一つではない真実
に対しての、
「痛烈な皮肉」
といってもいいだろう。
「実際に放火殺人」
というものを警察が捜査する中で、
「よく、探偵がかかわっている」
ということを隠し通せたといえるだろう。
確かに。
「探偵が行方不明になったとしても、この放火殺人との接点は、見た目には一切見つからない」
だから、刑事も分からないし、助手も、
「まったく分かりませんね」
ということになるのだ。
とはいえ、
「本来であれば、事務所にあってしかるべきの当時の捜査資料は見つからないということは、助手の中でも、言われていた」
ということであった。
もっとも、警察といえども、
「この時、佐久間探偵行方不明に対して、どこまで捜査をしたのか?」
ということである。
確かに、
「探偵が行方不明」
ということであれば、
「何かの事件にまきこまれた」
と考えるのが自然であろう。
もっと、
「巻き込まれた」
というよりも、
「自分から、依頼があったことで、首を突っ込んだ」
というのが、正解なのかも知れない。
だから、誰が、
「探偵失踪事件」
というものと、
「放火殺人事件」
というものを結びつけて考えるか?
ということであった。
そして、疑問に感じることとして、
「被害者を、家の主人だ」
ということにすると、
「果たして、殺害動機は何なのか?」
ということであった。
確かに、まわりに借金はしていたが、
「複数人に数十万していた」
というだけのことで、例えば、
「返してくれない」
ということで、
「まさか、殺害に至る」
ということまではないだろう。
しかも、殺害方法としては、
「計画性のある放火殺人」
ということである。
「一歩間違えれば、死刑になる」
というものなので、そんな状態で、
「誰が、放火殺人など考えるというのか?」
ということである。
実際に、殺害計画というものが、
「どこまで緻密なものなのか?」
ということは分からないが、それこそ、
「単独犯ではない」
といえることなのかも知れない。
さらに不思議なのは、
「捜査線上に、犯人らしき人物がなかなか浮かんでこない」
ということで、
「容疑者が上がれば、アリバイ確認であったりの、裏付け捜査というものができる」
といってもいいのに、それを確認できないということを考えると、
「実に謎が多い犯罪だ」
といえるだろう。
となると、
「被害者は、この家の主人ではないのではないか?」
とも考えられるのだ。
人は、
「一人くらい、自分のことを殺したい」
と思う人がいてもしかるべきなのに、
「どうしても、出てこない」
ということになると、
「被害者が違うのではないか?」
と考えられるのだ。
もし、これが、
「犯人の狙い」
というものであれば、
「これほど、綿密な殺害計画というのは、ないかも知れない」
と勘ぐってしまいそうになるというものである。
ニワトリとタマゴ
「その5年後に見つかった白骨死体」
というものであるが、この死体には、白骨化していたが、指輪が残っていた、
この指輪は、埋められていたわりには、
「5年も経っているとは思えない」
というほどきれいなもので、特殊なものということで、製造先から判断すれば、その死体の身元というものが、次第に手掛かりが増えてくるというものだ。
実際に調べてみると、
「佐久間探偵が、助手を含めて、自分たちの団結のために、発注した」
というものであった。
実際には、そんなに高価なものではなかったので、ハッキリとは分からなかったが、
そのデザインというのが、
「いかにも、探偵が想像しそうなもの」
ということで、その指輪の存在を覚えている捜査員がいたからであった。
実際に、秋元刑事も覚えていて、何しろ最初に、
「おや? これは?」
と気が付いたくらいだった。
だが、これはおかしなものともいえる。
「死体と一緒に埋められていたのであれば、もっと腐敗していてもいいはずなのに」
ということであった。
それを考えると、最初は、
「誰かが、死体だけを埋めておいて、後から、指輪を埋葬場所に埋めなおしたのではないか?」
ということであった。
ただ、
「その理由がどうしても分からない」
ということであったが、
それを秋元刑事は、別の発想から見てみるのだった。
「最初から、そこに埋めないのであれば、何も、わざわざ指輪を死体の場所に埋葬するというのはおかしい」
というものだ。
確かに、
「一度埋めた死体のそばに、指輪を埋める」
という行為はおかしい。
しかし、秋元刑事は、もう一つ別の考えがあった。
「もし、指輪を持っていて、死体が発見された時、犯人が疑われ、指輪を持っていることが発覚すれば、自分が殺したということを白状するというものだ」
ということである。
さらに、もう一つ考えられることというと、
「この指輪の存在と、その意味に関しては、探偵事務所の人間か、警察関係者でも、一部の人間か?」
くらいしかいない。
それは、かつての助手に聞くと、皆口をそろえて、
「これを知っている人はなかなかいないでしょうね。こちらとしても、自慢のように話すことでもないですからね」
というのであった。
実際に警察関係者というのも、
「佐久間探偵と旧知の仲」
であったり、
結構仲が良かったとされる、
「秋元刑事」
あたりしか知られていないことであろう。
それを思えば、
「なるほど、これを所持していたということになると、疑われるに十分」
ということになる。
しかも、これが、見つからなくとも、白骨死体の身元というのは、遅かれ早かれ判明する」
といってもいいだろう。
焼かれているわけでもなく、ただ、
「自然に腐敗した」
ということなので、
「DNA鑑定」
というものも難しくはないといえるだろう。
実際に
「DNA鑑定」
というものは、できるというものである。
ただ、
「放火殺人で焼け焦げた死体」
というのは、DNA鑑定が難しかった。
今では、可能なのかも知れないが、当時は、ほぼ難しいと言われたと記憶している。 だから、犯人は、
「死体だけを、必要以上に焼いた」
ということになるのだろう。
そのことを解明したのは、
「秋元刑事」
であったが、だからといって、
「そこまでは分かっても、事件がこれ以上進展する」
ということはなかった。
もっとも、
「そこまでわかったところで、事件の捜査は、膠着状態に陥った」
といってもいいだろう。
実際に、事件がそのまま進まずに、結局、
「未解決事件」
ということになったのは、ある意味、
「秋元刑事が、犯人の意図を解明した」
ということだったのは、皮肉なことだった。
なんといっても、ある程度まで。
「疑問の有無」
というものを含めて、
「事件の進展は、それなりに進んでいた」
しかし、実際にここまでくると、そこから先がまったく分からない。
「五里霧中」
ということで、捜査をしても、まったく手掛かりがないのだ。
警察としても、



