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予知能力による抑止力

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「小学生の頃に感じた大人というのは、子供から見た大人」
 ということで、
「憧れというものが、全面に出ている」
 といってもいいだろう。
 だから、
「早く大人になりたい」
 と感じるというものであるが、これが、
「中学生になって感じる大人」
 というのは、
「汚い部分を含んだ」
 ということが見えてくるのであった。
 自分が、思春期に入り込んでいるということで、
「汚い大人になりかかっている」
 ということを感じさせられるのだ。
 というのは、まわりの男子が、
「異性に興味を持つことで、いわゆる耳年増になることで、知りたくもない情報が漏れ聞こえてくる」
 というものだ。
 異性というものを、
「汚いものだ」
 などと思いたくもないのに、聞こえてくるものは、
「羞恥心をくすぐる」
 というものであり、
「思春期に異性に興味を持つ」
 ということは、
「恥ずかしいことだ」
 ということを植え付けられることであった。
 だから、
「思春期を迎えて、大人に近づくということは、女への興味を持つことで、それが、犯罪に結びつくことになるのではないか?」
 という意識を持ったからだった。
「だったら、思春期などなければ、性犯罪だって起こらないはずなのに」
 という矛盾を感じるのであった。
 ただ、鈴村は、今は異性に関しての感情を極力抑えて、それができれば、思春期を、無難にやりすごすことができると思っていたのだった。
 だから、
「なるべく人と関わりたくない」
 と思うのもそのためで、少なくとも、
「思春期の間だけは、余計な感情を持ち合わせないようにしないといけない」
 と感じるのだった。
 だが、そんな鈴村は、
「佐土原が万引きをしている」
 というのを見てしまった。
 まわりにあまり関心を持たないようにしている鈴村とすれば、
「佐土原の単独行動によるものだ」
 としてしか思えなかった。
 だから、
「佐土原がいじめられているために、万引きをさせられた」
 という事情を知らない。
 だから、鈴村は、
「残酷なことができる」
 ということになったのだ。

                 交わることのない平行線

 残酷な行動というのは、
「犯罪行為を犯した佐土原に対して、脅しをかける」
 ということであった。
 それこそ、苛めということであり、
「実際には、いじめを行っているグループにいわれて、万引きをした」
 ということであるが、
「それを知らない」
 つまりは、
「鈍感」
 とも思われるような判断が、
「勧善懲悪」
 という気持ちからなのか、鈴村は、気持ちのどこかで、
「許せない」
 という思いを持ったのだった。
 鈴村は、佐土原を影に連れ込み。問い詰めたのであった。
「お前はなんで、あんなことをしたんだ?」
 と、聞いてみる。
 しかし、
「なるべくなら、大きな問題にしたくない」
 といういじめられっ子ならではの発想から、何も答えることのない佐土原に対し、
「言い訳がない」
 ということは、認めたも同じということで、怒りだけがこみあげてきていたのであった。
 いじめられっ子というのは、
「抵抗すればするほど、いじめっ子は面白がって虐めてくるのだ」
 ということを、本能で分かっているのだ。
 だから、
「どうせ虐められるのであれば、黙ってその場をやり過ごす方がいい」
 ということを考える。
 逆らえば逆らうほど、痛い目に遭う」
 ということになるからだ。
 だから、この時、佐土原は、
「決して、逆らうということはしない」
 ということであった。
 しかし、鈴村は、それでは承知しない。
 なんといっても、自分に関係のないことであるが、目の前で、万引き犯がいるということであれば、
「このまま黙っておくわけにはいかない」
 というものがこみあげてくる。
 もちろん、だからといって、警察に突き出したり、学校に通報するなどということをしようとも思わない。そうなると、
「佐土原に、俺を納得させてもらえれば、それでいい」
 と思ったのだ。
 しかし、そもそも、理不尽ではあるが、命令を受けて、万引きをしたのだ。
 しかも、それをやり過ごしたいという性格から、誰かに知られるというのは、後々面倒くさいことになるということで、事態を大きくしたくないと考えるのだ。
 その考えが、鈴村の納得とは正反対で、それこそ、
「交わることのない平行線」
 というものを描いているといってもいいだろう。
 それを考えると、
「佐土原は、どうすれば、鈴村を納得させることができるのか?」
 ということであるが、結局は、
「交わることのない平行線」
 結局は、
「鈴村の怒りを買う」
 というだけのことであった。
 鈴村は、
「納得できない」
 ということで、
「佐土原という男が悪いんだ」
 という単純な発想にしかならなかった。
 だからこそ、
「こいつに納得させてもらえるまで、俺の支配下に置こう」
 と考えたのだ。
 これが、
「苛めというものの基礎」
 ということを、鈴村は分かっていなかった。
「自分を納得させてくれないのだから、俺が、教育するのは当たり前のことだ」
 ということになるのも無理もないと思っている。
 だから、鈴村本人に意識はないが、やっていることは、
「苛めと変わりはない」
 ということである。
 佐土原とすれば、
「いじめを受ける対象が変わった」
 というだけのことであった。
「相手が、鈴村」
 ということで、そもそも、いじめっ子だった連中は、引き下がっていった。
 つまりは、
「強いものに巻かれてしまい、生贄として、佐土原を明け渡すということで、自分たちの保身を守った」
 ということになるのだ。
 だから、佐土原としては、本来のいじめっ子が鈴村に変わったことで、それが、
「いいことなのか悪いことなのか」
 要するに、
「自分にとっては、大きな問題」
 といってもいいだろう。
 実際には、
「悪いこと」
 ということであった。
 鈴村という男は、
「人と関わりたくない」
 と最初から思っているほどに、孤独であったり、寂しさをいうものを感じないということであった。
 そのように感じられる人間というのは、実際には強いというもので、その強さというものが、本当は、
「善としての強さ」
 ということと関係のないことだと思えば、鈴村の考える
「勧善懲悪」
 というものは、佐土原を中心とした普通の人からは、想像もつかないことに違いないだろう。
 だから、
「情け容赦もない」
 という感覚が、鈴村にはある。
 そもそも、最初から感じられたオーラというものが、
「情け容赦のない考え方」
 ということからきていたとすれば、すでに、佐土原という人間は、
「まな板の上の鯉」
 という状態なのではないだろうか?
 実際に、佐土原は、鈴村に脅されていた。
 そして、結局、万引きなどをやらされるということだったのだが、それは、佐土原が、
「元々のいじめっ子をまねた」
 というわけではなく、
「万引きということは犯罪であるが、実際に、一度でも犯罪に手を染めた人間が、それ以上のことをするというのは、犯罪ではない」
 というおかしな理屈があったからだ。
作品名:予知能力による抑止力 作家名:森本晃次