夢の連鎖の悪夢
「友達というのがどういうものなのか?」
というのを知らずに、
「親友ができた」
ということで、
「親友一人がいればいい」
と感じるようになった。
ただ、それが、
「小学生の頃に、友達がいなかった」
ということへの、
「自分の中の自分に対しての、妬みのようなものではないか?」
と感じるようになった。
中学生になり、今度は、
「男性と女性」
というものを感じるようになり、
「異性を意識する」
ということになると、
「中学時代において、思春期になり、世の中に、男女の存在を意識するようになった」
ということである。
「世の中には、男と女がいる」
などというのは、当たり前のことであり、
「医者の息子」
ということであろうがなかろうが、誰でも理解できることだといえるだろう。
むしろ、
「医者の息子」
という意識がない方が、余計に、
「異性を意識する」
というのは、ナンセンスなのかも知れないと感じる。
医者というものは、異性というものを感じてはいけない」
という意識を、ちょうど中学時代に感じていた。
だから、思春期に入った時、
「異性を意識してはいけない」
と感じた時、
「友だちがいない」
ということに、感じていた孤独というものが、
「今度は意識しなくていいものだ」
という感覚になってきた。
だから、友達ができたことで、
「その友達と自分を比較する」
ということが往々にして起こるかも知れない。
「友だちには彼女がいるのに、自分にはいない」
という意識が、
「自分も彼女がほしい」
という、
「思春期」
としての意識なのか、それとも、
「他の人にいるのに、自分にはいない」
という、
「プライド的な気持ちが強いのか?」
ということから考えるべきことなのだろう。
彼には、
「友だちがいなかった」
ということで、
「比較対象」
というものがなかった。
だから、
「思春期としての気持ち」
というものだけで、彼女の有無を考えるということから、
「彼女がいない」
ということは、友達がいないという感覚と同じではないか?
と考えると、
「彼女がいない」
ということを、そこまでひどいことだとは思わなかったのだ。
その理由として、
「自分が悪いわけではない」
という思いからである。
というのは、
「友だちとの比較から考えるものがない」
ということで、
「思春期という誰にでもあるものが原因だ」
と考えると、
「生理的なこと」
だということで、
「自分が悪いわけではない」
と思うようになると、
「友だちは、親友だけでいいんだ」
と思うのだった。
それでも、
「親友というのは、何でも話ができる相手」
ということを考えていたが、
「異性のことに関していえば、人に話をするのは、恥ずかしい」
と考えるようになった。
そうなると、逆に、
「親友だから話せない」
と考えるようになった。
それが、
「友だちは親友だけでいい」
という思いと、
「他の友達がいない方がいい」
という思いから、
「親友に対しても、話したくないことがある」
という発想から、
「親友というのもいらないのではないか?」
と考えたからであった。
この
「自殺した」
と思われる青年の中絵を、
「釘宮雄二」
という。
彼の父親は、
「釘宮聡」
といい、地域では、結構大きな個人病院だといってもいいだろう。
この病院は、かつての大型病院の進出ということでの、
「患者の減少」
であったり、
「バブル期の地上げ」
という危機を何とか乗り越えて、今の時代まで、何とかほそぼそとではあるが、経営ができていた。
それだけ、地元の人から、
「街のお医者さん」
と言われてきたことからだったといえるだろうが、さすがに
「後継者不在」
ということは、
「これ以上ない危機」
といってもいいだろう。
釘宮家というのは、父親の釘宮院長と、奥さんが経営していて、看護婦さんを2名雇って、
「街のお医者さん」
とやっていた。
息子は、雄二一人で、姉に一人いたのだが、大学を卒業して、すぐに結婚してしまったということであった。
姉の旦那というのも医者で、本来であれば、
「釘宮医院に婿養子」
ということもできたのだろうが、跡取りとして、
「雄二がいる」
ということで、そう簡単にはいかなかった。
実際に、娘婿というのは、
「跡取り」
というのを狙っていたというふしはある。
娘とは少し年の離れた結婚で、娘婿の年齢は、すでに、30歳を超えていた。
「十歳くらいの違い」
というのは、珍しくもないが、医者になったはいいか、親が病院を持っているわけではない。
ということで、
「このままでいけば、大学病院などで、一介の医者ということで、一生を終わる」
ということになるだろう。
実際に、
「それでもいい」
とは思っていたが、そもそも惚れてきたのは、
「釘宮の姉」
の方であった。
そもそも、ずっと、お嬢様で育ってきた釘宮の姉とすれば、
「ちょい悪親父」
というイメージがある彼に興味を持ったのだ。
彼とすれば、ちょっとした、
「火遊び」
というくらいだったかも知れないが、
「このままいけば、逆玉じゃないか」
ということで、言い寄ってきたのをいいことに、作戦を、
「逆玉に変えてきた」
ということであった。
そもそも、
「プレイボーイ」
ということで鳴らしたこの男は、
「お嬢様育ちの娘」
というものを手玉に取るくらいは簡単なことだった。
結局、手玉に取られた娘が、
「親を説得する」
ということになったのだ。
それだけ、
「娘婿は、どういう悪知恵に長けていた」
といってもいいだろう。
そんな家庭において、確かに、
「娘婿の男は、雄二が邪魔だった」
ということもいえるだろう。
しかし、それは、まだ結婚した当初くらいのことで、結婚してから、2年が経った頃になると、
「娘婿に、大学病院から、出世の話が湧いて出た」
ということであった。
今もままであれば、確かに、
「雄二が病院を継ぐことになり、娘婿には、何ら利点はない」
ということであったが、今回、
「出世の話」
というのが出てきたことで、話が変わってきた。
そもそも、
「論文が認められた」
ということでの、彼にとっては、
「自分の実力でつかんだ出世」
ということだ。
それをわざわざ、本来の息子である雄二と争ってまで、病院を継ぐということもないだろう。
しかも、これが、
「殺人ということになれば、利害に対してのリスクが大きすぎる」
ということになるだろう。
それを思えば、
「娘婿には、殺意はない」
といってもいい。
実際に、彼は、
「チンピラ的なところがある」
ということで、
「悪知恵が働く」
ということだ。
そんな人間に、わざわざ、リスクを犯してまで、、殺人を犯す必要があるというのだろうか?
そもそも、
「雄二に対しての殺意がある人はあまり考えられない」
ということで、最初から、この娘婿は、蚊帳の外だったことだろう。
そうなると、浮かんできたのは、
「親友」



