限りなく事件性のある
と考えたのも、無理もない気がするのだった。
「しかし、ここでの、自殺死体を発見した」
というだけではない、別の事件が同じ場所で、数日と開けずに起こったということは、「この二つの事件に、まったく関連性がないと見る方が、実際におかしいのではないか?」
とも考えられるというものだ。
「ということは、この場所で、別々の、自殺事件と、殺人事件が起こったということになるのだろうか?」
と考えられたが、
「そこに関連性があるかも知れない」
と考えると、警察が今調べなければいけないのは、
「殺害されたとすれば、被害者を見つけることが最優先」
ということであった。
「本当に死んだのかどうか?」
ということも問題である。一番考えられるのは、
「殺しておいて、死体をどこかに隠した」
ということである。
ただ、おかしなのは、
「死体を隠すだけのことをするのに、凶器をそのまま、放っておくというのは、普通では考えられない」
ということである。
ここにナイフを置いたとしても、先に自殺と思われる死体があったのだから、この人物を犯人とすることは無理である。
「死亡推定時刻」
というものを調べれば、一目瞭然ということである。
実際には、その場で殺人事件が行われたというのは間違いないということなので、自殺死体の発見とは別の殺人事件があったということで、オーナーはさすがにパニクってしまった。
「ということは、ここで、一週間以内に、少なくとも、二人がここで死んだということになるんですね?」
と、改めて確認すると、
「そういうことです」
と、分かっていることとはいえ、改めて言われると、
「ゾッとしないまでもない」
ということであった。
「そこで、オーナーに確認したいんですが、この物件には、今誰も契約者はいないというわけですね?」
と聞かれ。
「ええ、誰も入っていませんね。元々は、バブル期の時に、財テク目的で購入したんです。というのも、半分は騙されたとしか思っていませんけどね」
と、その怒りを素直に警察に向けた。
警察も分かっているのか、複雑な表情にはなったが、ことが、事件ということで、同情ばかりはしていられないといことで、
「少しずつうかがっていきますね」
ということになったのだ。
「ここを、ずっとこのままにしておくおつもりだったんですか?」
と、いきなり、核心を突くかのような質問が飛んできた。
しかし、これは、オーナーとしては、想定内ということであったので、
「いえいえ、こちらとしても、いろいろ考えてはいました」
というのであった。
「どういうことを考えていたんですか?」
というので、
「レストハウスか何かにするつもりだったんですよ。別荘としては売れないと思ったので、ペンションのようなものにしようと思ったところだったので、ちょうどいいと思ってですね」
ということであった。
「なるほど、だから、少しずつきれいにされていたんですね?」
と聞かれ、
「ええ、一気にできるほど、予算的にはまだ計画できていませんからね。どうせ、客が入る時には、最終的にきれいにするわけなので、体裁だけは整えておけば、いつでもオープンできると思いましてね」
という。
それが、半分は、
「言い訳である」
ということまでは、さすがに警察も分かってはいないということであろう。
その言い訳というのは、
「半年前まで、住んでいた連中へのもの」
であった。
実際には、
「近所の人から、半年前まで誰かが住んでいた」
ということを聞くことになるだろうが、その時のことを変に詮索されないような下準備ということで言い訳として成立しないようにしておいたのだ。
とはいえ、
「別に悪いことをした」
という意識はない。
ただ、
「今回の事件が、あまりにもセンセーショナルだった」
ということから、
「さらに複雑にはしたくない」
という意識からであった。
それにしても、
「近くのこの場所を使ったというのは、どういうことなんだ?」
実は、
「このあたりを、レストハウスの拠点にしよう」
という考えは、それぞれに持っていた。
というのは、
「あるイベント会社が、この場所を最終的に買収しよう」
という考えから、
「このあたりを、組織的に懐柔する」
という計画を立てていた。
見た目には、
「まったく違う計画に見えるのだが、実際には、最初から計画されたことだということでの、ち密な計画」
ということだったのだ。
それを警察はまったく分かっておらず、そもそも、
「警察は、刑事犯の捜査」
ということで、
「民事における問題」
というのは、
「民事不介入」
ということで、オーナーとしても、
「別に警察に探られることもない」
と、半分は開き直っていた。
だから、今回の事件としては、
「被害者がどこにいるのか?」
ということが問題だったのだ。
「死んでいるのか、生きているのか」
それが一番の問題ということであるが、まったく血に染まったナイフと、その床に落ちていた血痕というものが一致したというだけのことで、その捜索というものに関しては、
「まったく役に立たない」
といってもいい。
考えられることとして、
「自殺をした社長の関係者」
ということで捜査が行われた。
社長の会社は、すでに倒産していて、奥さんが、その保険から保障を行うということも宣言していたので、
「元従業員」
というものを探すのは、そこまで難しくはなかった。
実際には、すでに別の会社を見つけて働いているという人もいた。
もちろん、失業中の人もたくさんいたわけだが、調査する限り、
「行方不明」
であったりした人は一人もいなかった。
「やっぱり、この事件は無関係なんだろうか?」
ということであるが、その頃になって、同じ、別荘地であったところから、
「記憶喪失者が見つかった」
ということとの接点が考えられるのであった。
というのは、
記憶喪失の男の意識が回復したのが、発見されてから、3日目のことであった。
その間、
「完全に意識がなかった」
というわけではない。
時々意識を取り戻すということはあったのだが、自分の記憶がないということに気づくと、
「意識を失う」
という不思議な症状を示していたのだ。
医者の方では、
「ごく稀ですが、そういう患者も実際にはおられます」
ということで、警察としては、
「何かまずいことがあるので、それをごまかそうとしているのではないか?」
ということで、
「記憶喪失というのも怪しい」
と思っていたが、医者の診断において。
「記憶喪失が狂言ということはないと思います」
と、ハッキリいうのだった。
この先生は、精神科でも、権威のある人で、特に、
「記憶喪失患者」
というものに関しては、全国的にも有名な人ということであった。
「今までに、何人もの記憶喪失患者を治療して、立ち直らせた経験が豊富」
ということで、警察も一目置いていた。
「博士のいうことは、信じてもいいはず」
ということで、医学的なことは、博士に全面的な協力をお願いしていたということである。
博士が、患者と話をしていると、
作品名:限りなく事件性のある 作家名:森本晃次



