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一つしかない真実

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 時間的には、夜明け前後ということで、季節は春なので、時間的には、6時半くらいといったところであろうか。
 場所は、都心部ということではなく、隣の地域から山越えをしてやってくる場所での、峠に当たるところであった。
 ここ10数年前くらいに、トンネルが開通したことから、昔からある、
「峠越え」
 というものをしなくなったことで、便利になった場所であった。
 しかし、トンネルを開通させるために、掛かった費用を考えれば、当然のことながら、
「有料道路」
 ということにする必要があり、
「片道300円」
 という交通料がかかるのだ。
 毎日の通勤であれば、
「往復600円」
 ということになり、
「かなりの痛手だ」
 ということであった。
 特に、最近は、物価高騰というものが激しくなり、街中に溢れているほとんどの商品は、値上げも致し方がないという状態であった。
 その問題としては、
「燃料費の高騰」
 というものが原因なので、そもそも、車の燃料が先に値を上げたということなので、
「マイカー通勤」
 というものは、それだけで、かなりの痛手ということであった。
 実際に、マイカー通勤というものをしていると、
「会社は交通費を出してくれる」
 ということであり、これが公共交通機関であれば、
「定期券をコピーする」
 ということで、毎月の値段に差はないだろう。
 しかし、マイカー通勤というのは、
「通勤のためのガソリン代にいくらかかるのか?」
 ということが分かるはずがない。
 そもそも、決まった場所での給油ということではないので、すべての領収書を取っておいての、請求となるのだろうが、月の締めに対して、どこからが、今月なのかということも分からない。
 なんといっても、
「マイカーということで、通勤以外にも、車を使うので、私用でのガソリン代も入っているということで、一概に決めることはできない」
 となると、会社とすれば、
「概算での、会社と社員の自宅の通勤に掛かる最短距離で、ガソリン代を会社既定のいくらということで計算し、それを支給するしかない」
 ということになる。
 毎月のように、ガソリン代が変化しているのは仕方がないとして、
「不況」
 であったり、
「円高」
 などということでの要因によって、
「ガソリン代がどんどん上がる」
 などということになると、
「マイカー通勤では赤が出る」
 というのが実情であろう。
 しかし、実際には、
「マイカー通勤しかできない」
 という人もいるだろう。
「公共交通機関を使うと、通勤に、3時間かかる」
 しかし、
「マイカー通勤だと1時間で済む」
 ということだってあるはずだ。
 今回の事故現場のような、
「峠を越えないといけない」
 ということで、鉄道路線も、バス路線もないということで、
「大きく遠回りをしないといけない」
 ということも普通にある。
 そうなると、
「往復4時間という手間と、交通費の手出し」
 というものを考えて判断するということになるだろう。
 そうなると、
「時間をお金で買うという方がましだ」
 ということで、
「マイカー通勤しよう」
 と考えるのだ。
 そうなると、今度は、
「バイパスができたことで、時間短縮にはなるが、有料道路代に掛かる値段」
 というものを考えると、
「っさすがに、ここでお金は使えない」
 と考え、
「少々時間が掛かったとしても、昔の峠道を通るのが無難だ」
 といえるだろう。
「峠道」
 ということで、普通に考えれば、
「山道」
 として、運転には気を遣わなければいけないと思うかも知れないが、
「10数年前までは、目イン道路だ」
 ということなので、それなりにみちの広さも十分であった。
 ただ、なんといっても、峠の道ということで、蛇行した道であるというのは、しょうがないことだろう。
 実際には、
「毎日通っている通い慣れた道」
 ということであれば、それほど、苦痛に感じるということもないだろう。
 だから、実際には、
「峠の脇道」
 という昔の道を通って峠越えをしている人も少なくなく、午前6時半くらいといっても、走っていると、
「前から数台の車とすれ違う」
 ということも普通にあるということで、その日も、何もなければ、
「普段と変わりのない朝」
 ということであっただろう。
 その日は、快晴とまではいかないが、そんなに見晴らしが悪いというわけでもなかったが、起こってしまった交通事故だった。
「比較的、スピードが出ていた」
 ということで、慣れた道だったのだろうということは、現状を見た瞬間に、分かったのだ。
 現状には、ブレーキ痕があり、
「これだけのブレーキ痕であれば、それなりのスピードだったんだろうな」
 ということであった。
 ただ、運が悪いと言えばいいのか、それとも、運転手の油断が招いた事故だということになるのだろうか、
「ちょうど、峠の蛇行したカーブのところで、出会いがしらの衝突」
 ということだったようだ。
 お互いに、運転技術がよかったので、大事には至らなかったのだろうが、
「一歩間違えて、ハンドル操作を誤ると、ガードレールを突き破って、谷底に真っ逆さまに落ちることになった」
 というほどの事故だったのだ。
 スピードが出ていたことで、かすり傷程度で終わるということもなく、救急車が出動する事態となり、当然のことながら、警察立ち合いの下、現場検証が行われたのだ。
 一人は、胸を強く打っているということで、救急車での搬送となったが、もう一人は、深手になった傷があるわけではなく、現場検証はできるくらいだった。
 もちろん、病院で一通りの検査を終えての後のことであるが、そのドライバーが証言したこととしては、
「まったくの出会い頭の事故だった」
 ということである。
 ただ、
「相手は、急いでいたのか、スピードを出していた」
 という話であった。
 なるほど、だから、相手は急いでブレーキを踏んだ弾みに、胸を強く打つということになったんだろう。
 警察もそれくらいのことは分かっていた。
 ただ、大したことがなかった方も、実際に、
「スピードがどれくらい出ていたのか?」
 ということは分からない。
 ドライブレコーダーを見る限り、普通の運転をしているようだった。
 なんといっても、ここは、後からバイパスができたほどの、峠越えのための、
「蛇行した道」
 なのである。
 どれくらいのスピードで走れば危険なのかというのは、警察は分かっていて。ドライブレコーダーを見ている限りでは、
「安全性は認められる」
 ということであった。
 ただ。ドライブレコーダーには、
「衝突の瞬間」
 というのが残っているわけではなく、相手の車を確認できないほど、瞬時にして、映像が終わっていたのだ。
「それだけ、相手がスピードを出していて、衝撃が激しかった」
 ということになるのだろう。
 実際には、
「出会いがしらの事故」
 ということであるが、
「どちらに非があるか?」
 ということであれば、それは、
「スピードを出していた方」
 ということになるだろう。
 そもそも、
「どちらも安全運転をしていれば、事故は防げたかも知れない」
作品名:一つしかない真実 作家名:森本晃次