小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

生き残りへのいたちごっこ

INDEX|7ページ/15ページ|

次のページ前のページ
 

「寂しい老人の感情を利用して」
 というものであったが、今の時代は、昔でいう、
「寂しい老人」
 というのは、当たり前の時代になってきた。
 そうなると、今の時代の、
「家族であって家族でない時代」
 に狙いをつけるとすれば、今でも、その関係は薄れていない。
「孫と祖父母」
 の関係に眼をつけたのだった。
「孫が問題を起こしたので、金がいるので、金を振り込んでくれ」
 といって、別口座に振り込ませる。
 本当であれば、
「怪しい」
 と思うことかも知れないが、いきなり言われると、老人はパニクってしまい。つい振り込んでしまうというわけだ。
 実際に、その手口は公表され、徹底されるようになってきても、それでも、
「騙される」
 という人はいるのだ。
 それだけ、
「人情というのは、騙されやすいというものなのかも知れない」
 それを思えば、
「昭和の詐欺もひどかったが、今の詐欺はさらにひどい」
 といえるだろう。
「手口が高度化している」
 というのだから、それも当然のことで、
「犯人と、警察のいたちごっこ」
 というのは、果てしないといってもいいだろう。
 そんな昭和の終わり頃、
「老人を狙った詐欺」
 というものと、ほぼ同時期に、別の社会問題となる事件が発生した。
 この事件は、センセーショナルな話題を振りまいて、結局、未解決事件となったのだが、そのまま時効を迎えてしまったのだ。
 凶悪事件ではあったが、結局人は死んでいないということで、すべてが、時効を迎えた。要するに、
「歴史の中の事件」
 ということになってしまったのだ。
 その事件を彷彿させる事件が、令和の今の時代に発生した。そう、事件のきっかけになったのは、
「誘拐事件」
 ということだったのだ。

                 探偵

 今の時代に、
「営利誘拐」
 などというのは、ある意味、
「リスクの大きな事件」
 といってもいいかも知れない。
 街の至るところに、防犯カメラが設置されている。
 ということであったり、
「スマホを持っていれば、位置情報がバレる可能性がある」
 ということ、
 なんといっても、
「連絡を取った時点で、どこにいるかが、すぐに分かってしまう」
 ということである。
 犯罪も、昭和の頃と今とでは、かなり種類が変わってきているだろう。
 しかし、明らかに、
「計画犯罪」
 というものが難しくなっているというのは、当たり前のことである。
 一つは、
「科学捜査が行き届いてきた」
 ということである。
「防犯カメラの設置」
「位置情報の確認」
 さらには、死体の身元の確認というのも、
「DNA鑑定」
 というもので、昔の、
「探偵小説」
 などで言われるところの、
「犯罪トリック」
 というものが通用しなくなったということである。
 だから、
「トリックを使った計画犯罪」
 というのは、ほとんど不可能になったといってもいいだろう。
 となると、後に残るのは、
「衝動的な犯罪」
 であったり、
「劇場型の犯罪」
 あるいは、
「目的完遂のためだけの犯行」
 ということで、
「怨恨」
 であったり。
「復讐」
 というものは、
「自分が捕まったとしても、それ以上に、犯人に対して、恨みが晴らせればそれでいい」
 ということで、
「犯行を行うだけ」
 ということであり、逃げることを考えなければ、成功の可能性は高いということになるだろう。
 つまり、
「本来であれば、科学捜査の発展というのは、犯罪の抑止に役立てるべきものではないか?」
 ということである。
 そういう意味では。
「検挙数は上がる」
 かも知れないが、
「検挙率は変わらないか、あるいは、下がる可能性がある」
 ということになる。
 要するに、
「事件が起きて、事件を解決するということであれば、科学捜査は役立つが、事件の抑止ということであれば、まったく役に立たない」
 といってもいいかも知れない。
「まったく役に立たない」
 というのは言い過ぎかも知れないが、
「本来の目的は何か?」
 ということであれば、やはり、
「犯罪をなくす」
 ということであろう。
 そもそも、
「警察は、事件が起きなければ捜査をしない」
 というのは、
「事件が多すぎて、人を割けない」
 ということからきているのだろう。
 だとすれば、
「犯罪の抑止」
 というのは、その
「犯罪数を減らす」
 ということになるわけなので、
「本来であれば、犯罪の抑止となるような、科学的なものができなければいけない」
 ということになるだろう。
 とはいえ、最初は、
「抑止になる」
 ということで進められてきたのだろうが、実際には、
「検挙数の増加」
 ということには役立っているので、
「一定の結果は出ている」
 といってもいいだろう。
 それを考えると、
「科学捜査」
 というものが、犯罪の抑止にまったくなっていないわけではないと考えると、
「衝動的な犯罪」
 であったり、
「ストーカー」
 などの、異常性癖者における犯罪であったり。
「捕まる」
 ということを考えないというような、
「自殺を含めた計画」
 という犯罪は、減ることはないだろう。
 実際に、
「事件が減っている」
 と言われているが、
「科学捜査の発展」
 ということで、見越した犯罪の現象と比べて、
「どこまで実際に減っているというのか?」
 ということを考えると、
「警察というのが、人員削減に走っている」
 という現状が、本当に、
「正しい判断なのか?」
 ということを考えてしまうのである。
 今の時代は、
「本当に時代は繰り返される」
 といえるのだろうか?
 それこそ、
「破滅に向かって一直線」
 ということではないだろうか?
 リスクが大きいと言われる、
「誘拐事件」
 というものを、
「脅迫状を送り付ける」
 という方法で、被害者側に通知するというのは、完全に、
「挑戦状をたたきつけている」
 といってもいいだろう。
 しかも、そのやり方は、それこそ、昔のやり方で、新聞記事や雑誌の切り抜きを便箋に貼り付ける形での、
「昭和の脅迫状」
 であった。
 そのやり方は、
「文字で身元がバレない」
 という、筆跡が分からないようにするためだった。
 今であれば、パソコンを使えば、筆跡など関係がないわけで、せめて分かったとしても、
「パソコンやプリンターの種類」
 という程度のことで、これだけ普及しているのに、そんなことが分かっても、犯人の特定には程遠いというもので、脅迫状を使っても、そこから身元がバレるということはないだろう。
 これが、
「メールなどになれば、送信元を調べればわかることだが、ネットカフェなどを使えば、これも特定は難しい」
 といえる。
 ただ、
「何か目的があって誘拐し、その通告に、脅迫状を使う」
 ということで、しかも、その方法が、
「昭和の脅迫状」
 というレトロな手口は、まさに、
「時代錯誤」
 といってもいいだろう。
 誘拐されたのが、
「金を持っている実業家」
 ということで、最初は警察へのノーマルな依頼だった。
 犯人は、当たり前のように、
「警察に通報すれば、人質の命はない」