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いたちごっこの光と影

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「ただの天体の宇宙というもののいたずらだ」
 といってしまえばそれまでだが、やはり、昼と夜とでは、明らかな違いがある。
「昼には見えるが夜には見えない」
 あるいは、
「夜には見えるが昼には見えない」
 ということで、まるで、
「月と太陽の関係」
 といってもいいだろう。
 しかし厳密には、
「太陽が出ている時間帯に、月が出ていることもある」
 という。
 本当は、逆もあるのだが、
「太陽の存在」
 というものが偉大だということから、あくまでも、太陽中心に考えると、出てくる結果は同じということで、
「太陽の時間帯に月が見える」
 ということになる。
 となると、同じ現象に見えても、本当は違うものだという考えになるのではないだろうか?

                 限りなくゼロに近い無限

 警察がやってくると、そそくさと、行動を始めた。鑑識と、刑事が二人ほど来ていて、鑑識の捜査が、
「厳かに行われることになる」
 ということは容易に想像できた。
 制服警官が、表を固めていたが、さすがに、民家が少ないということもあって、
「野次馬」
 というのは、思ったよりも少なかった。
 さっきまで、あれだけの暗闇の中で、工場内を赤々と照らしていたと思っていた明かりは、
「まだついているのか?」
 と錯覚を覚えるほど意識できるものではなかった。
 しかし、最初に入った時、
「あそこから照らされていたんだ」
 という意識があったので。
「今でも明かりは消えていない」
 ということは、物理的にも分かったのだった。
 理論的にも、
「状況保尊」
 というのが警察の仕事なので、明かりが消えるということは、おかしな話だということであった。
 ただ。それ以上に表から照らされる明かりは、相当なもので、さっきまで暗闇に慣れていた目には、毒ということになるだろう。
 一応、
「第一発見者」
 ということで待機していた水谷だったが。
「さっきの男には見覚えはない」
 ということを思い出すと、安堵したのだった。
 もし、知っている人ということであれば、今のところ、
「容疑者筆頭」
 ということになる。
 そうなると、問題は、やはり、
「死亡推定時刻」
 ということであろう。
「たった今」
 ということであれば、明らかに容疑者は自分だということになってしまう。
 それは、非常に困ることで、へたをすれば、
「重要参考人」
 ということで、逮捕されかねないだろう。
 逮捕されてしまうと、
「自分が犯人ではない」
 とはいえ、会社での立場が微妙になってくるだろう。
 それこそ、
「会社に迷惑をかけた」
 ということで、最悪は、
「懲戒免職」
 ということになる。
 それこそ、とんでもない迷惑ということで、釈放されたとしても、警察が会社に弁明してくれるわけではない。
 このような場合も、
「冤罪扱い」
 されないのだろうか?
 もし、冤罪だと分かれば、会社は、
「不当解雇」
 ということにならないのだろうか。
 それを思えば、
「いきなりの、懲戒免職」
 ということはないだろうと思えるのだった。
 そんなことをして、すぐに、
「冤罪だった」
 となると、会社の早まった行動は、マスゴミとすれば、
「おいしいネタ」
 になるかも知れない。
 いや、本来マスゴミの仕事というのは、
「そういう社会の悪しき伝統のようなものを糾弾するのが当たり前」
 というものではないだろうか?
 そうでなく、
「芸能人や政治家のゴシップばかりを狙っていれば、それこそ低俗」
 ということになるのではないだろうか?
 いくら。
「報道の自由」
 といっても、それを、
「個人のプライバシー」
 というものを奪っていいということであろうか、
「報道の自由」
 というものも、
「基本的人権の保障」
「個人のプライバシーの保護」
 というのも、どちらも憲法に定められているということで、その線引きが難しいところではあるが、そうなると、後は。
「モラル」
 であったり、
「倫理の問題」
 ということになり、やはり、
「個人重視」
 といってもいいだろう。
 だから、何かあれば、マスゴミが騒ぐわけで、そのマスゴミの行動に対して、誰が抑止できるかと考えれば、
「憲法で保障されている以上、法律ではどうすることもできない」
 ということから、
「モラル」
 という問題が出てくるということになるだろう。
 さすがに、この時は、マスゴミは少なかった。
 深夜の時間帯、民家から少し離れたところで起こった事件。そもそも、朝刊には間に合わない。
 そうなると、今は、
「初動捜査」
 というだけで、詳しくは夜明けの後になるだろう。
 それまで、制服警官が、
「現状保尊」
 ということで立ち会うことになるだろうが、その前に、第一発見者からの事情聴取というものは、絶対にあるというものだ。
 事件現場を捜査していた鑑識と、刑事の話の中で聞こえてきたものとしては、
「死因は、ナイフで刺されたことでの、出血多量によるショック死で、死亡推定時刻というのは、今から4、5時間前ということで、夜の7時から8時の間ということになるのではないか?」
 ということであった。
「この時間ということであれば、自分には、会社から、同僚と飲み屋にいたというアリバイがある」
 ということで、初めて安心したのであった。
 そして、
「明かりがついていたのは、犯行時刻は、薄暗かったか、夜のとばりが下りた時間だったのか」
 ということで、納得がいくと感じたのだ。
 ただそうなると、
「民家が少ないあたりとはいえ、バスを降りてから住宅街への通り道にはなっているので、誰も、この工場に電気がついていたことを不思議に思わなかったということなのだろうか?」
 と水谷は感じた。
 それを、刑事の方でも思っていたようで、二人で話をしていると、さすがに捜査のプロ、すぐに的確な発想が出てくるというものであった。
 もう一人の刑事が、
「普段から、個々はついているんじゃないですかね? だから誰も気にする人がいなかったということかも知れませんよ」
 という、
 それを聞いて、水谷も、
「目からうろこが落ちた」
 という思いがしたのか、
「なるほど」
 と感じたのであった。
「警察というものが、二人一組で行動する意味は、そこにもあるのか?」
 と、水谷は感じたのであった。
 水谷がもう一つ気になったのが、
「死因」
 ということであった。
 さっき、鑑識と刑事の話では、
「ナイフを刺されたことによる出血多量でのショック死」
 ということであった。
 しかし、現状を見た時に何気なく感じたことで、
「そんなに血が散乱しているわけではないな」
 という感覚だった。
「明かりがついているとはいえ、目が慣れてくると、薄暗さしか感じないというほどだっただけに、それほど血が飛び散っているのが分からなかったということであろうか?」
 と感じたが、
「出血多量によるショック死」
 といわれてしまうと、何か気になってしまうというのも無理もないことであろう。
 ただ、すぐに、その理屈も理解できた。
 というのは、傷口にナイフがめり込んでいたということだからだ。
作品名:いたちごっこの光と影 作家名:森本晃次