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一感情全偶然

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 営業の先輩は、目を白黒させていたが、きっと、
「自分に対しての見方は変わっただろうな」
 と、松島は思った。
 なんといっても、前の会社で、
「大量リストラで、人員削減にあった」
 ということから、少なくとも、
「会社に不要な人材だ」
 と思われたと感じるからに違いない。
 それこそ、
「人は見かけによらない」
 といってもよく、少なくとも、部内では、
「見る目が変わるだろうな」
 ということで、悪い気はしなかったのだ。
 実際に、内勤の女性社員の目は明らかに変わった気がする。
 内勤といっても、デザイン関係の女の子たちであるが、年齢的には、30代前半くらいまでが多いように思う。
 女性に年齢を聞くわけにはいかないので、あくまでも、勘でしかないということだ。
 そもそも、

「女性の年齢など、分かるわけもない」
 と思っているので、実際には、
「新卒も30代前半くらいまでは、皆同じに見える」
 というくらいであった。
 特に女性というのは、
「化粧でいくらでも変わる」
 といってもいい。
「あっ、いや。これ以上は、セクハラになるからオフレコにすることにしよう」
 と考えたのだった。
 前の会社は、合併前というと、
「地元大手」
 ということで、新しく入った会社から比べれば、その規模は小さかった。
 もっといえば、
「この会社は、前の会社の合併前と合併後のちょうど中間くらいではないか?」
 ということで、実際には、
「一番やりやすい規模かも知れない」
 ということであった。
 前の会社の規模も、いやではなかったのだが、なんといっても、リストラされるほどに、会社が危機に陥るというのは、困りものだからである。
 だから、
「合併して大きくなった会社から、こちらに乗り換えてくれる」
 という会社が出てきたということは、それだけ、
「合併後の会社のやり方が、よほどひどい契約内容なのか?」
 ということなのか、
「本当に、自分という人間を見て」
 ということなのかは分からないが、少なくとも新しく入った会社で、前の得K業先の人と再会するというのも、偶然といえば偶然である。
 この偶然を、
「うまくいかせる」
 というのも、運かも知れないが、
「運も実力のうち」
 というではないか。
 それだけ、
「結果よければすべてよし」
 といっていいだろう。
 そのおかげもあってか、会社では、
「希望通りの宣伝部のデザイン関係」
 ということになったのだ。
 実際の研修期間が過ぎてから、正式に配属となったが、すでに、ポストとして、
「課長代理」
 というのが用意されていた。
 実際であれば、今までの転職者は、
「1年は経たないと、役職にはなれない」
 という決まりではないが、慣習のようなものがあったということであった。
 ただ、役職になれたのは、
「製作課」
 と、
「宣伝営業課」
 との兼任ということでの、
「課長代理」
 というポストだということであった。
 これに関しては、本人としても、異存があるわけではなかった。むしろ、
「宣伝営業に関しては。オブザーバーという形でいいですよね?」
 ということであった。
 というのは、すでに、宣伝営業部という部署には、課長代理が一人いるということだったからだ。
 これも、別に決まりではないが、同じポストの人を同じ部署にたくさん置かないというのが、この会社のやありかたということだったので、気になったまでのことであった。
 しかし、現職の課長代理としても、元々おとなしい人だったので、
「別に気にしない」
 ということであった。
 やはり、メインは、
「デザイン関係」
 だったのだ。
 この会社には、
「デザイナーのプロ」
 と呼ばれる人もいて、さすがに、今まで経験があるとはいえ、そんな人にかなうわけはないというわけであった。
 だが、相手は。まだポストは主任ということであり、少し立場的に難しいところではあった。
 それでも、宣伝部に配属された時、松島のことを最初から気にしてくれていて、時間がある時は、いろいろと会社の内情を教えてくれる女性社員がいたのだ。
 彼女は、後で聞いたところ、年齢は23歳で、高卒で入社してきたということであった。
 商業高校で、
「少しデザインをかじった」
 ということと、絵画が好きで、
「部活は美術部だった」
 ということで、適正から、そのまま、
「宣伝部への配属」
 ということになったようだ。
 もちろん、営業ではなく、デザインの方で、入社から5年くらいが経っているので、十分に、ベテランといってもいいだろう。
 彼女は名前を、
「桐生和子」
 という名前であった。
 桐生和子という女性は、配属されてからすぐに気になる女性だったといってもいい。
 しかし、
「なぜ、彼女のことが気になるのか、すぐには分からなかった」
 というのだ。
「一度も見たことがないはずなのに、なぜか懐かしく感じる」
 という、
「デジャブ現象」
 のようなものではないだろうか?
 確かに、今までにも、
「これがデジャブなのか?」
 ということを感じたことがあった。
 それは、あくまでも、
「風景であったり、絵画などの人間以外」
 というものであった。
 しかし、今回は人間に対して感じたということは、
「本当に自分にかかわりがある人なのかも知れない」
 と感じた。
 そもそも、松島という人物は、
「人の顔を覚えるのが苦手」
 ということであった。
「よくそれで。営業が務まるな」
 といわれるが、
「人の顔を覚えられないということを補って余りあるだけの、デザイン力が、相手に説得力を与える」
 ということであった。
 だからこそ、会社が分かっても、
「松島さんがいるのなら」
 ということで、
「いくら前の会社の態度が急変したかも知れない」
 と思ったとしても、
「決定的な説得力」
 というものを持っているとすれば、それが、本当の、
「営業力」
 というものではないだろうか。
 特に営業というのは、
「信用を売る」
 といわれているので、信用に値するものがなければ、誰が、話をしても、信用してくれるというものか?
 ということである。
 そういう意味で、松島のデザイン力は、定評があったといってもいいだろう。
 実際に、この会社に乗り換えた会社の営業の人が、松島の話をするときは、
「あの人のデザインは、斬新ですからね」
 ということであった。
 実際には、
「斬新に見えていて、実際には。シックな出来上がりで、そのあたりが、宣伝効果を倍増する」
 ということであった。
 あくまでも、
「向こうがクライアント」
 ということで、相手がいうことが、真実だといってもいいだろう。
 それを考えると、
「彼が、製作科に入ったのは、至極当たり前のことである」
 ということだ。
 桐生和子は、部署内では、確かに5年目というベテランであるが、年齢的にはまだまだ若手である、
「専門学校」
 であったり、
「大学卒業」
 ということであれば、それこそ、まだ新人に近いといってもいい。しかし、
「仕事ではベテラン」
 ということと、
「年齢的には若手」
作品名:一感情全偶然 作家名:森本晃次