する」
ということで、そもそも社長は、まだ若く、
「社長といっても、若社長」
といってもいいだろう。
そもそも、
「世襲の会社」
ということのようで、まだ、40代の父親が、今では、会長のような形になっていて、社長を見ているということで、権力は、
「会長にある」
ということであった。
だから、社長は、まだまだ見習いということで、
「勉強中」
ということであった。
ただ、若いということで、それなりに、大変なこともあるようで、ストレスもあるということであった。
従業員は、そんなに多くない。
「全員でも20人もいないくらい」
ということである。
社員の半分は、現場での作業員であり、もう半分は、営業であった。
作業員の中には、
「営業もできる」
という人もいるので、小規模な会社ということであった。
「事務員が、妊娠した」
ということで、辞めることになったので、緊急に事務員を急募したというわけであった。
つかさは、学生時代から、簿記もやっていたし、測量関係の知識も若干ではあるが、ないわけではなかった。
そういう意味で、
「ちょうどいい方が入られた」
ということで、
「タイミングがよかった」
と、つかさは、素直に喜んだ。
そんな中で、仕事自体はそこまで忙しいというわけではなかった。
「専門的な知識さえあれば」
ということで、今まで、知識がない人が入って、
「ついていけない」
ということで辞めた人がいたことから、
「専門知識必須」
ということだった。
だから、専門知識さえあれば、そんなに忙しいというところではなかったということである。
「だから、結構仕事にも余裕があった」
ということであるが、まわりから見ていると、そのテキパキとした仕事のやり方に、感心させられる人もいただろう。
「尊敬の念を抱いている」
という人もいるくらいで、逆に、従業員が、
「彼女に近づけない」
という雰囲気であった。
だから、この会社では、
「仕事一筋」
ということで、スーパーのパートとは違い、逆に、
「天職かも知れない」
というくらいに感じていた。
だから、
「いつも定時で終わり」
であった。
というよりも、定時までかなり時間を残した状態で、その日の仕事が終わったということも結構あったくらいで、早く終わった時は、社長から、
「今日は、もう上がっていいよ」
と言われていた。
早く上がったからといって、その時間分、給料がカットされるということはなかった。
もし、そんなことがあれば、
「文句の一つも言ってやろう」
というくらいに思っていた。
実際に、
「この会社を辞めたとしても、ここでの経験があるから、他ですぐに就職できる」
という」くらいに思っていたのだ。
だが、この会社は、あくまでも、
「つかさが思っているような会社」
ということで、実際に、
「まったく文句が出てこない」
というほど、自分にとって、ありがたい会社ということであった。
そういう意味で、
「今の私は、実に余裕のある生活ができている」
と思った。
確かに、夫婦生活では、そこまでいい生活とは思っていない。
むしろ、
「夫婦生活のマンネリ化、あるいは、倦怠感というものを、いかに解消するか?」
ということを目的に、表に働きに出ていると思っていたくらいだ。
実際に、その通りだったのだが、働いてみると、
「これほど楽しいものはない」
と思えるのだ。
その楽しみの正体というのが、
「心の余裕」
というものだと気づくと、
「結婚してから今までで、一番楽しいかも知れない」
と感じた。
その理由として、一言でいえば、
「充実感」
ということで、
「私は、充実感というものを、いつも求めていたのかも知れない」
と感じたのだ。
実際に、
「仕事の時間も精神的に余裕もある」
ということで、実際には、
「スーパーのパート」
などに比べて、給料もよかった。
「誰にでもできるという仕事ではなく、専門的な技術が必要」
というだけで、
「ここまで給料が違うということか?」
ということも、やりがいと充実感に結びついてくるということになるということが分かるのであった。
だから、会社から、
「今日は早く上がってもいいよ」
と言われるようになると、
「どこか馴染みの店」
というものを探して、
「そこで時間を贅沢に使う」
ということがしたいと感じるようになったのだ。
最初の頃は、
「チェーン店となっているカフェで時間を潰していた」
のだが、実際に、
「学生や、女の子同士」
というような、集団がワイワイやっているということで、
「落ち着けない」
ということが分かった。
そこで、昔からの、横丁のようなところに顔を出してみようと思ったのだ。
「女性一人で大丈夫なのか?」
とも思ったが。
「そういえば、前のパートをしていた時の、バカな店長が、馴染みの喫茶店を持っていたといっていたな」
ということを思い出した。
それは、
「昔はアーケードなどがあって、賑やかな駅前商店街だったが、郊外型の商業施設にやられて、今では閑古鳥が鳴いているというけど、今でも、馴染みの客でもっているような店があったりするんだよ」
ということだったのだ。
実際に、
「馴染みの店」
というものを持っている人は結構いるということで、もっとも、
「そうでもないと、店が存続できるわけはない」
ということであった。
しかし、実際には、
「夜になると、バーとして経営している」
ということで、実際には、
「喫茶店としても、バーとしても、同じ人が常連さんになっているということは普通にある」
ということであった。
その話を思い出したつかさは、帰りに駅前の横丁に入ってみることにしたのだ。
働いているところは住宅街ということで、そこから駅に向かう途中に商店街がある。
普段は、そこを、
「夕飯の買い物」
という程度でしか考えていなかったが、時間的に、夕方というと、すでに、夜のとばりが下りるくらいの時間になっているので、喫茶店も終わりくらいの時間であろう。
実際に、
「夜はバーになる」
ということで、建て方は、
「まるで、昭和の喫茶店を思わせる」
という感じだった。
バーになるということで、店は、喫茶店としいぇは狭かった。
「カウンターと合わせて、テーブル席を考えても、全員が据わったとして、十数人がいいところであった」
そもそも、いつも、数人というのが普通のこのお店だということなので、しかも、
「ほとんどが常連」
ということで、
「皆指定席が決まっている」
ということだ。
この店は、
「早朝8時くらいから、ランチタイムの2時くらいまで営業し、後は夕方の5時過ぎくらいから、再度喫茶店をはじめ、徐々に、
「バータイムに移る」
という、少し変わり種のようなお店だった。
「それも、常連さんでもっている店だからできること」



