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限りなく事件性のある

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「警察官ともなれば、誇りを持っていないとやっていられない」
 ということから、家族に言われても、
「誇りが身についている」
 ということから、
「警察を辞めるということは、俺のプライドを著しく傷つける」
 ということで、
「俺ではなくなる」
 ということになるといってもいいだろう。
 それを考えると、
「家族との溝が一番できるとすれば、警察官」
 ということになる。
 特に、警察官は、家では、
「捜査や警察内部のことを話してはいけない」
 ということで、家族からすれば、
「不信感しかない」
 ということになるだろう。
 そうなると、
「警察組織というものに関わっている父親は、家族ではない」
 と思うかも知れない。
 しかし、父親はそれでも、
「家族のために働いている」
 という気持ちは、誰よりも強いということから、
「家族との間の溝ができやすく、できてしまうと修復が難しい」
 というのは、
「警察官が一番だ」
 ということになるだろう。
 子供の頃は、
「お父さんのような警察官になりたい」
 と思っていた子供が、気が付けば、
「警察なんて、害でしかない」
 と思うようになる。
 つまりは、
「警察官の家族は、警察という組織の犠牲になるしかない」
 ということになるのである。
 霧島警部補は、今まで解決してきた事件の中で、褒められるようなことは、正直なかった。
「家族にも言えない」
 というようなことが結構あるようで、それでも、本人は、
「家族のため」
 という免罪符を持っていることから、警察官としての仕事に誇りを持っていると自分で感じていたのだ。
 しかし、そんなことが長く続くということはない。本人は必死になって警察官を勤めているつもりであったが、そのためには、少々ひどいこともやってきた。
「毒を食らわば皿まで」
 ということが当たり前として考えるようになったせいで、感覚がマヒしてきたといってもいいだろう。
 表向きは、
「優秀な警察官」
 ということになっていた。
 ただそれは、
「警察上訴部が作り上げた幻想」
 ということである。
 実際に、検挙率に貢献していたり、逮捕した数での表彰が、県警でも群を抜いていた李すれば、
「優秀な警察官」
 ということにしないと、世間に示しがつかないということである。
「警察の権威」
 というものを示すのであれば、
「数字で貢献している人を祀り上げないと、それこそ理屈に合わない」
 ということである。
 それを考えれば、
「霧島警部補は、優秀な刑事」
 ということにしておかなければ、世間に対しての辻褄が合わないといってもいいだろう。
 ただ、あくまでも、
「それだけのこと」
 というだけで、世間からはあまりよく思われていない。
 世間の評判とすれば、
「横暴な刑事」
 としてしか思われていない。
 逮捕されたことがある犯人たちはもちろん、捜査において、目撃者であったり、被害者、加害者の関係者、さらには、目撃者などの、あらゆるかかわりのある人からは、一様に、
「あの男は、自分のことしか考えていない」
 と思われていた。
 それも、
「警察の威信を振りかざし、威張り散らしている」
 というイメージしか湧いてこないということからであろう。
 さらに、警察内部で、一番接している、同じ刑事課の人からも、ロクな風には思われていない。
 上司からは、
「いつも一人で勝手に捜査をする」
 ということで、
「警察の秩序を乱している」
 と思われている。
 当然、同僚や部下からも、
「あの人は、自分勝手に動く人で、しかも、本来であれば、部下に何かあれば、庇ってやるくらいの気概があってもいいものを、まったく庇うこともせず、手柄だけを自分のものにしようとするような、とんでもない人ですよ」
 ということであった。
 そんな彼が、自分のミスで、犯人を逃がしたことがあったが、その時、ほぼ間違いなく、同僚や、上司、部下に至るまで、
「ざまあみろ」
 と思われていたことだろう。
「一度くらいは、そういう目に遭ってもらわないと、こっちがやってられないや」
 というくらいに思われていたことだろう。
 だから、誰も彼を庇う人はいなかった。
 彼の捜査について観察が入った時も、以前であれば、皆何も語ろうとしなかったが、この時は、
「この時とばかりに」
 ということで、今までのうっ憤を晴らしたことだろう。
 結局、その時のことから、
「辞表を出さなければいけない」
 という立場に陥り、結局、警察を辞めるということになったのだ。
 それも、仕方のないことで、
「自業自得」
 と誰もが思ったに違いない。
 さすがに、因果応報ということまでは思わなかったかも知れないが、今回、
「記憶喪失状態で発見された」
 という事実から、今回はさすがに、
「因果応報だ」
 と言われても仕方がないだろう。
 記憶喪失になると、
「これが、あの霧島警部補なのか?」
 と思ったに違いない。
 実際に、発見された管轄では、霧島警部補のことを知っているという人はいなかったが、
「被害者の身元が判明した」
 ということで、
「あの霧島警部補」
 として公表されると、元々いた警察署から行かないわけにはいかないだろう。
 すぐに、上司と同僚の二人が、やってくることになった。もちろん、
「あの傲慢で、自分勝手な霧島警部補」
 という印象を持ってのことであった。
「意識は戻っているが、記憶はまだまだ曖昧で、まだ、自分のこともハッキリと分からない状態」
 ということを聞かされていたので、
「我々の知らない霧島警部補が見られるかも知れない」
 ということは覚悟したうえで、病院に向かったのだ。
 病室で、静かに寝ている霧島の頭には、真っ白い包帯が巻かれていて、実に痛々しい状況である。
 部屋に入っても、誰が来たとしても、まったく動じないその姿は、普通であれば、
「堂々としている」
 と感じるのだろうが、
「記憶喪失で、意識が朦朧としている」
 ということから、今までの霧島警部補という人物を、忘れてしまっているかのように思えるのであった。
「これが、あの霧島警部補」
 と、上司も同僚も、それぞれに、ショックを隠し切れないという感じであった。
 二人とも最後にあったのは、半年前だったにも関わらず、
「まるで、数年くらい会っていないかのように感じる」
 とほぼ同時に感じていた。 
 しかし、その内容は、それぞれに、立場が違うということから、微妙に違っている。
 どうしても、
「上から目線」
 である上司の方からは、本来であれば、上司に逆らえないという立場の部下のはずなのに、
「徹底的に、自分を表に出していた」
 ということで、よく言えば、
「上司であろうが、ブレない態度」
 というものに、一本しっかりとした線が通っているといってもいいだろう。
 しかし、今の霧島には、
「線が通っているどころか、自分のことも分からない」
 ということで、あれだけ、
「絶対に、彼の態度を許してはいけない」
 と思ったことで、
「彼の人間性を許してはいけない」
 と思っていたことすら忘れてしまいそうであった。
 そう、
作品名:限りなく事件性のある 作家名:森本晃次