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一感情全偶然

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 というのは、最初の頃は、
「まるで娘くらいの年だ」
 ということで、いくら、以前好きだった女性の面影を想像させるとは言っても、
「意識してはいけない」
 と、自分を制するくらいになっていた。
 しかし、
「意識しないようにする」
 という意識が、逆に、
「彼女からの視線」
 というものを浴びるという感覚になってきたのは、どういうことであろうか?
 というのは、
「他の人よりも、視線を感じる機会が多い」
 ということであったり、
「視線が熱い」
 と感じるのだが、その二つは結局、
「同じことなのかも知れない」
 と思うのだった。
 というのは、
「視線の数が多い」
 ということで、一度浴びた視線の熱さが冷え切らないうちに、さらに浴びるということになるわけで、当然、身体には、
「彼女からの視線」
 というものが強く浴びせられると感じるということだからである。
 だから、その熱さが、幅と高さを作ることで、次第に、視線というものの大きさが、銃口になってくるといってもいいだろう。
 そもそも、
「人から受ける視線」
 というものは、その圧力によって、大きなや熱さが左右されるということになる。
「圧力というものは、感じる人の影響もかなり強い」
 ということで、
「受け取り方」
 が問題になるというものだ。
 へたに勘違いをすると、その影響は、二人の関係にも結び付いてきて、
「そこで、すれ違う」
 ということであればまだいいが、悪い方に勘違いとして、
「本来であれば、すれ違うはずのものが間違って結びついてしまうということになると、結果別れなければいけなくなった時、相当なエネルギーの消耗を覚悟しないといけない」
 ということになるだろう。
 松島は、それを、元女房のさつきとも、かつて、
「愛し合っていた」
 と思い込んでいた。吉谷洋子とでも経験しているのであった。
 だから、桐生和子に対しても。警戒はしながらも、
「こんな思いをまたするというのは、それだけ自分がまだ若いということになるのかな?」
 ということで、見た目の若さだけではないものが、自分にも残っているということで、
「まだまだ俺も老け込む都市ではない」
 と考えた。
 ちょうど、
「転職」
 という新たな転機ということになるのだ。
 そう思えば、
「桐生和子から浴びせられる視線」
 というのは、
「自分をまだ若いと感じさせる力になっている」
 ということで、
「仕事面に関しても、ありがたいことだ」
 といえるのであった。
 もちろん、女の子の中には、
「年上に憧れる」
 という人もいるだろうし、中には、
「ファザコン」
 のような、
「年上に対して、父親の背中を見ている」
 という感覚の人もいるだろう。
 松島も、自分ではまだまだ若いと思っていながら、若い女の子から、
「父親のような存在」
 と思われるというのは、どこかくすぐったい気持ちがして、男女関係というよりも、
「心地よさ」
 ということで、何か、
「気持ちの余裕のようなものがもてる」
 と感じさせてくれるのだった。
「若い男性が、中年女性に憧れる」
 というのも、普通にあるのだろうが、松島が若かった頃は、
「年上にはほとんど興味はなかった」
 といってもいい。
 もちろん、2,3歳上というくらいであれば、
「ほぼ誤差の範囲」
 ということで、気にするほとではなかったといってもいいだろう。
「その証拠に、今までで一番好きだった」
 と思っている、
「吉谷洋子」
 という女性は、実際には、
「2歳年上」
 ということであった。
 ただ、その清楚さと、肌のきめ細かさというところから、とても年上という意識はなく、23歳だったが、
「学生服が似合う」
 といってもいいくらいだったのだ。
 考えてみれば、
「今までに好きになった人」
 というのは何人もいたが、この年になるまで、
「一目惚れというと、吉谷洋子だけだったな」
 と感じるのだ。
 それは、
「一番好きだという意識があるから、一目惚れだった」
 と思うのか、それとも、
「一目惚れだったという事実があることから、一番好きだった女性だ」
 という意識があるのか、自分でも分からない。
 しかし、
「一番好きだった」
 という感情と、
「一目惚れだった」
 ということは、
「切っても切り離せないことだ」
 と思うのだが、それが、
「自分だけにいえることなのか?」
 それとも、
「他の人も同じことが言えるのか?」
 ということは、自分でもよく分かっていないのであった。
 桐生和子という女性は、
「松島のことを意識している」
 ということではあるのだが、必要以上に意識しているということでもなさそうだった。
「気が付けば、目が合っていた」
 ということが多いということで、最初はそこまでの意識はなかったのだが、
「きっと彼女の意識しているだろう」
 という感じから、
「徐々に意識が高まってきた」
 と感じるのであった。
 若い頃であれば、
「一気に燃え上がる感情」
 というものがあった。
 それが、
「最初に洋子に感じた一目惚れ」
 というものだったはずである。
 しかし、今回は、徐々にくすぶってきたといえることであるが、なぜか、
「昔味わった感覚と同じだ」
 と感じたのだ。
 それが、
「一目惚れ」
 ということであったが、実際には、そうではなかった。
 ということから、
「ああ、そうか、昔の洋子にイメージが似ていることから、そう思ったのかも知れないな」
 と思ったのだ。
 そう思うと、
「昔、洋子に対して一目惚れだったと思ったが、実際には、徐々に燃え上がってきたのかも知れないな」
 とも感じた。
 というのは、洋子と付き合い始めた時、かなりいろいろあったような気がするというのを思い出したからだった。
 付き合い始める前から、
「付き合い始めてもいい」
 と思った次の日に、
「やっぱりあなたとは難しいかも知れないわ」
 と、相手に言われ、それこそ、想定外のことを言われたことで、
「なんでそんなことを言われなければならないのか?」
 という、言われたことに対して、自分の狼狽が、想像以上なのは、
「相手が悪い」
 と思ったことからであった。
 それでも、必死に相手に食い下がるかのような態度は、余計に、
「俺は彼女をこんなにも愛している」
 という感覚に結びつけることになる。
 それが、
「相手の作戦ではないか?」
 とまで考えたこともあったが、すぐにうち消した。
 それは、完全に、自分が相手の術中に嵌っているからだった。
 相手に対して、疑念を持ちながら、さらに術中に嵌るというのは、自分のプライドが許さないということになるからではないだろうか?
 それを考えると、
「自分がいかに付き合っていけるか?」
 ということがどういうことなのかが、結局は、
「本当に自分のことが分かっているのか?」
 ということにつながっていくのであった。
 これが、まだ若い頃で、
「一度も結婚したことがない」
 ということであれば、もっとぐいぐい行ったかも知れない。
 しかし、
「一度結婚に失敗し」
 さらに、
「彼女のイメージと類似した女性とは、かつて破局を迎えた」
作品名:一感情全偶然 作家名:森本晃次