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一つではない真実

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「間違いなく被害者は、佐久間探偵だ」
 ということで、
「よし、この俺が弔い合戦だ」
 というくらいに思っていたのに、最後の最後で、
「被害者が別人」
 ということになり。普通であれば、
「完全に出鼻をくじかれた」
 ということで、へたをすれば、
「意気消沈から、捜査に身が入らない」
 ということになるだろう。
 しかしこれも、
「犯人の挑戦状のようなものだ」
 と考えると、
「このまま引き下がることはできない」
 と思えてくる。
 被害者が、
「佐久間探偵ではない」
 ということであっても、殺人事件に変わりはないのだ。
 だが、ここで、
「事件が重なっている」
 と考えたのは、
「佐久間探偵の捜査資料の一部が、そこに箱に入って埋められていて、明らかに、奥さんの名前が明記されていたのだった。
「同時期に失踪した」
 ということ、さらに、
「いまだに焼死体が誰か分からない」
 ということを考えると、
「秋元刑事の想像も、なまじ空想ということで済まないだろう」
 と、捜査本部は考えるようになったのだ。
 とりあえずは、
「身元不明白骨死体殺人事件」
 ということで、捜査が行われることになった。
 そして、その身元が、
「5年前に放火殺人で殺された」
 とみられた被害者だということが分かると、
「あの時に黒焦げになった死体こそ、佐久間探偵ではなかったのか?」
 ということになるだろう。
「これは、顔のない死体のトリックではないか?」
 と考えたのは、秋元刑事だった。
 秋元刑事は、昭和時代の、
「探偵小説」
 というものが好きで、よく読んでいた。
 当時の探偵小説というと、なんといっても、
「時代というものが、今では想像を絶するようなカオスな時代だった」
 といえるだろう。
 戦前と戦後でも、かなり違っているが、そもそもの、
「大日本帝国」
 という時代が、継承されていたというのも事実だ。
 そういう意味で、
「混迷を極めた時代」
 というものが、どこか怪奇で、
「トリックを使った犯罪」
 というものが起こっても、何ら不思議のない時代であった。
 実際に生きていたわけではないので、ハッキリとは分からないが、
「その時代の小説を理解したい」
 と感じたことで、
「その時代を勉強しよう」
 ということで、歴史が好きになったという経緯があった。
 実際には、小説を読んで、その時代に興味を持った。
 それによって、小説から、その時代を理解するようになったのだが、さらに、もっと知りたいと感じたことで、もっと、歴史が好きになるという連鎖が、その時の自分にはあったのだ。
「刑事になりたい」
 と考えたのは、その理由もあったからだろう。
 他の人のように、
「勧善懲悪」
 として、刑事を目指すという感覚であったり、
「社会の秩序を守りたい」
 などという感覚でもなかった。
 むしろ、子供の頃に見ていたドラマなどでは、すでに、
「警察内部のドロドロした関係」
 というものをテーマにしたドラマが多かった。
「階級による縦割り社会」
 であったり、
「所轄同士の、縄張り争い」
 というような、内部抗争であったりなどの、シビアな部分があるからであった。
 だが、それを差し引いても、
「探偵小説が好きで、推理の力を役立てたい」
 という気持ちが強かった。
 そういう意味では、
「警察官になった動機」
 というのは、変わり種だといってもいいだろう。
 しかし、
「他の人のように、どんなに正当性のあるような理由であっても、結局は、長いものに巻かれてしまうかのように、警察組織に染まってしまっては、同じことだ」
 と考える。
 そもそも、子供の頃から一つ疑問に思っていたこととして、
「親が、子供を叱っている」
 というところをよく見てきたのだが、そのしかり方に、信憑性があればいいのだが、よく聞いてみると、
「親の対面」
 であったり、
「立場の保身」
 というものに対しての怒りから叱っているだけではないか。
「子供のため」
 と口では言っているが、
「それは違う」
 ということを一番分かっているのは、
「叱られている当の本人だ」
 ということであるのは、叱られている子供が、親を睨みつけているというのを見れば、分かるというものだった。
 それを思うと、
「俺が親になった時、子供に同じ思いをさせたくない」
 と思った。
 実際に、自分が子供の頃にも、同じような理不尽さから、親に叱られていた友達がいたが、そんな彼らは、皆口をそろえて、
「自分が大人になったら、子供に、自分と同じ思いをさせたくない」
 といっていたのだ。
 もちろん、秋元少年も同じで、
「そうだよ。俺だって同じ気持ちさ」
 といって、慰めあっていたものだった。
 だが、実際に親になってみればどうだろう?
 子供の頃にあれだけ、涙を流しながら、憤慨に震えながら、
「自分の子供には同じ思いをさせたくない」
 と思っていたはずなのに、結局。親になった途端、やっていることは同じことなのであった。
「なんでなんだ?」
 と、秋元は思ったが、その理由は、
「自分が親になっても分からなかった」
 というものである。
 秋元刑事は、少なくとも、
「自分の子供を、理不尽に叱ったりはしない」
 と思っていた。
 むしろ、奥さんの方が、子供をしかりつける方で、その理由として、
「お父さんが怒らないから」
 ということで、
「自分が叱る理由を、父親である秋元刑事に擦り付けている」
 ということのようにしか見えなかった。
 しかし、秋元刑事も、子供が中学生くらいになった時、少し、
「奥さんの気持ち」
 というのが分かってきた気がした。
「結局、叱らなければいけない」
 という時は、自分が親である以上あるわけで、そこから父親が逃げてしまえば、その役目を母親がこなすしかないではないか。
 ということであった。
 だが、父親とすれば、
「そのことに気づかなかった」
 というのも無理はないと思っている。
 どうしても、刑事などをしていると、最近よく見かけるのは、
「幼児虐待」
 という問題である。
 それ以前というと、
「いじめ問題」
 であったり、
「家庭内暴力」
 などというものであった。
 子供が学校で虐められてくることで、
「学校に行けなくなった」
 そして、
「引きこもりになってしまう」
 という、
「負のスパイラル」
 というものが襲ってくるだろう。
 だが、親は、そんな子供の理由を。そして、学校の現実を分からない。
 しかも、社会は、
「バブル崩壊」
 などといって、
「大人の世界も大変だ」
 ということになるのだ。
 ただ、そんな大人の世界の大変さというものが、
「子供の世界に飛び火する」
 ということで、いじめ問題が起こってくるわけなので、
「どこが出発点なのか分からない」
 といえる。
 つまりは、
「タマゴが先か、ニワトリが先か?」
 ということで、要するに、
「負のスパイラル」
 というのが問題になるということであろう。

                 再埋葬

 それを考えると、
「一度発生した問題は、なかなか振り払うことは難しい」
 ということであり、
作品名:一つではない真実 作家名:森本晃次