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限りなく事件性のある

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 そんな中で、他にも、同じように別荘を、ゲストハウスのように使用する人がいた。そのおかげで、別荘を隠れ家にしても、目立たないということだったのだ。
 実際には、
「見つかってしまうかも?」
 という心配もあったが、隠れ家として使用していたのは、一年ほどのことだった。
 さすがに、
「いくら見つからないとはいえ、一年以上、同じところにいるのは危ない」
 と犯人も思ったのだろう。
 それが、
「間違いではなかった」
 ということが分かったのは、隠れ家の時代が終わってからm半年ほどが経ってのことだった。
 その別荘で、オーナーも知らない人がしばらく隠れていたようで、その人が、瀕死の重傷ということで発見されたのだ。病院に運ばれて、手当てを受けたが、
「とりあえず、命には別条がない」
 ということで、事無きを得たのだが、どうやら、
「記憶を失っている」
 ということで、その時に何があったのかということは、その人の記憶とともに、誰にも分からない状態だったのだ。

                 別荘に潜伏

 その人が、なぜこんなことになったのか、正直分からない。オーナーとしても、
「半年前までいた連中が戻ってきたのではないか?」
 と考えたが、
「半年も経っているのだから、当然、この近くにはいないだろう」
 という考えがあった。
 実際に、彼らを、
「怪しい」
 とは思っていたが、何をやったのかということまでは知らなかった。
 ただ、
「ヤバいことをして逃げているのであれば、一度潜伏し、そこから離れたのであれば、二度と、以前の潜伏場所に戻ってくることはないだろう」
 と考えた。
 なぜなら、
「ここがバレれば、警察はこの近辺を探すに違いない」
 と思うからだった。
 それでなければ、今のところはまだ安全なのだから、
「わざわざ、潜伏場所を変えるという必要もないだろう」
 ということであった。
 そういう意味で、この隠れ家は、
「もし、事情を知っている人がいるとすれば、恰好の隠れ家だといってもいいかも知れない」
 といえるだろう。
 なぜなら、人が住めるようにして、実際に人が住んでいたということから、近所の人も怪しいとは思わないだろう。そして、
「以前とは違う人が住んでいる」
 ということになれば、実際に、
「本格的に、ゲストハウスでも始めたのか?」
 と考えることであろう。
 幸いにも、こういうところは、表に宣伝などを施すということはなく、ネットで検索しなければ出てこないというようなところで、そういう意味で、
「隠れ家的なところ」
 ということになるのだろう。
 だが、実際には、オーナーも知らなかった。
 まわりの人は、
「てっきり、オーナーが貸し出している」
 と思っていたはずだ。
 だから、誰も怪しまない。だから、記憶喪失の男が、潜伏するということになったのだろう。
 この男が発見されたのは、夜中だった。
 すぐ近くを国道が通っていて、昼はそれなりに、車の量はあるのだが、日が暮れると、めっきり車は少なくなってくる。
 別荘地として賑やかだったころにできた国道であったが、そもそも、
「バイパスとしての機能」
 というものを果たしているわけではない。
 どちらかというと、
「都市部を一直線に結んでいる」
 というわけではなく、まるで、
「二等辺三角形」
 のような形になっているので、わざわざ、この街を通って通勤するという人もいないのであった。
 もちろん、
「通勤ラッシュで、混む道を通りたくない」
 と思っている人は、こっちの道を通るだろうが、それだけ、ガソリン代もかかるということを考えると、わざわざ遠回りをしたりはしないだろう。
 そういう意味で、この道を通る車は、特に夜になるとまばらだった。
 だから、こちらの道を通る車は、皆、結構スピードを出している。
 そして、ライトを上げて走っている人が多いので、道に人が倒れていれば、すぐに分かるというものだが、一歩間違えて、発見が遅れると、
「ひき殺してしまう」
 という可能性もあるのだ。
 この時は、運転手がしっかりしていたのでよかったが、明らかに、道の真ん中にうつぶせで倒れていたという。
 それも、道いっぱいに広がる形で倒れていたということで、発見も早かったことが、
「事なきを得た」
 といってもいいだろう。
 実際には、道にはブレーキ痕が残っていたことで、急ブレーキを踏んだことには違いないが、それだけ、運転手が驚いたということだろう。
 つまりは、
「運転手としても、まさかそんなところで、人が倒れているなど思いもしなかった」
 ということである。
 事情を聴いただけで、誰が、こんなところで人が倒れているなど、想像できるというものか?
 実際には、轢かれているわけではないので、通報者は、
「第一発見者」
 というだけのことだったが、突発的なことで、いきなりでびっくりしたというわりには、その光景は、
「鮮明に覚えている」
 ということである。
 それだけ、
「印象的な光景だった」
 ということであろう。
 本人としても、
「まさかこんな光景を、これからも、そう何度も見れるものではないだろう」
 と、本人も感じていることだろう。
「トラウマになりそうだ」
 と思うくらいで、実際に、
「数日は、ハンドルを握ると手が震えていた」
 というくらいで、
「次の日はさすがに、電車で通勤した」
 というくらいだったのだ。
 それでも、
「電車通勤」
 という久しぶりのことをすると、一日しかハンドルを握っていなかっただけなのに、まるで、
「一か月ぶりくらいにハンドルを握った」
 とでもいうような不思議な感覚に見舞われていたのであった。
 おかげで、ハンドルを握って手が震えてはいたが、トラウマとしてショックが残るというほどのことはなかったようだ。
 三日もすれば震えもなくなり、自分としても、日常生活に戻れたのだった。
 その間、警察の訪問を受け、
「第一発見者」
 として、尋問を受けた。
「ショックはショックで、今でも、ハンドルを握ると、手が震えますけど、冷静になれば、その人が道に倒れていたというだけで、おかしなことはなかったですね」
 という。
「頭に殴られたような痕があったんですが、気づきませんでしたか?」
 と言われて、
「ああ、手に血が付いたので、一瞬、自分が轢いたのではないかとドキッとしましたけど、接触した感触は一切なく、実際に、車を停止したのは、男が倒れている場所から、かなり前だったので、勘違いだということはすぐに分かりました。自分でも、安心してしまったことで、血が出ていることに対して、いけないんでしょうが、他人事のように思えたんですよ。そう思えば、血が出ていることは、それほど気になることではなかったですね」
 と言った。
「すぐに救急車を呼んだんですか?」
 と聞かれて、
「ええ、苦しそうに呻いていたので、自分は、大丈夫ですかと声を掛けながら、まずは救急車と思ったんです。一緒に警察にも連絡したんですが、あんな山道で、車の通りもない真っ暗な場所ですから、とにかく、時間がなかなか経ってくれないということで、次第に、薄気味悪く感じるようになってきました」
作品名:限りなく事件性のある 作家名:森本晃次