生き残りへのいたちごっこ
そういう意味で、特に昭和が終わりかけようとしている時、
「暗躍する組織」
というのが、実際には複数あった。
当然、
「日本という国家のため」
という組織もあっただろうが、
「どさくらに紛れて、自分たちの私利私欲を隠すためにはちょうどいい」
という、それこそm
「悪の組織」
と呼ばれるものもあった。
ちょうど、昭和の頃というと、
「反政府組織」
というものが結構存在し、
「マフィア」
であったり、
「暴力団」
というものが結構存在していた。
しかし、次第に警察の努力によるものなのか、どんどん減っていった。
だが、それは、警察の努力がないわけではないだろうが、それよりも、
「暗躍組織が影響している」
といってもいいだろう。
昭和が終わりかけることは、
「反政府組織」
というのも、それまでのような、
「ゲリラ戦」
であったり、
「力による支配」
というものが通用しないということが分かってきた。
というのも、
「合理的でないと生きていけない時代が来る」
ということを分かっていたといってもいいだろう。
それが、
「バブルの崩壊」
というものを、意識していたからだといえるのではないだろうか?
誘拐
「バブルの崩壊」
というものは、実際には、
「バブル経済」
というものが生まれる前から分かっていることであった。
というのは、そもそも、
「バブル経済」
というのは、
「実体のないもの」
ということで、ある意味、
「概念というものに近い」
といってもいいだろう。
だから、それまでの時代のような、
「神武景気」
「イザナギ景気」
などと言われた時代ほど、その時期もハッキリしないといってもいいだろう。
「バブル経済」
というものが、
「いつからいつまでだったのか?」
というのは、その解釈が難しい。
だから、人の感覚によって、
「長かった」
ということであったり、
「短かった」
ということ、それぞれに意見が分かれるのかも知れない。
ただ、少なくとも、
「昭和をまたぐ時期だった」
ということに違いはない。
そして、その頃に、
「バブル崩壊を予期していた」
と考えられることもいくつかあり、それが、そもそもは、
「暗躍組織が裏から手をまわした」
と考えられなくもないということである。
その一つが、前述の、
「国有事業の民営化」
というものである。
確かに、
「国鉄による、累積赤字がどうしようもない」
ということからであったが、逆に、その理由があることから、
「本当の理由」
というものをごまかすことができたといってもいいのではないだろうか?
「そもそもの理由」
それが、
「バブル経済から、その崩壊を予期して」
ということになるのだ。
「累積赤字」
というだけであれば、何も、
「専売公社」
であったり、
「電電公社」
まで民営化する必要はないのではないか?
といえるのだ。
そこに、
「バブルの崩壊時、少しでも、軽くしておく」
という考えがあったとすれば、それも、
「考え方としては、ありえることだ」
ということになるだろう。
実際に、
「バブル崩壊」
の後、民間企業も、どんどん、それまでの拡大事業を縮小していく。
しかも、その拡大の理由が、
「バブル経済」
というものによる、まるで、
「パラダイスのような世界」
を夢見たことであろう。
それこそ、
「金儲けができる状況で、金儲けをしない企業は罪悪だ」
とまで言われたくらいに、完全な、
「お祭り騒ぎだった」
といってもいい。
よく言われたのが、
「お立ち台で踊るギャル」
というのが、
「バブル経済の象徴」
とも言われた。
冷静に考えれば、
「盛者必衰」
であり、
「諸行無常」
ということを考えれば、しかも、
「人間には、不老不死はない」
ということで、
「必ず、死を迎える」
ということを考えれば、
「永遠の繁栄」
などというものはありえるわけはないのだ。
考えられることとすれば、
「自分の代の間は大丈夫だろう」
という発想である。
もし、バブルが崩壊したとしても、
「自分が引退してからのことだろう」
と思ったかも知れない。
なぜなら、
「それだけ、何をやってもうまくいく」
という時代なので、少々陰りが見えても、実際に崩壊するまでには、まだまだ時間が掛かるという発想だったのだろう。
ただ、
「バブル経済」
というものが、
「実態のないもの」
ということが分かっていれば、そんな、悠長な発想は生まれないだろう。
だが、それを予知していた組織があった。
しかも、まだ、
「バブル経済」
というものの形もハッキリしていない時代である。
だからこそ、その正体が見えないものが、
「海のものなのか、山のものなのか?」
ということで、余計に慎重になるということなのかも知れない。
わけもわからず、目の前に、華やかなものが飛び込んでくれば、もう少し警戒してもよさそうなのだが、
「それもない」
というほどに、社会の感覚はマヒし、まるで、
「麻薬中毒」
なのか、それとも、
「宗教によって、洗脳された世界だ」
ということなのかも知れない。
どちらにしても、表に見えていることは、
「麻薬中毒」
にしても、
「宗教団体による洗脳」
であっても、悪いことであり、すぐに滅亡してしまうということを暗示しているといってもいいだろう。
それを、
「バブル経済」
という、実体のない華やかさで覆いつくされた時代だったことが、
「バブル崩壊」
というものを、一切予感させないという世界を作り上げたのかも知れない。
しかも、
「バブル崩壊」
というものは、
「バブル経済」
というものが表に出てきてから、考えても、
「その対策には遅すぎる」
ということになるのだろう。
だから、
「それだけ、世界の展望というものは、一歩先だけではなく、何歩も先を見ていなければ、分かるものではない」
ということだ。
特に、
「バブル経済:
から、
「その崩壊」
というものまでが、あっという間の出来事だったということで、
「暗躍する組織」
は、
「バブル崩壊によって起こってくる社会を救おう」
ということよりも、
「このままでは、同じことを繰り返す社会しかできない」
ということで、
「一度浄化が必要だ」
ということから、
「ノアの箱舟」
というものを、
「今の時代に再現する」
ということも考えられるというものだ。
そういえば、昭和の時代に存在した、
「新興宗教として、社会問題になった団体名に、これを模した名前の団体があったような気がする」
ということを思い出した人もいたようだった。
だから、
「昭和の終わり」
というと、
「その時代を反映させる」
というような事件が起こった。
一種のセンセーショナルな話題を巻き起こしたのだが、それと、まさか、その後に怒ってくる、
「バブルに関係している」
などということは、誰も思わないだろう。
今となってみれば、それも、あくまでも、
作品名:生き残りへのいたちごっこ 作家名:森本晃次



