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詐欺事件のフィクション

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「火事が起こった時というのは、そのあたりに火事が起こるようなものが普段は置いていない」
 ということを、警察が突き止めていたのだ。
 だから、
「あの不審火は、放火ではないか?」
 ということが言われ、放火として捜査が行われた。
 しかし、火事というと、連鎖があるものに感じるが、
「後にも先にも、他に、模倣犯というような事件は起こったわけではなかった」
 ということだったのだ。
 ということは、
「愉快犯」
 という意味での、
「連続放火」
 というものがなかったことで、
「模倣犯」
 という可能性も、
「愉快犯」
 という可能性も薄いのではないかということが言われるのであった。
 そうなると、あと考えられるのは、
「復讐により、放火に及ぶ」
 というもの。
「自作自演の、保険金詐欺」
 などではないかと思われるが、もちろん、ケミカル工場ということで、
「突発的な事故」
 というものにより、爆発から、火事が起こったということも考えられる。
 ただ、実際に鑑識が調べたところでは、
「爆発らしきものは確認できなかった」
 ということから、
「突発的な事故」
 ということも考えにくいということから、考えられるのは、
「誰かが故意に」
 という考え方になるだろう。
 ただ、問題はこの火災によって、逃げ遅れた人がいたようで、その人が焼死してしまったということであった。
 ある程度黒焦げになってしまったので、身元の確認が難しかった。
 しかも、
「焼死していて、身元が分からないほどに焼けてしまっている」
 ということで、
「DNA鑑定」
 というものもできないという。
 後は、
「この工場の関係者で、行方不明になった人がいないか?」
 ということであったが、実際に調べられたところでは、
「行方不明者はいない」
 ということであった。
 さらに鑑識が調べたところでは、
「あの死体、頭に傷があったんですよ」
 ということであった。
「死因は、焼死だということに変わりはないけど、逃げ遅れたのは、頭を殴られた時に、そのまま気を失ったか、意識はあったけど、逃げようとしても、身体を動かすことができないなどの理由があったのかも知れない」
 と鑑識が続けた。
「ということは、殺人事件ということになるのかな?」
 と刑事がいうと、
「そうだね。殺す意思を持って殴ったけど、死に至らなかったから、放火をしたのか、それとも、死に至ったかも知れないが、何かの証拠を消そうとして、火をかけたか。とにかく、残虐であることには変わりはない」
 と、刑事の先輩にあたる人がそういった。
「そうですね。放火というだけで、かなりな罪ですからね」
「それはそうさ。なんといっても、有無も言わさず、被害者の財産を奪うわけだからね。しかも、逃げ遅れる人が出るかも知れないと思えば、殺す意思はなくとも、死んでしまうということは予見できるわけだから、未必の故意の可能性もあることから、許されるものではないんだよ」
 と、二人は次第に、怒りをあらわにしているようだった。
 ただ、その後鑑識がいうには、
「何やら、倉庫の奥の方に、本がたくさん燃えているようなんですよ。それも、ハンパではない数ですね」
 ということであった。
「ケミカル工場に本というのも、何か釣り合わないですね」
 ということであった。
 さらに調べてみると、
「どうやら、この工場は、副業のようなものをやっていたそうですね」
 と、捜査員が調べてきた。
「副業というと?」
「実は、出版社に場所を提供して、そこに大量の在庫を置かせてやるという契約をしていたようなんです」
「何も、この会社がしなくても、専門の在庫を請け負う倉庫業を本業にしているところがあるだろうに」
 というと、
「それはそうなんですが、一つには、あくまでも副業で、以前ケミカル工場の羽振りがよかった時代に広げた工場だったそうなんですが、景気が悪くなって、その土地を売ろうとしたようなんですが、売るには、その土地代などが、かなり下がっているということで、なかなか、踏み切れなかったようなんです。しょうがないので、とりあえず、倉庫を広く使っていたようなんですが、出版社がどこで聞きつけたのか、その話を聞いて、倉庫として使わせてほしいといってきたということなんです。工場の方も、場所を埋もらせるのはもったいないということで、少々安くとも、貸し出すことにしたらしいんですよね」
 というのであった。
「とはいえ、わざわざ、こんなケミカル工場になんかしなくとも」
 というと、
「いえいえ、実は、その契約に来た出版社というのが、最近世間を騒がせている、詐欺出版社だというんですね:
「というと?」
「やつらは、本を出したいという人を募って、半分作者に費用を出させるという名目でお金を出させ、本を作れば、本屋に置いてもらえるという約束を信じて騙されたということなんですが、そもそもの、一つの本を作るのに、ロットというものがあるわけで、どんなに少なくとも、500部くらいは作成するというんですよ。しかも、それが、素人の本なので、今の出版不況と呼ばれている時代において、どこの本屋が、置いてくれるというんですかね。そんな簡単なことも分からず、作者はお金を出して、本を作るんですよ。でも、本屋に置くという約束があるので、作った本のほとんどすべてが、どこにも裁くことができずに、在庫となるわけです。大っぴらに作者にも言えないということで、結局は、こういう副業でやっているような工場を、在庫倉庫として使わせてもらうしかないということですね。しかも、在庫の保管料もバカにならない。安いに越したことはないということですね」
「なるほど」
「でも、最近は、作者側も、その詐欺が分かってきたようで、いろいろなところで訴訟問題になっていて、出版社側も、信用が失墜して、信用第一の商法が、根本から崩れてしまったことで、今は、いくつかの会社が破綻したということです。あくまでも、想像なんですが、詐欺会社とすれば、在庫を持っていても金が出ていくだけということで、彼らにも、消失することに意義があるとすれば、工場の目論見と、因果関係が合致したということで、結果的に、利害の一致から、放火事件に結びついたとも考えられますね」
「ということは、工場側とすれば、何か保険金を狙っての目的があったのかな?」
「ええ、そのようです。まだはっきりとは分からないんですが、その線も十分に考えられるということでした」
 という話になっていたのだった。
 しばらくしてから、死体の身元が判明した。
「DNA鑑定ができないので、間違いないとはいいがたいが、かつての工場会計者というところまで、捜査を広げてみると、工場火災のあたりから、消息不明になったという人がいた」
 ということであった。
 その男は、
「工場の経営がゆがみ始めた時、リストラ対象となり、解雇を余儀なくされた人だった」
 ということであった。
「ただ、辞めてもらう時に、他の会社を紹介したんですけどね」
 と、社長はいうのだった。
「紹介された会社ではどうだったんでしょうかね?」
 と刑事が聞くと、