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一つしかない真実

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「自殺者が増える」
 というのは当たり前のことであり、
「その理由は、単純に、お金がない」
 あるいは、
「生活ができない」
 という人だけではないということで、考えてみれば、
「ほぼ毎日のように、同じ地域で、どこかで必ず人身事故が起こっていたことで、ダイヤ通りに来ることなどなかった」
 という時期があったのを思い出す人も多いだろう。
 それなのに、できたてホヤホヤという、
「JR」
 というものは、まだまだ、
「親方日の丸」
 といってもいいような、
「殿様商売」
 というものをしていたのだ。
 毎日のように起こっている人身事故が、たった今起こったということで、さすがにうんざりした脚が、駅舎に詰め寄ると、若い駅員が、
「いやあ、人身事故ですからね。どうしようもないですよね」
 といって、へらへら笑っているのである。
 ある程度年を取った人は、よく承知しているのか、必死で客に謝罪をしているが、その行動を、嘲笑うかのように、
「自分たちが悪いわけではない」
 と言わんばかりにヘラヘラ笑っているいるのを見ると、それまで、何も言っていなかった他の客も、
「お前ふざけんな」
 とばかりに、文句を言っている人が増えるというものだ。
 その若い駅員は、この期に及んでも、まだ分かっていないようで、
「他の客が怒りだしたのを、なぜなんだ?」
 と不思議に思うだけで、理由を考えようともしない。
 要するに、
「金を取って営業している民間企業」
 が、
「鉄道会社としての使命」
 として、
「決まった時間に、客や荷物を安全に目的地まで届ける」
 というのが、仕事なのだ。
 いくら、
「人身事故が発生した」
 ということであっても、
「鉄道会社で仕事をしている以上、クレームは甘んじて受けるのが当たり前」
 ということで、もっと言えば、
「客が払った切符代で、飯を食っている」
 ということなのだから、少なくとも、
「クレームを言っている客の言い分はしっかり聞かなければいけない」
 ということになるだろう。
 しかし、この若い駅員は、
「あたかも他人事」
 ということで、
「自分には関係がない」
 という態度を取ったのだ。
 つまりは、
「事故に対して、真摯に向き合い、今後は、できるだけこのようなことがないように、善処するというのが当たり前」
 ということなのに、
「他人事というのはどういうことだ」
 というのである。
 それこそ、
「自分たちが悪くない」
 と鉄道会社に言われて、
「仕方がないことなので」
 といって、笑われてしまっては、
「客は、途方に暮れるしかない」
 というのだ。
 完全に、
「客の感情を逆なでした」
 ということで、この駅員の態度は、
「鉄道員として許されることではない」
 といえるだろう。
 特に、
「民営化してから、そんなに経っていない」
 ということで、
「そもそも、親方日の丸の国営の時代の上から目線の商売を脱却する」
 ということで、それまでの、
「累積赤字」
 を何とかするという建前が民営化の理由だった。
 本当の理由は、
「政府の借金を、民間に押し付ける」
 ということであったのだが、その民間になったのであれば、社員も、それなりに、しっかりしなければいけない。
 そもそも、
「累積赤字」
 というのも、そういう甘えた考えからきているといってもいい。
 そもそも、
「累積赤字は、俺たちには関係のない。昔の人間がやったことだ」
 といって、責任転嫁をしていれば、
「結局、誰にもそれを解消することはできない」
 ということになるだろう。
 それこそ、
「社員一人一人に、絶対的な赤字解消のためのノルマ」
 というものを押し付けるくらいでないと、この
「甘えた考え方が治る」
 ということは永遠にないだろう。
 実際に、民営化から、40年以上が経った今でも、
「人身事故は少なくはなったが、実際に起こった時の対応というのは、変わっていない」
 ということで、
「いまだに国鉄だ」
 といわれるゆえんであろう。
 そもそもの、累積赤字というのがどうなったのか分からないが、やっていることは、
「赤字路線の廃止」
 であったり、
「無駄と思えるサービスの廃止」
 などは多い。
 民間になって最初くらいの頃は、
「事業拡大」
 ということで、いろいろな業種に手を出していたりした。
 それは、
「積極経営」
 ということで、便利なことも多かった。
 例えば、
「主要駅には、駅前に、JR直営の、コンビニが営業している」
 ということがあったりした。
 イベントも積極的にやっていて、
「イベント列車」
 などの宣伝が大きかったが、
「結局、庶民に対してそのギャップが、値段的にも、感情的にも大きかった」
 ということで、
「結局、民間になったことで、利益追求ということになったわりに、やっていることは、国鉄時代と変わっていない」
 ということで、
「民間とのギャップが埋まらない限り、民間としては、頭打ち」
 ということになるのだろう。
 結局、
「40年以上が経った今でも、何も変わっていない」
 といわれるのがオチだということであろう。
 そもそも、鉄道会社は、
「軍事などの運輸」
 ということで発展してきたということもあるので、
「経営に関しては、なかなか難しい」
 といってもいいのかも知れない。
「警察は民間ではないが、市民とのギャップ」
 というものがあることから、なかなか難しいことがあるのだろう。

                 殺人動機

 一つ、気になることがあるのだが、今回の殺人動機というものを、
「経理係長」
 という立場で、被害者が、何かを知っていたということで、会社に狙われたということにすれば、
「数ある殺害方法の中から、なぜ、ひき逃げ」
 という方法を使ったというのだろう?
 前述のように、確かに、
「自殺に見せかける」
 という方法は、ポピュラーすぎて、犯行が発覚する可能性を孕んでいるといえるだろう。
 しかし、ひき逃げという行為は、その犯罪の特殊性から、
「殺意がなかったとしても、罪がかなり重い」
 ということなのだから、ここに殺意というものがあったとすれば、それは、それこそ、
「極刑ということになったとしても、無理もないことなのかも知れない」 
 といえるのではないだろうか?
 だが、考えてみれば、殺人動機ということからいけば、
「それくらいのことをしても、裏で組織が擁護してくれる」
 ということも考えられなくもない。
 しかし、
「そこまで組織が面倒見てくれるかどうか?」
 というのも不思議だ。
 それこそ、
「ミステリーファンということであれば、警察の裏をかく」
 ということができれば、完全犯罪に持ち込めると考える人がいるとしても、おかしくはないだろう。
 要するに、
「裏を描けばいい」
 という考えで、相手に、
「まさかそんなことを考えているなど」
 ということを思わせればいいという考えだ。
 しかし、それこそ、
「小説の世界」
 ということでり、実際には、
「警察というものは、奇抜なことを考えずに、目の前にあることだけを見ていく」
作品名:一つしかない真実 作家名:森本晃次