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多重推理

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 ということが基本なので、
「へたな推理」
 というのは、嫌われるということであった。
 特に、
「ミステリー小説」
 などの考えを持ちだすと、上の人間は嫌がる。
 かといって、
「昭和の時代」
 のような古臭い捜査方針は嫌だとくる。
「プロファイリングによる、犯人の心理分析」
 ということであったり、
「科学捜査」
 による、
「動かぬ証拠」
 というものを、
「物的に見つける」
 ということが、事件解決への近道だと思っていることであろう。
 そんなK警察の秋元刑事が、活躍するのは、これからのことであった。

                 どっちが先に?

 F警察には、K警察の秋元刑事と同じようなタイプの刑事がいた。
 秋元刑事は、若くて、エネルギッシュなところがあるので、いわゆる熱血に見えるのだが、実際には、
「緻密な推理」
 というものを下に捜査する、
「変わり種刑事」
 もしくは、
「はぐれ刑事」
 といってもいいだろう。
 しかし、F警察署の同じようなタイプと思われる刑事は、
「中年真っただ中」
 といってもいいくらいで、年齢相応で、エネルギッシュというわけでもない。
 だからといって、
「昭和の刑事」
 のような、
「足で稼ぐ」
 ということを奨励しているわけではない。
 どちらかというと、
「理論的な考えの人であり、自分の中で矛盾を見つければ、そこを徹底的に捜査する」
 という意味で、
「理論的に辻褄の合わない」
 あるいは、
「理不尽に見える」
 というところを探すことで、
「事件の核心を突く」
 と考えている人であった。
 ただ、彼は、
「奇抜な発想」
 というものを時折披露する。
 だが、その発想が浮かんだ時というのは、
「その事件の核心に近づき、理論的には解明された」
 といってもいい段階にきているということであった。
 そのあたりが、
「秋元刑事とタイプが似ている」
 といわれるゆえんであり、彼も、
「推理を生かした刑事」
 ということになるのだ。
 名前を、樋口刑事という。彼は、
「K警察の秋元刑事に匹敵する」
 と言われているようで、秋元刑事の方は、
「K署の樋口流」
 といわれるようになっていたようだ。
 お互いに、意識はしていたが、実際に捜査を行うこともなければ、いまだ、
「面識もない」
 ということであった。
「近くて遠い」
 というのは、警察では当たり前のことなのかも知れない。
 なんといっても、警察というところは、
「縄張り意識の強いところ」
 ということで。特に、近隣の警察署というと、ライバル意識がバリバリにあるというもので、
「絶対に近隣の署よりも、少しでも上である必要がある」
 ということから、
「警察署ぐるみ」
 という対抗意識を燃やすのであった。
 そういう意味で、
「なかなか捜査協力」
 というのも、ままならない。
「一歩でもうちの管内に足を踏み入れた時は、ちゃんと筋を通す必要がある」
 ということで、署長同士というのも、結構気を遣わないといけないということになるのだろう。
 そんなことを考えていると、この二つの微妙な犯罪も、捜査員の中には、
「連続殺人でないかも知れないけど、本当は合同捜査本部を作ってくれた方が、事件解決には近道かも知れない」
 と考える人も出てきた。
 最初はさすがに、
「署の手前」
 ということからか、
「絶対に向こうよりも先に開設してやる」
 と、ライバル意識に燃えていたものだ。
 しかし、捜査が進むにつれて、
「どうしても、肝心なことになると、相手の所轄内での捜査が必要になる」
 ということから、考え方が変わってきたのだ。
 特に、今回の事件の浮かんだ容疑者が示したアリバイというのが、お互い相手の管轄内にいたということなので、これも、何か因縁めいているということではないだろうか。
 最初はそれぞれで捜査をしていた。
 K署で行われていた、
「馬場氏刺殺事件」
 の容疑者として上がっているのが、
「長曾我部」
 という男で、その男は、
「F警察署管内のスナックにいた」
 ということであった。
 実際に、聞き取りにいくと、まわりの客も、
「確かにいましたよ」
 と証言をしているのだが、どうも、その証言をしている連中が、
「一癖も二癖もある」
 という連中に見えて仕方がなかった。
 つまりは、
「限りなく薄いアリバイ」
 ということで、少し絞れば、白状するかも知れないと思われた。
 しかし、
「これ以上の突っ込んだ捜査は、縄張り嵐になる」
 ということで、上からも押さえつけられている。
 だから、何もできないということであった。
 これは。F警察署でも同じことが言えるのだが、
「赤坂に対して恨みを持っていそうな人間」
 というのは、一人しかいなかった。
 というのも、赤坂は、
「誰が見ても、人から恨みを買うことはない」
 ということだったのだが、実際に、そんな人間がいるわけはない。
 というのは、
「誰か一人の人間を人身御供にして、他の人たちから恨みを買わないようにする」
 というやり方だ。
 実際に、その人物に対して、自分が、
「絶対的な立場」
 というものを持つことで、まるで、奴隷でも扱っているかのようになるのだ。
 そういう意味では、
「赤坂という人間は、極端な二重人格的なところがあり、その人物に対してと、他の人とでは、まったく違う顔を持っている」
 と、彼を本当に知っている人からは思われているようだ。
 だから、彼らからすれば、
「絶対に、赤坂は信用できない」
 ということになり、
「君子危うきに近寄らず」
 という言葉は、
「赤坂のためにある」
 といってもいいということであった。
 だから、
「もし、赤坂に殺意を抱くほどの感情を抱いている人物がいるとすれば、それは、やつ以外にはいない」
 ということであった。
 その人物は、
「大門」
 という人物で、彼は、赤坂のことを、
「命の恩人だ」
 と思っているようだ。
 その細かな詳細は分からないが、大門という男が、性格的に、
「一途なところがあり、思い込んだら一直線」
 という人物だということで、
「命の恩人とまで言っているのであれば、奴隷になってでも、その人に尽くしているということは、大門ならありえる」
 と、大門をよく知る人は言っているようだが、その大門がいるのが、
「K警察署管轄」
 であり、そちらを拠点に、
「赤坂のしもべ」
 として活動しているということだ。
 一見。
「大門に赤坂を殺す動機はないだろう」
 とも思えたが、人によっては、
「大門は、最初の頃から計画していたんじゃないかな?」
 と思っていたようで、だからその人は、
「赤坂が殺された」
 と聞いた時、
「やっぱり」
 と思ったというのだから、その考え方も、無視できないということになるだろう。
 そもそも、
「長曾我部が、馬場を殺したい」
 と思ったのは、
「馬場という男が、実は元ホスト崩れの男」
 ということで、自分が男前ということもあって、結婚詐欺まがいのことをしていたということで、
「長曾我部の妹が、馬場に引っかかった」
 というのが、発端だった。
作品名:多重推理 作家名:森本晃次