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二階級特進

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 ということを暴露してしまうと、せっかくの今までの努力が水の泡ということで、それこそ、
「言いたい奴には言わせておけ」
 ということになるだろう。
 そういう意味で、
「川崎グループ」
 というのは、同族会社であり、
「同族会社の悪しき伝統を受け継いでいる」
 といわれるかも知れないが、会長は、それを、
「甘んじて受け止める」
 と考えているのであった。
 ただ、ひとつ気になるのは、
「次世代の息子たちは、そんな歴史を知らないからな」
 ということであった。
「まわりに知られないようにしないといけない」
 ということなので、もちろんのこと、
「身内にも話していない」
 ということだ。
「敵を羽寒国はまず味方から」
 という言葉があるが、まさにその通りである。
 だから、会長の心配事は、
「川崎グループは、わしの代で終わりではないかな?」
 と思うことだった。
「せめて、わしが死んでから崩壊してくれればいいのだがな」
 ということまで考えるようになり、それだけ、会社を息子に譲った時点で、会社に対しての気持ちが離れたといってもいいだろう。
 だからこそ、余計に、
「悠々自適な老後でなければいけない」
 ということで、今は、65歳になっているが、今の時代は、
「人生100歳時代」
 と言われているようだが、実際に、この年になるまで、
「他の人には分からないくらいに憔悴してる」
 といってもいいだろう。
 それを考えると、
「川崎グループは、わしそのものだ」
 と思っているのだった。
 そもそも、
「先見の明があり、先の先を読んでいる」
 という会長が、なぜ、いまだに、
「同族会社」
 という体を取っているというのか?
 ということであるが、
「それが、本当は、会長の会社を作った時からの目的」
 だったのだ。
 というのも、すでに、会長とすれば、バブル経済の時期から、
「これからは、同族会社は生き残れない」
 ということは分かっていた。
 しかし、その時代になっても、まだなお、
「同族会社」
 というものが生き残っていければいいよなと思ったのだ。
 つまりは、一種の遊び心に近かったといってもいい。
 だから、
「できるだけ長く、同族会社を存続させる」
 というのが、
「わしの目指すところ」
 ということで、
「すべてを秘密裏にしてきた」
 ということであった。
 中には、
「秘密にする必要などない」
 ということも結構あったが、一貫して、すべてにおいて、秘密にするということが図られたというのは、会長の、
「わがまま」
 というものが大きかったのだろう。
「会社を私物化している」
 と言われても仕方がないが、それでも、しっかり、会社を存続させて、誰にも迷惑をかけていない。
「利益を出す会社が、優秀な会社」
 ということでの、経済界の理論で考えれば、
「川崎グループというのは、最優良企業だ」
 といってもいいだろう。
 そういう意味で、川崎会長というのは、
「一定期間の時代の寵児だった」
 といってもいいだろう。
 そして、その期間は、結構長い間だったということで、評価に値するといわれるべき人間だったのだ。

                 毒殺

 そんな川崎会長が、この別荘での日々を過ごすことが多かったことで、
「まさか、自分が死体の第一発見者になろうとは」
 と思ったことであろう。
 しかし考えてみれば、
「このあたりの夏の環境」
 というものから、
「粘土質の土を歩き、さらに、靄のかかったところをわざわざ歩かなければいけない」
 ということを考えれば、
「ここでの散歩というのは、物好きだ」
 といってもいいことであろう。
 実際に、散歩してみると、
「まるで、プールの中を歩いているみたいだ」
 というほどに、歩きにくく、しかも、次第に、足に絡みついてくる粘土質の土が、靴を重たくするということで、
「これほどきついことはない」
 といえるだろう。
「若い頃ならまだしも、年を取ってこれは」
 と誰もが思うことだろう。
 実際にこの別荘地には、この時期、何組かが、避暑地として利用しているが、朝の散歩を欠かさないのは、
「川?会長だけだ」
 ということになるのだ。
 それを考えると、
「川崎会長が死体を見つけた」
 というのは、ある意味必然ということであり、
「川?会長が見つけなければ、死体発見までには、かなりの時間が掛かったに違いない」
 ということであった。
「早くても、午後くらいにはなるかも知れないな」
 ということで、見つけるとすれば、
「昼に宅配でくる人たち」
 ということであり、
「朝刊の配達はないのか?」
 と聞かれれば、
「あちらは自転車かバイクの配達なので、道が違うんですよ」
 ということになり、川崎会長の散歩コースとして、車が通れる道ということであった。
 そういう意味で、朝の、まだ、粘土質がドロドロになっている時間、わざわざ、
「車が汚れる」
 ということが分かっていて、出かけるという人もいないだろう。
 それを考えるから、
「昼間の、食事の宅配の車が見つけるとすれば、それが一番早い」
 ということになるのだろう。
 実際に、この道は舗装されていないところもあり、実際には、他の老朽化のあたりの修復が急務だったこともあって、道の舗装も計画にはあったのだが、そちらの優先順位は低かったということである。
 死体が見つかったというのは、こういうことである。
 早朝とはいえ、ある程度日が昇りかけている、時間的には、6時半くらいという時間、まわりの木々を通して聞こえてくる、鳥のさえずりを楽しみながら、いつもの日課として、散歩をしていた川崎会長は、歩きながら、
「足を滑らせて、転んでしまった」
 ということである。
 普段であれば、毎日のことなので、少々歩きにくいとはいえ、
「転んでしまう」
 などということは、自分では考えにくいと思っていた。
 しかし、実際に転んだことで、
「何かがおかしいのかな?」
 と感じ、起き上がる前に、
「転んだ角度から、あたりを見渡した」
 ということであった。
 すると、雑木林になっているところの奥に、何かが盛り上がっていると思えるものがあった。
 それは、あるいていては、雑木林の影になって見えない場所だった。
 それを考えると、
「車で通りすぎる」
 ということであれば、
「発見できないかもしれない」
 といえ、そうなると、
「いつ発見されるか分からない環境にあった」
 といってもいいだろう。
 そうなると、犯人は、
「死体を隠そう」
 という意思はなかったかも知れないが、少なくとも、
「なるべく死体の発見を遅らせたかった」
 といってもいいかも知れない。
 それは後でやってきた刑事の話としても、
「死体発見を遅延させる意図があるのかも知れないな」
 といっていたことを思えば、
「考えることは同じだ」
 といってもいいだろう。
 しかし、わざわざそういうことをするというのには、何か理由があるといってもいいだろう。
 考えられることとしては、
「死亡推定時刻を曖昧にする」
 ということである。
 ということは、
「犯人には、アリバイがない」
作品名:二階級特進 作家名:森本晃次