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夢の連鎖の悪夢

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 雄二少年は、子供の頃から、父親の遺伝というものがあってか、オーラのようなものがあったという。
 大人のオーラと違い、子供独特のオーラなのだが、
「大人になれば、そのオーラが、明らかに大人のオーラとして成長するに違いない」
 というのだ。
 だが、実際には、
「子供の頃のオーラが大人になって、残っているというのは、珍しいことだ」
 ということであった。
 というのは、
「二十歳過ぎれば、ただの人」
 という言葉があるが、まさにその通りで、進学するうちに、その
「化けの皮がはがれる」
 ということで、まるで、
「メッキがはがれる」
 かのように言われることもある。
 だから、
「子供の頃は聡明だったのに」
 と言われ、あたかも、
「転落人生」
 というのを絵に描いた人もいる。
 それが、
「親が偉人だった」
 ということで、
「親の七光り」
 というものの傘に入っているということであったり、
「大人になり、一人で判断しなければいけなくなると、それができなくなる」
 ということになるということであった。
 まだ高校生という年齢であったが、雄二は元々、
「早熟だった」
 ということで、成長は、その時から、早いままだった。
 だから、高校生といっても、肉体的にも、精神的にも、
「大学生くらいだったのではないか?」
 と思われているが、それは、あくまでも、
「外見上」
 ということだったのではないかという人もいる。
 実際に、友達というと、中学時代にできた親友が一人だった。
 ということであるが、それは、今から思えば、
「彼の成長にまわりがついていけなかったからではないか?」
 ということであろう。
 成長が、まわりから見て早く見えるが、それは、その反面、
「持ち上げるだけ持ち上げられて、担ぎ上げられただけの、まるで、人身御供だったのではないか?」
 ともいえるだろう。
 実際には、
「まだまだ、子供でいたい」
 と思っていたものを、まわりの期待であったり、ちやほやする持ち上げ方が、彼の気持ちをくすぐったのか、
「ちやほやされる」
 ということを嫌とは思わなかったということなのかも知れない。
 そこで、彼は、
「世を儚んで」
 という気持ちになったようだった。
「しょせん。友達というのも、親友が一人しかいない」
 そして、親や家族だって、信用できないし、まわりの人たちはちやほやするだけで、何を考えているのか分からない。
 高校生なのに、考え方が大人になってしまうと、
「ポジティブに考えれば、ポジティブに進んでいくが、ネガティブに考えてしまうと、その先の果てはない」
 と感じてしまうのだ。
「天才はいつも孤独で、自殺願望を絶えず抱いている」
 ということで、
「偉人と呼ばれる人たちに自殺が多かったりするのは、そういう気持ちの表れではないのだろうか?」
 とも考えられる。
 彼は、結局、
「服毒自殺」
 ということになったのだが、あくまでも、
「状況証拠」
 というものからでしかなかった。
 ただ、一つ気になることとしては、
「何やら、怪しい薬を服用していた」
 ということであった。
「列車に飛び込むんだから、その恐怖を和らげるため」
 ということになるのだろうが、実際に解剖してみたが、その薬の正体は、分からなかった。

                 事件の連鎖?

 ただ、後で分かったことなのだが、
「その薬は、そもそも、体内にあるものから構成されていて、最初から体内にあるものであれば、その存在は分からないが、表から服用するということになれば、その薬が、
「何か作用をもたらす」
 ということはないのだが、検査すれば、
「怪しい薬」
 ということで判明するというものであった。
 だから、警察は、その解剖所見を受けて、
「これは殺人事件だ」
 という形で、
「他殺としての捜査」
 が行われた。
 しかし、実際に、警察の捜査の中で、
「そもそも、誰かに殺されるということはない」
 ということであった。
「突発的なことであったとしても、こんなに手が込んだやり方はしないだろう」
 というのだ。
「手が込んだ」
 というのは、
「怪しい薬の存在」
 ということで、これが分かったことで、それまで、
「自殺一本」
 で考えられ、
「自殺」
 として、処理されるということだったではないか。
 事件性が出てきたことで、不思議に思えることが、さらにクローズアップされることになった。
 今回のように、
「自殺と思われていたものが、実は殺人だった」
 というのは、よくあることで、いわゆる、
「自殺を装った殺人事件」
 ということになったのだ。
 しかし、これが、
「殺人事件ではないか?」
 ということで、捜査本部を立ち上げたとたん、まったく情報を得ることができなかったのだ。
 それまでは、
「自殺」
 ということを裏を取るための捜査だったので、まわりの人も、
「自殺だったんだ」
 ということで結構口を開いてくれたが、今度は、
「殺人事件かも知れない」
 ということで再捜査ということになると、それまで口が軽かった人たちが、何も話をしてくれなくなったのだ。
 そもそも、
「一度だけであればそうでもないが、いくら殺人に切り替わった」
 とはいえ、
「また聞き込みかよ」
 ということで、正直うんざりしているのかも知れない。
 最初から、
「殺人事件」
 ということであれば、聞き込みを受ける人も、
「何度も鬱陶しいな」
 といいながら、
「最初は、初動捜査をする人間。そして、所轄の人、さらには、本庁の捜査一課などが入り込んでくれば、さらにその人」
 と、一つのことを、何人にも話さなければいけなかったりするではないか。
 これは、正直、
「本当にあてになるのか?」
 とも感じる。
「直近のことだ」
 といっても、
「人間の記憶」
 というものは曖昧なもので、実際に、
「何人にも聞かれると、その内容は、本人が意識しないところで、辻褄が合っていなかったりする」
 ということになるだろう。
 実際に、それが、事件の謎を解くカギということになるのかも知れないが、へたをすれば、それで疑われてしまい、最悪、
「冤罪というものを作り出してしまう」
 ということになりかねないだろう。
 それを思えば、
「この科学捜査が行き届いているのだから、証言を、録音する」
 などという科学捜査があってもいいだろう。
 今の警察は、ほとんどが、科学捜査だったり、合理性を重視した捜査が行われているのに、いまだに、
「手帳を出して、メモする」
 という捜査が行われているというのは、それこそ、
「古臭い捜査だ」
 といえるのではないだろうか?
 しかし、この事件が、
「殺人事件だ」
 ということになると、
「また聞かれる」
 といううんざりした気持ちと、さらに、
「最初は自殺だといっていたではないか」
 ということで、
「警察の捜査」
 であったり、
「警察の判断力」
 というものに、不信感を抱く人がいるだろうから、なかなか捜査が進まないというのも、無理もないことだといえるだろう。
 そんなことを考えていると、
「確かに、殺人事件の可能性が出てきた」
作品名:夢の連鎖の悪夢 作家名:森本晃次