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一つしかない真実

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 という可能性が高いことで、当然、
「スピードを出していた車の方が、暴走運転となるかどうかは分からないが、保険会社の割合としては、よくて、8:2というところであろうか」
 もちろん、その後の事故調査においての確認によっては、
「9:1」
 ということもあるだろう。
 しかし、やはり、誰が見ても、
「非はスピードを出していた方が悪い」
 ということにしかならない。
 しかも、それを、
「ドライブレコーダーが証明している」
 ということになる。
 実際に、スピードを出していたであろう車の方は、ドライブレコーダーが、事故の衝撃で吹っ飛んでしまったということで、再現が不可能だった。
 そもそも、
「吹っ飛んだ」
 という事実だけでも、
「無理な運転をしていた」
 ということになるだろう。
 それを考えると、
「保険会社での折衝」
 ということでは、諦めるしかないということになるだろう。
 実際に、事故を起こした二人は、
「刑事的に相手と争う」
 ということは考えていないということだ。
 確かに、
「相手がスピードの出しすぎということで、避難できる部分はあるが、こちらはケガもしていないし、後は保険の交渉で」
 ということで、警察は、事故処理と、その報告だけになったのであった。
 ここまでであれば、
「ただの交通事故」
 ということになる。
 ただ、人身事故ということなので、一応の現場検証と、その後の報告というものくらいは必要で、それぞれに、警察への出頭ということが残されているのであった。
 だが、その日の午後になってからのことであったが、
「隣の管轄の交通課から連絡があった」
 ということであった。
 というのは、実は、偶然であるが、その日の早朝、時間的には、6時前くらいであったということで、まだ、夜が明けていない時間帯だったというのだ。
 隣の警察署は、
「H警察署」
 というところで、そこで起こった交通事故というのは、
「ひき逃げだった」
 ということであった。
 実際に、ひき逃げした車というのが、防犯カメラには映っていたが、夜明け前ということで、ナンバーまでは確認できなかった。
「黒色のセダン」
 ということだけが確認でき、
「運転手の顔も、車種も確認できない」
 というほどだったのだ。
 ひき逃げというのも、
「実は悪質ではないか?」
 というもので、
「ブレーキ痕もあるにはあるが、スピードの割には、そこまでハッキリしていない」
 ということであった。
 そもそも、防犯カメラで、ほとんど確認できないというほどにスピードを出していたのだ。それだけでも、
「悪質だ」
 といってもいいだろう。
 それだけに、
「H警察署としては、事件、事故の両面から捜査している」
 ということであるが、そのどちらも証明できるようなものは、今のところ発見されていないというのであった。
 そういう意味で、
「逃げた車の捜索」
 ということで、近隣の署にも、
「ひき逃げ」
 についての情報提供の依頼というものを行おうということであった。
 ひき逃げされた人は、それから救急搬送され、緊急手術を受けたが、
「手術の甲斐もなく、死亡してしまった」
 ということから、
「地域の大きなニュース」
 ということで、報道された。
 実際には、かなりの事故だったようで、
「ひき逃げ現場には、血が飛び散っていて、かなりの、惨状だった」
 ということである。
 それを考えると、
「早朝の誰も人がいない時間帯だった」
 というのは、
「目撃者の中には、トラウマとして残ってしまう人が出るのではないか?」
 ということを引き起こさないという意味では、
「よかった」
 といえるかも知れない。
 それを考えると、
「前述のような事故に遭遇しない」
 ということも、
「人が見ていない未明や深夜などの時間が多い」
 ということを考えれば、一つの納得になるかも知れない。
 確かに、
「事故というのは、見えにくい状態で運転するから起こりやすい」
 といえるだろう。
 そういう意味でいけば、
「交通事故は、夕方にも多い」
 と聞く。
 それは、昔からの都市伝説のようなもので、
「逢魔が時」
 と呼ばれる時間といわれている。
 そもそも、この、
「逢魔が時」
 といわれている時間帯というのは、
「事故が多発する時間帯だから」
 とも言われているのだ。
 理由としては、
「日が沈む時、逆光になり、目の前を日が差すという状態になるから、前が見えない」
 ということに由来するというのが、一番一般的に言われていることであろう。
 ただ、もう一つとしては、
「光が斜めから、ほぼ横に差してきていて、光には、屈折という機能がある」
 ということから、
「その角度と屈折の関係から、時間的には、一定の短い時間帯だけであるが、モノクロに見える」
 ということで、
「錯覚を起こしやすい」
 といわれているという。
 だから、
「事故多発」
 ということでの、科学的な根拠の一つになっているようで、他の要因としては、
「一日の疲れがたまってくる時間帯」
 ということで、
「夕方は、気が緩むのではないか?」
 ということであったり、
「帰宅ラッシュ」
 という、車の多い時間帯ということも影響しているに違いない。
 だが、そんな時間帯であれば、
「通勤、通学の人」
 というのも多いので、事故を見る可能性は一番高いかも知れない。
 実際に、
「事故を目撃したことがある」
 という人から、
「いつの時間帯だったんですか?」
 と聞くと、
「夕方でしたね」
 ということを聞いたことがあったので、この理論も、あながち間違っているというものでもないだろう。
 ただ、今回の、
「出会いがしらの事故」
 というものと、
「隣の管轄で起こった、ひき逃げ事件」
 というものが、見た目には、まったく関係のないものにしか見えないということであったが、
「世の中というのは、何がきっかけで結びついてくるか分からない」
 ということで、
「がぜん、この二つの事故と事件が、結びついてくるということになってくる」
 ということになるのであった。
 ひき逃げについてであるが、
「ひき逃げされた男」
 というのが、実際には、
「なぜ、そんなところを歩いていたのか?」
 ということは、すぐには分からなかった。
 身元はすぐに判明し、
「遺体確認」
 というものも行われた。
 実際に、財布の中に、名刺入れとパスケースが入っていたので、運転免許証から分かったのだが、名前を、
「沢崎洋二」
 という人物だった。
 年齢は、35歳。隣のK市に住んでいる商事会社の経理係長だということであった。
 彼が、
「H市にいた」
 というのは、不思議なことではない。
 会社がH市にあり、たまにであるが、早朝出社というのをしていたということであった。
 ただ、それも
「定期的に」
 ということで、日が続くということはなかった。
 前日は、早朝出勤をしたようで。
「今日は朝が早かったから」
 といって、同僚や後輩に話をしていたということであった。
 さすがに、上司には、
「働き方改革」
 などという面倒くさいことがあるので、
作品名:一つしかない真実 作家名:森本晃次