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一つではない真実

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 と考えてしまうと、そこには、
「犯人と同じ目線で見る」
 ということになる。
 これが、犯人が意図していないことであれば、犯人と同じ目線でないと
「却って、見えてこない」
 ということになるのだろうが、
「犯人が意図して、相手を欺こうとしている」
 ということであれば、
「相手を同じ目線」
 であれば、結局は、犯人が意図した、
「何が怪しいか?」
 ということだけにまでしか行きつかないということになるだろう。
 つまり、
「相手が欺こうとするのであれば、こちらは、犯人を超えてその先を見なければいけない」
 ということになる。
「相手が勝負を挑んできていて、勝ち負けが最終決着ということであれば、勝つしかないのだ」
 つまりは、
「引き分けでは勝ちに結びつかず、勝負にはなっていないということで、へたをすれば、相手が挑んできている」
 というだけに、
「引き分けは、負けを意味する」
 といってもいいだろう。
 そのことが、分かっていれば、
「相手が、策を弄しすぎると、同じ目線では見えないものが見えてくる」
 ということになり、
「挑まれた方が勝つ」
 というのが、必定だったりする。
 しかし、いくら相手が、
「策を弄しすぎた」
 としても、同じ目線から見ているのであれば、
「見えるものも見えてこない」
 ということで、事件を解決することはできないであろう。
 その時には、きっと、
「犯人が意図せずに用意した袋小路というものに入り込んでしまい、その袋小路が、負のスパイラルとして、犯人の策略に嵌った」
 ということになるのだろう。
 そういう意味で、
「見る角度というのもが違う」
 ということであれば、
「実は難しい謎解きも、実は簡単だった」
 ということになる。
 それは、
「最初の発想が、ぴったりと歯車が合ってくれば、その時点で事件が解決された」
 といってもいいだろう。
 しかし、
「目線が違っている」
 というところから見れば、すぐには分からなくても、相手が策を弄した分、見えなかったものが見えてくることになり、
「事件解決に、一歩近づいた」
 ということになるだろう。
 今回の事件でも、秋元刑事の目の付け所はよかったのだ。
「埋まっていた死体と、指輪の関係」
 というものが、この事件の謎を解く、
「一つのきっかけ」
 ということになったのだ。
 ただ、まだこの時は、
「これが、一つのきっかけ」
 とは思っていなかった。
 実際に、捜査を進めていくうちに、次第に重要ということになり、さらには、
「これが事件の肝」
 と思うようになったことも、
「犯人側の狙いだった」
 ということに、まだ誰も気づいていなかったということである。
 今度の事件を計画した人間にとって、
「ひょっとすると、これを看破さっれることくらいは普通にある」
 と思っていたのかも知れない。
 実際に、
「今度の事件において、警察であれば、これくらいのことに気づいてもいいだろう」
 というものであった。
 秋元刑事が気づいたのは、いきなりだった。
 何か、
「思うところがあった」
 ということであろうが、それが何だったのか、秋元刑事本人も分からない。
 あくまでも、
「天才的な閃き」
 といえばいいのだろうが、秋元刑事自身も、
「そういう閃きの存在」
 というものを認めてはいた。
 もちろん、
「普通にひらめく」
 ということはあるだろうと思っていたが、そこに、
「天才的なものが存在するか?」
 ということまで考えていなかったのだ。
 そもそも、秋元刑事は、
「天才」
 というものをあまり考えたことがなかった。
 あくまでも、
「努力によって、成し遂げる」
 というのが、人間だと思っていた。
 確かに、
「生まれながらに天才」
 というのはいるとは感じていた。
 なんといっても、
「人間は生まれながらに、平等である」
 という人がいるが、実際にはそんなことはない。
「どの親に?」
 あるいは、
「どの地区や国に生まれるか?」
 ということで、
「その人の人生が決まってしまう」
 といっても大げさではないだろう。
 特に、
「生まれたところで、内乱があったり、ちょうど、戦争をしていたり」
 ということがあれば、
「生まれてきた時点で、その命は、風前の灯火」
 ということになる。
 その場は生き延びたとしても、
「次に何があるか分からない」
 ということで、
「命を落とす可能性」
 というものは、格別に高いといってもいいだろう。
 また、
「平和な、日本のような国」
 に生まれたとしても、
「自由経済」
 という観点から、絶対に存在する、
「経済格差」
 などが、そのまま差別ということになることで、
「人間は生まれながらに不平等だ」
 といってもいいことになるのだ。
 だから、
「生まれながらにして天才児」
 というのは、事実としてあるのかも知れないが、その天才児が、その実力を発揮できる世の中なのかどうかと考えると、
「世の中で言われている、天災」
 というものの存在を認めてしまうことができるのだろうか?
 秋元刑事は、
「それこそが理不尽というものではないだろうか?」
 と考えるのであった。
 要するに、
「運の良しあしで、決まってくる」
 と考える。
 だが、
「運も実力のうち」
 という言葉があるが、それが、今、世の中で言われている天才の存在というものを認めることの、一種の、
「免罪符になっているのではないか?」
 と考えるのであった。
 今回の謎である問題を、少し、
「楽に考えてみることにした」
 というか、
「違う方向から見てみる」
 ということである。
 それこそ、
「犯人とは違う目線で見る」
 ということを、発想の中で考えたことであった。
 普通であれば、目の前にある物証を、意識して、
「別の方向から見る」
 と、無理やりにでも考えないと浮かばない発想なのかも知れないが、
「気持ちを楽にする」
 という感覚であったり、
「気を楽にするという意味で、開き直る」
 と考えた時、
「無意識に別の方向から見るという発想」
 が生まれてくるのであった。
 そこで、考えたのが、
「再埋葬」
 という発想である。

                 事件のやま場
 普通に考えると、
「後から、埋められているところに、何かを思いついて、指輪を捨てた」
 ということになるのだろうが、
「指輪を捨てる」
 ということの意味としては、
「過去の放火殺人と、今回の事件が関係している」
 ということを、警察に知らせるという意味があってのことだろう。
 しかし、それであれば、
「死体が発見された後に、警察に送り付けたりすればいいわけだ」
 もう一つ不思議なのは、
「掘り起こした中に、捜査資料があり、それが、今回の白骨死体と、かつての放火殺人というものを、結びつけるものとなった」
 ということになるだろう。
 そもそも、
「白骨が発見された段階で、その二つの事件が結びついている」
 ということを、今のタイミングで明らかにすることに、何かの意味があると感じさせることが問題だといえるのではないだろうか?
 それを考えると、
作品名:一つではない真実 作家名:森本晃次