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夢のあれこれ

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 それは、
「交際期間からのことであり、特に、自分たちが考えていた、夢のような新婚生活」
 というものが、実現できていることで、
「何も疑う余地などない」
 ということからであろう。
 実際に、二人の結婚生活はその時点までだったのだ。
 要するに、
「ゴールを少しだけ先に進んだ状態で終わってしまった」
 ということであり、
「スタートラインのはずの結婚式の時点では、お互いに何かおかしいと感じていたのかも知れない」
 だからこそ、
「最初は新婚生活を謳歌しよう」
 ということを口にするのであり、言われた方も、何の疑いもなく、
「そうね」
 と答えたということである。
 言われた方も、
「何かおかしい」
 と感じないというのも、実におかしなものだといってもいいだろう。
 それを考えると、
「お互いにゴールだと思っていて、間違っていることに共感していたということなのだから、最初から、救いようがないといってもいいだろう」
 といえるのではないだろうか。
 実際に、新婚生活の時期を終えて、本当の結婚生活に入ると、お互いに、口調に遠慮はなかった。
「夫婦間で内緒はいけない」
 であったり、
「遠慮することはない」
 というのは当たり前のように感じていることであり、そこに、それぞれの立場が絡んでくると、言い争いになった時、
「一歩も引かない」
 ということになるのだ。
 それが、
「夫であり妻」
 という、
「二人の」
 いや、
「二人だけの生活」
 ということで、何でも二人だけで解決しないといけないということを、今さらながらに思い知らされているということであろう。
 それが、
「既婚者と、独身者の一番の違いだ」
 といってもいいのだ。
 二人は、
「一度すれ違ってしまうと、なかなか元には戻らない」
 ということを分かっているのであろうか?
 実際に、
「結婚生活というのは、二人の世界ということもあり、お互いにそれぞれの立場というものがあり、その立場には、権利と義務があることで、果たさなければいけない義務を果たすために、権利が求められている」
 ということをお互いに分かっていないといけない。
 つまり、
「自分には、義務がある」
 ということと、
「相手には、相手の義務を果たすために権利があることから、その権利を尊重してあげないといけない」
 ということだ。
 もっといえば、
「相手の義務というのは、お互いに夫婦として分けた関係」
 ということで、
「本来であれば、自分が背負わなければいけないはずの義務を、夫婦という形で、伴侶が果たしてくれようというのだから、協力するのは当たり前」
 ということである。
 だが、実際には、それくらいのことは分かっているはずではないか?
 というのも、
「共稼ぎは当たり前のこと」
 と、旦那は感じていたわけで、それというのも、
「二人で生活をしていくのだから、奥さんが働くのは当たり前という考え」
 というのは、
「自分だけではできないことを、奥さんにも分かち合ってもらう」
 ということなのだ。
 しかし、
「今の時代は、そうもいっていられない」
 ということで、
「奥さんが働くのは奥さんの義務だ」
 ということであるが、
「政府がしっかりさえしていれば、共稼ぎなどという世の中になることはなかった」
 ということであろう。
 だから、
「奥さんに夫婦生活をしていくうえで、協力してもらう」
 という気持ちにさえなれば、奥さんだって、
「それならしょうがない」
 ということで、快く協力してくれることだろう。
 しかし、それを、
「共稼ぎはさも当たり前だ」
 という考えでいられてしまうと、
「特に相手が、高圧的な態度に出てくるのが分かると、仕方がないとは思っても、簡単に相手の思惑に乗るということなどできるわけはない」
 と感じることであろう。
 そもそも、昔の
「男尊女卑」
 と呼ばれていた、封建制度の時代であっても、特に武士などが、物価の問題や、
「お家取り潰し」
 などということで、浪人になってしまうと、
「奥さんが、内職をする」
 ということは当たり前で、そんな時に、旦那は、
「すまないな」
 と敬意を表していたものだ。
 それだけ、
「背に腹は代えられない」
 ということであり、
「夫婦なんだから、二人で協力して難局を紀子郎」
 と考えたに違いない。
 今のような、比較的、何でも揃うという時代になれば、
「男女平等」
 ということが言われる時代といっても、心のどこかに、
「夫婦というもの」
 というものに理想があるのか、
「結婚生活の基礎を根底から覆すことになる」
 という意識がまったくないというのが、今の時代に多い夫婦の形というものなのかも知れない。
 結局、つかさは、
「旦那の押しに負けた」
 というのか、パートに出ることになった。
 旦那とすれば、
「俺が説得したんだ」
 と思っていることだろう。
 しかし、実際には逆で、
「しょうがないから、働きに出る」
 というだけのことで、結果が出たことに対して、自分の主張を押し通そうとすると、それは、
「言い訳でしかない」
 ということで、相手が、
「自分に意見が通った」
 と思っているところに追い打ちをかけると、それこそ、
「誰が聞いても、言い訳でしかない」
 ということになり、つかさの立場はなくなってしまうと思ったからだ。
 それくらいなら、
「相手に気持ちよくさせておく」
 ということで、つかさの中で。
「恩を売った」
 というくらいに思っておけばいいと考えた。
 つかさは、それくらいの機転が利く女だったということであろう。
 もっとも、
 だからこそ、あまり相手に逆らうということはなかった。そんな女だからこそ、旦那は、
「つかさを女房にしよう」
 と思ったのかも知れない。
 そもそも、
「おとなしい女性が好みだ」
 と、前から言っていたのは、
「自分に逆らうことのない、従順な女性」
 ということであろう。
 そういう意味では、
「相手を拘束する」
 という意識があり、どこか、
「サディスティックなところがある」
 と思っていたのはそういうところからだったのだ。
 付き合っている間では、それも悪くはなかった。
「何かを決定するのに、自分から決めてくれる」
 というのは、こっちが考える必要がないからだ。
 しかも、つかさが、旦那を最初に気に入ったのは、
「私が何も言わなくても、分かってくれている」
 ということからであった。
 だから、
「何かをするときも、彼の意見に従っていればいい」
 ということであり、
「私にとって、一緒にいるだけで幸せな気持ちにさせてくれる」
 というのが一番だったからだ。
 その時から、
「サディスティックなところがある」
 ということで、
「結婚すれば、亭主関白になるかも?」
 と思っていた。
 ただ、まだ結婚というものに憧れしか持っていなかったつかさとすれば、
「交際期間の延長が結婚」
 と思っていたので、
「交際期間に相手のことを知ってしまうと、急に変わったりはしない」
 と思っていたのだ。
 後になれば、
「この考えが、そもそも間違っていた」
 ということであり。
作品名:夢のあれこれ 作家名:森本晃次